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七月・八月:狂恋
愛されたいとは願いません。【虚像】
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王太子殿下、私はずっと貴方に殺されたいと思っておりました。
だって貴方は十年来の婚約者だった公爵令嬢の私を捨てて、学園で出会った男爵令嬢をお選びになったのですもの。
貴方の愛を得られないのなら、私の人生は終わったも同然です。
どうせ終わった人生なら、せめて愛する貴方に殺されたいと考えたのです。
ええ、そうです。
愚かな私は学園の卒業パーティで婚約破棄された後も、貴方を愛し続けていたのです。どんなに憎んでも恨んでも、この胸の愛を消すことは出来ないでいたのです。
愛されることが叶わないのなら、せめて憎まれて殺されたいと思いました。
貴方の手を穢すことで、貴方の心に傷をつけ、永遠に貴方の記憶に残り続けたいと考えたのです。
でも無理でした。貴方は私を殺してはくださいませんでした。
貴方は私を殺すどころか、妃となった私を抱き締めて愛を囁き、唇を啄んで体を重ねたのです。
男爵令嬢を愛していたのではないのですか?
彼女を愛したから私を捨てたのではないのですか? なんのために婚約を破棄なさったのです? 強請られたからと、婚約者の私のための予算を流用してまで彼女が愛した古い劇場を建て直して専属一座を支援していたというのに?
貴方はだれも愛せない方だったのですね。
だから長い年月を支え合って生きて来た婚約者の私をゴミのように捨てられたのですね。
愛しているとおっしゃいながら、お選びになった男爵令嬢のことも……
いいえ、いいえ、もう良いのです。
捨てられた身で貴方の妃になると決意したときから、貴方に愛されたいとは願っていませんでした。
この一年間で、殺されることさえ無理なのだと理解いたしました。だれも愛せない方には殺意を抱くほどの憎しみを持つことも出来ないでしょう。
ああ、でも愛していました。
私は貴方を愛していました。
貴方を奪った男爵令嬢を殺したいと憎むほどに、だけど殺さずに貴方の妃となれたことを喜べるほどに、貴方を愛していました。
貴方の妃となったときからわかっていた、期限の一年が過ぎ去りました。
お別れです、王太子殿下。
貴方のことを愛していました。だれも愛せない貴方に、これから幸せが訪れるのかどうかを案じるほどに、いつかだれも愛せないご自分に気づいた貴方が絶望に沈む日を楽しみに思うほどに。
★ ★ ★ ★ ★
「どういうことだ!」
王太子は一年前、学園卒業後に結婚した妃の遺体を前にして叫んだ。
結婚相手は男爵令嬢のはずだった。
学園で出会い、政略で婚約させられた公爵令嬢に対するのとは異なる真実の愛に落ち、卒業パーティで彼女との婚約を破棄してまで選んだ相手だった。
なのに、王太子妃のための寝台に横たわるのは、昨日までなんの陰りもなく一緒に過ごしてきた妃の姿は、捨てたはずの公爵令嬢のものだった。
卒業パーティのときよりも少し大人びて見えるだろうか。
学園在学中から男爵令嬢との不貞に苦言を呈されてきたが、あまりの優秀さに解任出来なかった側近の伯爵令息が口を開く。
「我が家は公爵家の寄子です。昔、聞いたことがありました。公爵家には、死者の姿を写し取れる禁呪が伝わっているのだと」
「この女が、私の愛した男爵令嬢を殺して入れ替わっていたというのかッ?」
いいえ、と伯爵令息は首を横に振る。
「その禁呪は、自分が殺した相手の姿を写し取ることは出来ないそうです」
「では、ほかのだれかに依頼して男爵令嬢を殺させたということか」
「それも殺したと見做されます。禁呪を使う人間とまったく関係のないところで死んだ相手の姿しか写し取れないのです」
「男爵令嬢が事故か病気で亡くなったのにつけ込んだのか……」
伯爵令息は、感情の見えない仮面のような顔で王太子に問うた。
「殿下が男爵令嬢のために建て直した劇場の初興行で、専属一座の看板役者が王太子妃殿下を見て狂い死にしたことを覚えていらっしゃいますか?」
「あ、ああ、男爵令嬢は死んだはずだと叫んで……あの男が実行犯か? いや、ヤツが命じられて殺したのなら、公爵令嬢が男爵令嬢の姿を写し取ることは知っているはずだな」
「公爵令嬢は男爵令嬢を殺すつもりで後をつけていたのでしょう。ところがご自分と関係のないところで彼女が殺されたので、機を逃さずに禁呪を使う決心をなさったのではないでしょうか。……一年の期限で命を喪うという代償を支払ってまで」
王太子は妃の寝台の前に膝をついた。
「看板役者はなぜ男爵令嬢を殺したのだ? 彼女は一座とあの劇場を贔屓にしていた。建て直しまでは出来なかったが、裕福な男爵家は彼らに十分な援助をしていたはずだ。……そなた達が私に言っていたように男爵令嬢には隠れた恋人がいて、それが看板役者だったのか?」
