スライム無双しててたらいつの間にか英雄と呼ばれていた件について

あげぱん刑事

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プロローグ

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 この世界には、2通りの人間がいると言われている。
1つは生まれつき才能に恵まれた「勝ち組」と呼ばれる人間、そしてもう1つは生まれつき全く才能に恵まれなかった「負け組」と呼ばれる人間、俺は生まれてくる世界を間違えたと言ってもいい程に圧倒的に負け組だ。
 「魔法」と呼ばれる物が存在するこの世界で人間は、生まれた時から使える魔法がある。それを人は固有魔法(スキル)と呼ぶ。それにより学校や職業、人生までもが決まると言われている。俺、レオ・リドルフのスキルは『スライムに対して全ステータスが百倍upする』というものだ。一見してめちゃくちゃ強い能力に見えるが、スライムは生態系において最底辺のモンスター、初心者冒険者でも余裕で倒せる程のクソ雑魚モンスターだ。それに対してステータスが上がったところでスライムを倒す時間が数秒早くなる程度だ、そもそもスライム単体で討伐クエストが出るなんて聞いた事がない。
 モンスターに対して強くなる系のスキルを持っている人の職業は大体限られている。その中でも俺はモンスターを倒して金を稼ぐ、「冒険者」という職業についている。冒険者は強さや功績によってC~Sランクにクラス分けされている。こんなスキルを持った俺は冒険者歴5年にもかかわらず未だにCランクだ。そして、そんな俺はギルドで「スライムキラー(スライムを殺すもの)」と呼ばれている。皮肉すぎるが飯を食べていくにはこれしかないのだ。今日を、明日を生きる為に大量のスライムを殺す。それが俺、スライムキラーの生きる道だ。 

 まだぼやっとした頭の中を重く響く鐘の音が駆け巡る。その音につられ、重いまぶたをゆっくりと上へ上げる時刻は8時くらいだろうか、ベッドに横たわっていた体をゆっくりと起こしカーテンに手をかけ勢いよく開ける。暗く光が遮断されていた部屋に、光が差し込んだ。朝食としてパンを食べ、服を着替える。薬草を持ち腰に剣をぶら下げ、部屋のドアを開けた。ギルドへと向かう俺の足取りは重かった。また「スライムキラー」と呼ばれからかわれる。それを考えるだけで自分を、このスキルを呪いたくなってしまう。なぜこんな世界に生まれたのか、なぜオレの能力だけこんなに弱いんだ。考えれば考える程にこの能力が憎くなってくる。だがこの世界に生まれた以上俺は今日を、明日を生きなければならない。俺は、再び止めていた足を動かした。ギルドにつくと予想通り周りから 
 「おう、今日は何を狩に行くんだ?」
 「聞いてやるなよ笑」
と俺を嘲笑う声が聞こえる。だが俺はそれを無視し、クエスト受付所へと向かう。
  「スライム討伐のクエストは出てますか?」
そんなもの、出ているはずがないと分かっていてもつい聞いてしまう。
 「あ、すみません現在そのようなクエストはありません。ですが依頼ならありますよ!」
 「そ、それ受けます!」
 依頼クエストは普通のクエストよりも報酬は少ないが、それでもスライムを倒して金を貰えるのならそれ以上の事はない。
 しばらくすると、受付の女性が一枚の紙を持ってきた。
 「ここにサインしてもらってもいいですか?」
その紙には、クエスト内容が書いてあった

         ~最近家の周りに大量のスライムが出るので駆除してほしい~  
                                                                             報酬・銀貨5枚

