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袖すり合うも多生の縁
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「お隣、よろしいかな?」
夜桜が縁台でお団子を食べていると、一人の男性が声をかけてきた。
見ると、20代後半ぐらいの精悍な顔つきの男だった。
おそらく、席も混み合ってきており空いている席はあまりなかったからだろう。
「どうぞ~」
夜桜はその男性に答えると残っていたお団子を頬張った。
「もきゅもきゅ、、、んー、おひふぃー」
その様子を見ていたその男性はクスリと笑っていた。
それに気づいた夜桜は何だろ?と思いその男性に尋ねた。
「はんへふは?(何ですか?)」
それを聞いた男性はすまないと言いながらもまだ笑っていた。
「いや、申し訳ない。貴女が余りにも美味しそうに食べるものだから、つい。」
謝罪をしつつも、その目は娘でも見る様な優しい目をしていた。
「んん?ほんはら、、もぐもぐ、、、ごくん。それなら別にいいですよ。何か笑ってらしたので、もしかして口の周りが絶望的なぐらい汚れてたり、頭に鳥の糞でも落ちてたりするのかなと思って」
「ははは、それは無いよ」
「それは良かったです。ところでお兄さんはお侍様か何かですか?」
職業病とでも言うのだろうか?夜桜は普段から初めて合う人の職業などは聞くことが多かった。
「おや?どうしてそう思うのかな?」
「立派な刀を二本差しされてますので」
「ああ、成る程」
男性は刀を叩くと誇らしげに言った。
「こいつは私の相棒でね。江戸にいた時からずっと一緒にいるんだよ」
夜桜はその言葉に何か含むものを感じたから、理由を聞いて見ることにした。
「江戸にいらっしゃったのですか?」
「そうだよ。江戸では試衛館という道場を開いていてね、さして大きくは無かったが良い仲間に恵まれた」
「道場を?凄いですね!」
夜桜が驚きを露わにすると男性はニコリと微笑んで、でもちょっと悲しそうな顔をして言った。
「君はさっき、私に侍かと聞いたね。実は私は侍の家系では無い。産まれは農家の息子でね。武士になりたくて当時は沢山、無茶をしたものだ」
「そう、なのですか?でも、たとえ貴方が、真の、武士で無かろうとも、武士である事に、変わりはないでしょう?」
夜桜は驚いたが、それを言うなら自分の出自すら知らぬ自分は何になる、と自分の存在を肯定する為に、自分に言い聞かせる様に言った。
「そうだね。いや、驚いた!まさか、君の様な年端もいかない女子に諭されるとは」
男性の声を聞いて思考の渦から戻ってきた夜桜はハッとしつつも微笑んで言った。
「生意気を言って申し訳ありません。知り合いに似た様な境遇を持った方がいらっしゃって、、、その人の受け売りです」
自分のことを他人の事として男性に言いつつ、この男性に親近感を持った夜桜は、ふと気になったので聞いて見る事にした。
「ところで、今更が過ぎるのですが、貴方のお名前は?」
男性は一瞬キョトンとし、ああしまった!っという顔をした。
「申し訳ない!名も名乗らず失礼した!」
「いいえ、私もまだ名を名乗っておりませんので。では、改めまして、私の名前は榊 夜桜と申します。榊は木へんに示すに申すと書いて、そうですね植物の榊と同じ漢字といえば分かりますか?夜桜は夜の桜と書きます。袖すり合うも多生の縁と申します。どうぞ、お見知り置きを」
夜桜は他人に聞くなら自分からと思い先に自己紹介をした。
「これはこれは、ご丁寧にどうも」
男性は夜桜のやたらと丁寧な自己紹介に驚きつつも自分の自己紹介を始めた。
「私の名前は・・・・・・・」
ドクン
男性がそう言った途端に夜桜の心臓が1つ強く脈打った。
(あ、だめだ。これは、聞いちゃ、いけない)
これまでの経験からか、夜桜の予感はよく当たる。そして、その大体が悪い事だ。
直ぐに聞かないようにしようとしても時すでに遅し。
男性はもう、自分の名前を言いかけていた。