伯爵令息は首肯した。
「隠れた恋人だったことは事実でしょう。ですが、両想いではありませんでした。男爵令嬢は一座と劇場への援助と、麻薬漬けにした男の恋人を人質にして関係を強要していたのです。その恋人が劇場の建て直し完了直後に亡くなっていたことも、役者が狂乱した理由のひとつだったのでしょう」
「は?」
「一座の人間と劇場の関係者が真実を告白したのは、あの役者が狂い死にした後でした。生け贄が死んで初めて、自分達も巻き込まれるかもしれないと不安になったのでしょう。彼とその恋人を犠牲にした利益を散々貪っておきながら」
「な、なぜそのときに私に報告しなかったのだッ!」
「殿下以外は気づいていたからです」
伯爵令息の体から力が抜けた。光が失われた瞳は、二度と戻らない存在を夢見ている。
「王太子妃殿下の美しい礼儀作法に、他国の要人と相手国の言葉で交渉するお姿に、ただひたすらに貴方を見つめて心を乞う瞳に。私も公爵家の方々も国王陛下ご夫妻も、彼女が公爵令嬢だと気づいていたのです。……むしろ」
一瞬だけ光が蘇った瞳が、王太子の姿を映す。
「どうして殿下はお気づきにならなかったのです。不思議に思われなかったのですか? 学園を卒業してすぐに結婚なさった男爵令嬢が、完璧な王太子妃として振る舞うことを」
「……私のために努力してくれているのだと思って感謝していた」
王太子は消え入りそうな声で答えて俯いた。伯爵令息が激しく頭を振る。
「男爵令嬢を愛していたのでしょう? 愛していたから公爵令嬢を捨てたのでしょう? 抱き締めて愛を囁き、唇を啄んで体を重ねておいて、なぜ別人だとお気づきにならなかったのです? 公爵令嬢は男爵令嬢と成り代わりたかったわけじゃない! 男爵令嬢ではないことを殿下に気づかれて、憎まれて殺されたくて禁呪を使ったのです。それがわかっていたから、殿下に気づかれなくても一年の期限で彼女がいなくなるとわかっていたから、みな見守っていたのです」
今さら男爵令嬢の悪事を暴いて恥の上塗りをするわけにもいきませんしね、と伯爵令息は吐き捨てるように言う。
学園には近隣諸国からの留学生も多くいたし、卒業パーティには彼らの保護者も列席していた。
そんな場所で婚約破棄をしたのだ。王太子の誉れは地に落ちていた。それが今多少なりとも回復しているのは、この一年間の王太子妃の活躍によるものだった。
「殿下。貴方の妃は男爵令嬢であって、学園の卒業パーティで婚約破棄された公爵令嬢ではありません。彼女のご遺体は私が公爵家へお運びいたします。後は国王陛下ご夫妻と公爵家の方々が上手く取り繕ってくださることでしょう。……私はそのまま殿下の側近を辞させていただきます」
「なぜ!」
「学園在学中にあれほど苦言を呈しても聞いていただけなかったにもかかわらず、私が殿下の側近を続けていたのは、彼女に頼まれたからなのです。王太子殿下を支えてあげて欲しいと」
「な、ならこれからも……」
いいえ、と伯爵令息は首を横に振る。
「殿下は長年の婚約者を捨ててまで選んだ女性の突然の死に衝撃を受け、王太子の座を退かれます。ですので、私が支えなくてはいけない方はいなくなるのです」
伯爵令息の語る未来は、もう決定したものなのだろう。
いつまでも妃の真実に気づかない王太子に、周囲の人間は見切りをつけているのだ。
今はまだ王太子の男は両手で自分の顔を覆った。
この一年、妃の変化に気づかなかった自分は本当に男爵令嬢を愛していたのだろうか。
自分が愛だと思っていたものはなんだったのだろうか。
考えれば考えるほど、深い穴に落ちていくような気がする。公爵令嬢が望んだように、彼は絶望に沈んでいった。
そして、愛されたいと願わずに愛し続けた公爵令嬢の遺体は、彼女に愛されたいとは願わないまま愛し続けた伯爵令息の腕に抱かれて、王太子妃の部屋を出て行った。ここは彼女の部屋ではないから──
<終>
だって貴方は十年来の婚約者だった公爵令嬢の私を捨てて、学園で出会った男爵令嬢をお選びになったのですもの。
貴方の愛を得られないのなら、私の人生は終わったも同然です。
どうせ終わった人生なら、せめて愛する貴方に殺されたいと考えたのです。
ええ、そうです。
愚かな私は学園の卒業パーティで婚約破棄された後も、貴方を愛し続けていたのです。どんなに憎んでも恨んでも、この胸の愛を消すことは出来ないでいたのです。
愛されることが叶わないのなら、せめて憎まれて殺されたいと思いました。
貴方の手を穢すことで、貴方の心に傷をつけ、永遠に貴方の記憶に残り続けたいと考えたのです。
でも無理でした。貴方は私を殺してはくださいませんでした。
貴方は私を殺すどころか、妃となった私を抱き締めて愛を囁き、唇を啄んで体を重ねたのです。
男爵令嬢を愛していたのではないのですか?
