走り屋Rё:mix

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~回想からの出会い~

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~10年前~

私の母は走り屋だったという。
とても美しく、誰よりも輝くためと母は言っていた。
「そうね、本当は走っていた頃は何も考えず走っていたわね。」私がなぜ?と答えると、母は続けてくれた。
「仕事とかね、嫌な事を忘れるために走っていたのよ。」
「じゃあ私が大きくなって嫌なことがあったら走り屋になるのかなぁ……。」「それはあなたが決めることよ、瑞羽。」
私は「うん、分かった!」と元気よく答えた。

~現在~

4月6日月曜日
今日は珍しく、目覚まし時計より早く目を覚ました。
高校三年生になった私は車の免許を取れるようになっていた。
「おはよう、お母さん。」
「あら、起きたの?珍しいわね。」
「私だって、たまに早く目を覚ますことくらいあるよ」
「うふふ、そうね、早く朝ごはん食べなさいよ。」
「はーい。」
いつもより早起きしたおかげか、いつもより準備に余裕が出来た。
「髪留めよし、忘れ物なし、よしっ!」
今日は始業式だけで教科書など要らないため、いつもより身体が軽く感じた。
ピンポーン、と家のチャイムが鳴った。多分雪乃だろう。
私は、二階にある自室の窓を開けてベランダに出て「雪乃ーおはよー!」と呼んでみた。
「おっす、瑞羽!今日は起きてたね!」
どうも、皆から寝ぼすけ扱いされている私である。
「お母さーん、んじゃ行ってくるねー。」
「行ってらっしゃい。」
私は、雪乃とたわいもない会話をしながら登校していた。
学校のある方は都会で、高そうな外国車が走っています。
その中に背の低い車を、ガォンと唸らせながら走らせるひとりの中年男性、教頭先生です。
学校に向かって走っていくスーパーカーと言いますか、牛のマークの外国車ですね。
学校で唯一スーパーカーで出勤するのです。
そして後ろから1台の黒い車が教頭先生の外国車を抜いていきました。

外国車と言うには全然外国らしくなく、4枚ドアのセダン型。トランク部分に大きな四角いものが乗っていました。
「かっこいい…」可愛いなどの感情はたくさん出したことありますが、カッコいいという表情は初めてでした。
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