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愛されていないと思い知らせるために公爵家が後ろ盾として必要だと伝えたが、カロリーヌは淡々と言葉を続けた。
「では愛妾をお迎えになられますか?」
「国民に祝福された婚礼から、たった一年でそんなことをしたら国が乱れるよ」
「何年経てばよろしいとお思いになられますか?」
「……」
なんなんだ、これは。
カロリーヌは僕を慕っているんだろう? どうしてこんなことを言うんだ?
弱小貴族家の令嬢を摘まみ食いしていることに気づいているのか?
「ミュゲ様を殺したのは私だとお思いですか?」
「……」
カロリーヌの質問に、僕はほくそ笑んだ。
なんだ、やっぱり僕のことを慕っているんじゃないか。
離縁したり愛妾を持ったほうが僕のためだと思ったのかな。それとも、本当はミュゲ殺害に加わってたから今でも不安なんだろうか。だとしたら利用出来るな。
「……すまない。僕は君を愛せない。ミュゲを愛しているんだ」
とどめのつもりで言った言葉に、カロリーヌは意外な反応を見せた。
わかりました、と答えて僕の制止も聞かず寝室の窓から飛び降りたのだ。まさかミュゲと同じことをしたら、僕に愛されるとでも思ったんだろうか。
僕はカロリーヌに殺人犯だと告白してもらって、僕が公爵家を手玉に取るための道具になって欲しかっただけなのに。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カロリーヌは死んだ。
なんだか現実感がなく、夢を見ているようにふわふわしている。
公爵家は王太子妃でありながら自殺をするなど言語道断という姿勢で、神殿に事故だと報告する代わりに今後も王家を支援してくれると約束してくれた。この国を守護する神様を祭る神殿は、教義で自殺を禁じているからね。
公爵家に頭を下げられて嬉しいはずなのに、どうも実感がない。
中庭に落ちたカロリーヌには、僕よりも先に仕事で王宮に泊まり込んでいた公爵が駆け寄っていた。僕は数日後の神殿での葬儀で、棺越しでしか彼女に別れを告げていない。
カロリーヌは本当に亡くなったのだろうか。……いや、僕を慕う彼女が、僕から離れるはずがない。
なにもやる気になれなくて、仕事のとき以外はぼんやりして過ごした。
弱小貴族家の令嬢達を摘まみ食いするのにも飽きていた。
ああ、でも跡継ぎを作らなくてはいけない。僕は王太子で、未来の国王なのだから。だけど公爵家がそれを許すだろうか。
カロリーヌがいなくなって一年が経ったころ、公爵が一通の手紙を持ってきた。
学園の教員の遺書だという。
どうしてそんなものを……と不思議に思いつつも、ミュゲが自殺したときに旧校舎にはだれもいなかったと証言した男のものだと聞いて、少しだけ興味が湧いた。だれもいなくなる前に、ミュゲを落とすための仕掛けをしているカロリーヌの姿を見ていたのかもしれない。だってカロリーヌはだれよりも僕を慕っていたから。
妻子持ちの教員の遺書には、ミュゲを殺したのは自分だと書かれていた。
ふたりは不倫関係にあったらしい。
彼女が僕に近づいたのは、僕と仲良くして教員を妬かせるためと、別れようとしたら僕に泣きついて嫌がらせしてやると脅すためだった。なんのことはない、僕は彼女の道具だったのだ。
「では愛妾をお迎えになられますか?」
「国民に祝福された婚礼から、たった一年でそんなことをしたら国が乱れるよ」
「何年経てばよろしいとお思いになられますか?」
「……」
なんなんだ、これは。
カロリーヌは僕を慕っているんだろう? どうしてこんなことを言うんだ?
弱小貴族家の令嬢を摘まみ食いしていることに気づいているのか?
「ミュゲ様を殺したのは私だとお思いですか?」
「……」
カロリーヌの質問に、僕はほくそ笑んだ。
なんだ、やっぱり僕のことを慕っているんじゃないか。
離縁したり愛妾を持ったほうが僕のためだと思ったのかな。それとも、本当はミュゲ殺害に加わってたから今でも不安なんだろうか。だとしたら利用出来るな。
「……すまない。僕は君を愛せない。ミュゲを愛しているんだ」
とどめのつもりで言った言葉に、カロリーヌは意外な反応を見せた。
わかりました、と答えて僕の制止も聞かず寝室の窓から飛び降りたのだ。まさかミュゲと同じことをしたら、僕に愛されるとでも思ったんだろうか。
僕はカロリーヌに殺人犯だと告白してもらって、僕が公爵家を手玉に取るための道具になって欲しかっただけなのに。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カロリーヌは死んだ。
なんだか現実感がなく、夢を見ているようにふわふわしている。
公爵家は王太子妃でありながら自殺をするなど言語道断という姿勢で、神殿に事故だと報告する代わりに今後も王家を支援してくれると約束してくれた。この国を守護する神様を祭る神殿は、教義で自殺を禁じているからね。
公爵家に頭を下げられて嬉しいはずなのに、どうも実感がない。
中庭に落ちたカロリーヌには、僕よりも先に仕事で王宮に泊まり込んでいた公爵が駆け寄っていた。僕は数日後の神殿での葬儀で、棺越しでしか彼女に別れを告げていない。
カロリーヌは本当に亡くなったのだろうか。……いや、僕を慕う彼女が、僕から離れるはずがない。
なにもやる気になれなくて、仕事のとき以外はぼんやりして過ごした。
弱小貴族家の令嬢達を摘まみ食いするのにも飽きていた。
ああ、でも跡継ぎを作らなくてはいけない。僕は王太子で、未来の国王なのだから。だけど公爵家がそれを許すだろうか。
カロリーヌがいなくなって一年が経ったころ、公爵が一通の手紙を持ってきた。
学園の教員の遺書だという。
どうしてそんなものを……と不思議に思いつつも、ミュゲが自殺したときに旧校舎にはだれもいなかったと証言した男のものだと聞いて、少しだけ興味が湧いた。だれもいなくなる前に、ミュゲを落とすための仕掛けをしているカロリーヌの姿を見ていたのかもしれない。だってカロリーヌはだれよりも僕を慕っていたから。
妻子持ちの教員の遺書には、ミュゲを殺したのは自分だと書かれていた。
ふたりは不倫関係にあったらしい。
彼女が僕に近づいたのは、僕と仲良くして教員を妬かせるためと、別れようとしたら僕に泣きついて嫌がらせしてやると脅すためだった。なんのことはない、僕は彼女の道具だったのだ。
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