彼女を愛したから私を捨てたのではないのですか? なんのために婚約を破棄なさったのです? 強請られたからと、婚約者の私のための予算を流用してまで彼女が愛した古い劇場を建て直して専属一座を支援していたというのに?
貴方はだれも愛せない方だったのですね。
だから長い年月を支え合って生きて来た婚約者の私をゴミのように捨てられたのですね。
愛しているとおっしゃいながら、お選びになった男爵令嬢のことも……
いいえ、いいえ、もう良いのです。
捨てられた身で貴方の妃になると決意したときから、貴方に愛されたいとは願っていませんでした。
この一年間で、殺されることさえ無理なのだと理解いたしました。だれも愛せない方には殺意を抱くほどの憎しみを持つことも出来ないでしょう。
ああ、でも愛していました。
私は貴方を愛していました。
貴方を奪った男爵令嬢を殺したいと憎むほどに、だけど殺さずに貴方の妃となれたことを喜べるほどに、貴方を愛していました。
貴方の妃となったときからわかっていた、期限の一年が過ぎ去りました。
お別れです、王太子殿下。
貴方のことを愛していました。だれも愛せない貴方に、これから幸せが訪れるのかどうかを案じるほどに、いつかだれも愛せないご自分に気づいた貴方が絶望に沈む日を楽しみに思うほどに。
★ ★ ★ ★ ★
「どういうことだ!」
王太子は一年前、学園卒業後に結婚した妃の遺体を前にして叫んだ。
結婚相手は男爵令嬢のはずだった。
学園で出会い、政略で婚約させられた公爵令嬢に対するのとは異なる真実の愛に落ち、卒業パーティで彼女との婚約を破棄してまで選んだ相手だった。
なのに、王太子妃のための寝台に横たわるのは、昨日までなんの陰りもなく一緒に過ごしてきた妃の姿は、捨てたはずの公爵令嬢のものだった。
卒業パーティのときよりも少し大人びて見えるだろうか。
学園在学中から男爵令嬢との不貞に苦言を呈されてきたが、あまりの優秀さに解任出来なかった側近の伯爵令息が口を開く。
「我が家は公爵家の寄子です。昔、聞いたことがありました。公爵家には、死者の姿を写し取れる禁呪が伝わっているのだと」
「この女が、私の愛した男爵令嬢を殺して入れ替わっていたというのかッ?」
いいえ、と伯爵令息は首を横に振る。
「その禁呪は、自分が殺した相手の姿を写し取ることは出来ないそうです」
「では、ほかのだれかに依頼して男爵令嬢を殺させたということか」
「それも殺したと見做されます。禁呪を使う人間とまったく関係のないところで死んだ相手の姿しか写し取れないのです」
「男爵令嬢が事故か病気で亡くなったのにつけ込んだのか……」
伯爵令息は、感情の見えない仮面のような顔で王太子に問うた。
「殿下が男爵令嬢のために建て直した劇場の初興行で、専属一座の看板役者が王太子妃殿下を見て狂い死にしたことを覚えていらっしゃいますか?」
「あ、ああ、男爵令嬢は死んだはずだと叫んで……あの男が実行犯か? いや、ヤツが命じられて殺したのなら、公爵令嬢が男爵令嬢の姿を写し取ることは知っているはずだな」
「公爵令嬢は男爵令嬢を殺すつもりで後をつけていたのでしょう。ところがご自分と関係のないところで彼女が殺されたので、機を逃さずに禁呪を使う決心をなさったのではないでしょうか。……一年の期限で命を喪うという代償を支払ってまで」
王太子は妃の寝台の前に膝をついた。
「看板役者はなぜ男爵令嬢を殺したのだ? 彼女は一座とあの劇場を贔屓にしていた。建て直しまでは出来なかったが、裕福な男爵家は彼らに十分な援助をしていたはずだ。……そなた達が私に言っていたように男爵令嬢には隠れた恋人がいて、それが看板役者だったのか?」
伯爵令息は首肯した。