「私の名前は・・・・・・・・」
時間がとても長く感じる。
「・・・・・・・近藤 勇だ」
夜桜が縁台でお団子を食べていると、一人の男性が声をかけてきた。
見ると、20代後半ぐらいの精悍な顔つきの男だった。
おそらく、席も混み合ってきており空いている席はあまりなかったからだろう。
「どうぞ~」
夜桜はその男性に答えると残っていたお団子を頬張った。
「もきゅもきゅ、、、んー、おひふぃー」
その様子を見ていたその男性はクスリと笑っていた。
それに気づいた夜桜は何だろ?と思いその男性に尋ねた。
「はんへふは?(何ですか?)」
それを聞いた男性はすまないと言いながらもまだ笑っていた。
「いや、申し訳ない。貴女が余りにも美味しそうに食べるものだから、つい。」
謝罪をしつつも、その目は娘でも見る様な優しい目をしていた。
「んん?ほんはら、、もぐもぐ、、、ごくん。それなら別にいいですよ。何か笑ってらしたので、もしかして口の周りが絶望的なぐらい汚れてたり、頭に鳥の糞でも落ちてたりするのかなと思って」
「ははは、それは無いよ」
「それは良かったです。ところでお兄さんはお侍様か何かですか?」
職業病とでも言うのだろうか?夜桜は普段から初めて合う人の職業などは聞くことが多かった。
「おや?どうしてそう思うのかな?」
「立派な刀を二本差しされてますので」
「ああ、成る程」
男性は刀を叩くと誇らしげに言った。
「こいつは私の相棒でね。江戸にいた時からずっと一緒にいるんだよ」
夜桜はその言葉に何か含むものを感じたから、理由を聞いて見ることにした。
「江戸にいらっしゃったのですか?」
「そうだよ。江戸では試衛館という道場を開いていてね、さして大きくは無かったが良い仲間に恵まれた」
「道場を?凄いですね!」
夜桜が驚きを露わにすると男性はニコリと微笑んで、でもちょっと悲しそうな顔をして言った。
「君はさっき、私に侍かと聞いたね。実は私は侍の家系では無い。産まれは農家の息子でね。武士になりたくて当時は沢山、無茶をしたものだ」
「そう、なのですか?でも、たとえ貴方が、真の、武士で無かろうとも、武士である事に、変わりはないでしょう?」
夜桜は驚いたが、それを言うなら自分の出自すら知らぬ自分は何になる、と自分の存在を肯定する為に、自分に言い聞かせる様に言った。
「そうだね。いや、驚いた!まさか、君の様な年端もいかない女子に諭されるとは」
男性の声を聞いて思考の渦から戻ってきた夜桜はハッとしつつも微笑んで言った。
「生意気を言って申し訳ありません。知り合いに似た様な境遇を持った方がいらっしゃって、、、その人の受け売りです」
自分のことを他人の事として男性に言いつつ、この男性に親近感を持った夜桜は、ふと気になったので聞いて見る事にした。
「ところで、今更が過ぎるのですが、貴方のお名前は?」
男性は一瞬キョトンとし、ああしまった!っという顔をした。
「申し訳ない!名も名乗らず失礼した!」
「いいえ、私もまだ名を名乗っておりませんので。では、改めまして、私の名前は榊 夜桜と申します。榊は木へんに示すに申すと書いて、そうですね植物の榊と同じ漢字といえば分かりますか?夜桜は夜の桜と書きます。袖すり合うも多生の縁と申します。どうぞ、お見知り置きを」
夜桜は他人に聞くなら自分からと思い先に自己紹介をした。
「これはこれは、ご丁寧にどうも」
男性は夜桜のやたらと丁寧な自己紹介に驚きつつも自分の自己紹介を始めた。
「私の名前は・・・・・・・」
ドクン
男性がそう言った途端に夜桜の心臓が1つ強く脈打った。
(あ、だめだ。これは、聞いちゃ、いけない)
これまでの経験からか、夜桜の予感はよく当たる。そして、その大体が悪い事だ。
直ぐに聞かないようにしようとしても時すでに遅し。
男性はもう、自分の名前を言いかけていた。
「私の名前は・・・・・・・・」
時間がとても長く感じる。
「・・・・・・・近藤 勇だ」
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