「隠れた恋人だったことは事実でしょう。ですが、両想いではありませんでした。男爵令嬢は一座と劇場への援助と、麻薬漬けにした男の恋人を人質にして関係を強要していたのです。その恋人が劇場の建て直し完了直後に亡くなっていたことも、役者が狂乱した理由のひとつだったのでしょう」
「は?」
「一座の人間と劇場の関係者が真実を告白したのは、あの役者が狂い死にした後でした。生け贄が死んで初めて、自分達も巻き込まれるかもしれないと不安になったのでしょう。彼とその恋人を犠牲にした利益を散々貪っておきながら」
「な、なぜそのときに私に報告しなかったのだッ!」
「殿下以外は気づいていたからです」
伯爵令息の体から力が抜けた。光が失われた瞳は、二度と戻らない存在を夢見ている。
「王太子妃殿下の美しい礼儀作法に、他国の要人と相手国の言葉で交渉するお姿に、ただひたすらに貴方を見つめて心を乞う瞳に。私も公爵家の方々も国王陛下ご夫妻も、彼女が公爵令嬢だと気づいていたのです。……むしろ」
一瞬だけ光が蘇った瞳が、王太子の姿を映す。
「どうして殿下はお気づきにならなかったのです。不思議に思われなかったのですか? 学園を卒業してすぐに結婚なさった男爵令嬢が、完璧な王太子妃として振る舞うことを」
「……私のために努力してくれているのだと思って感謝していた」
王太子は消え入りそうな声で答えて俯いた。伯爵令息が激しく頭を振る。
「男爵令嬢を愛していたのでしょう? 愛していたから公爵令嬢を捨てたのでしょう? 抱き締めて愛を囁き、唇を啄んで体を重ねておいて、なぜ別人だとお気づきにならなかったのです? 公爵令嬢は男爵令嬢と成り代わりたかったわけじゃない! 男爵令嬢ではないことを殿下に気づかれて、憎まれて殺されたくて禁呪を使ったのです。それがわかっていたから、殿下に気づかれなくても一年の期限で彼女がいなくなるとわかっていたから、みな見守っていたのです」
今さら男爵令嬢の悪事を暴いて恥の上塗りをするわけにもいきませんしね、と伯爵令息は吐き捨てるように言う。
学園には近隣諸国からの留学生も多くいたし、卒業パーティには彼らの保護者も列席していた。
そんな場所で婚約破棄をしたのだ。王太子の誉れは地に落ちていた。それが今多少なりとも回復しているのは、この一年間の王太子妃の活躍によるものだった。
「殿下。貴方の妃は男爵令嬢であって、学園の卒業パーティで婚約破棄された公爵令嬢ではありません。彼女のご遺体は私が公爵家へお運びいたします。後は国王陛下ご夫妻と公爵家の方々が上手く取り繕ってくださることでしょう。……私はそのまま殿下の側近を辞させていただきます」
「なぜ!」
「学園在学中にあれほど苦言を呈しても聞いていただけなかったにもかかわらず、私が殿下の側近を続けていたのは、彼女に頼まれたからなのです。王太子殿下を支えてあげて欲しいと」
「な、ならこれからも……」
いいえ、と伯爵令息は首を横に振る。
「殿下は長年の婚約者を捨ててまで選んだ女性の突然の死に衝撃を受け、王太子の座を退かれます。ですので、私が支えなくてはいけない方はいなくなるのです」
伯爵令息の語る未来は、もう決定したものなのだろう。
いつまでも妃の真実に気づかない王太子に、周囲の人間は見切りをつけているのだ。
今はまだ王太子の男は両手で自分の顔を覆った。
この一年、妃の変化に気づかなかった自分は本当に男爵令嬢を愛していたのだろうか。
自分が愛だと思っていたものはなんだったのだろうか。
考えれば考えるほど、深い穴に落ちていくような気がする。公爵令嬢が望んだように、彼は絶望に沈んでいった。
そして、愛されたいと願わずに愛し続けた公爵令嬢の遺体は、彼女に愛されたいとは願わないまま愛し続けた伯爵令息の腕に抱かれて、王太子妃の部屋を出て行った。ここは彼女の部屋ではないから──
<終>
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