 (銀貨5枚か、高くはないけど2日間くらいは空腹をしのげるかな・・)
 俺は差し出されたその紙にサインをし、すぐに指定された場所へと向かった。
 依頼主の家は町外れの森の近くにあった。その家は一軒家で周りには小さな畑が広がっていた。オレは扉に向かいノックをする、2~3回ノックしたところで扉が開いた。中からは若く、可愛いらしい小柄な女性が出てきた。
 「あ、あの依頼を受けて来ました」
 女性は俺の事を見るなり肩を落として溜息をついた。
昔からこういう扱いには慣れていたがそれでも傷つくものだ。
 「何か、不満な点でもありましたか?」
 「いえ、もうちょっと強そうな人が来るかと思ってたんで。」
 「大丈夫です。一応俺、スライムキラーって呼ばれてるんで(さっきも呼ばれたし、嘘は言ってないよな…)」
 「ま、まぁそれだったらいいですけど。じゃあ私についてきて下さい。」
      ~半信半疑だが一応納得してくれたみたいだ~
俺はその女性に連れられて家の裏へ行く。そこには無数と表してもおかしくはない程のスライムがいた。
 「このクエストを受けてくれる冒険者さんはいるんですけど、皆さんこれを見ると逃げちゃって。」
 確かにスライムは最弱モンスターと呼ばれる程に弱いが、初心者冒険者からしたらこの数は脅威に感じられるのだろう。
 「では、私は家に戻っているので終わったら呼んで下さい」
 「いえ、その必要はありませんよ。すぐに終わるので。」
何か言いたげな表情をする女性を横目に見て俺は下に落ちていた米粒程の大きさの石を手一杯に握りしめ、スライムがいる方へと投げつける。瞬間、悍ましい程いたスライムが姿を消した。いや、正確には消滅したと言うべきだろうか。
「い、今なにしたんですか⁉︎」
「え、何ってただ落ちてた石に回転をかけて投げただけですよ」
「でもスライムってコアに攻撃しないと倒せないって本で読んだ事がありますけど・・」
「いやスライムを倒す方法は2つあるんです。1つ目は、コアを攻撃する方法そしてもう1つが回復出来ない程に細かくする方法。俺は石に回転をかける事によってスライムを爆破し、細かくしたんです。」
 やり方はどうであれ、クエストを成功した事には変わりない。俺は女性から報酬を受け取りクエスト成功の報告をしに、ギルドへと向かった。
『キャーーーッ』
ギルドへ向かい歩き始めてから四~五分、広々とした草原に女性の声が響いた。先程までいた家の方からだった。間も無く俺は先程の家に向かって走り出した。家の前まで来たところで俺は目の前の景色を疑った。森の木々はなぎ倒され、家は半壊状態だった。そしてうずくまる女性の目の前には上級モンスター、アーマードドラゴンがいた。上級モンスター何て実際見た事が無かった。自分の体の数倍はあり、硬く黒い鱗でその身を覆っていた。勝てる訳がない、今出て行ったら殺される、でも俺が戦わなければその女性は死んでしまう。様々な感情が交錯する、考えた結果俺は剣を抜いた。死を覚悟した俺の体はいつもより軽く感じた。まるでスライムを相手にしている時の様に。
 アーマードドラゴンはその女性に向かって大きな腕を振り上げる、そしてそれを阻止しようと俺は腕に斬りかかる。だがこのままでは間に合わない、俺は全身の力を足に集中させる。
遠い遠いまだ遠い体が悲鳴を上げているとどけとどけあと1歩、俺は折れそうな心を奮い立たせる。そして体の全ての力を振り絞り全力で地面を蹴り飛ばす。途端、時間が止まった。いや実際には自分の速さに時間までもがついてこれなかったのだろう俺の片足が地面につくとともに止まっていた時間が動き出した。だが、どんなに速くてもアーマードドラゴンはその腕を振り下ろすのをやめなかった。血しぶきが舞い空が真紅に染まって見えた。数秒後黒い鱗をまとった腕が大地を揺らした。切られたドラゴンですら痛みを感じない程の神速の刃がアーマードドラゴンの腕を切り裂いた。アーマードドラゴンは恐ろしい程の声量で雄叫びをあげ、森へと逃げていった。
 「か、勝った・・の・か?」
 喜びが込み上げて来る中、足下が歪んで見える。身体の自由がきかなくなり俺は地面に倒れこむ、そこで俺の意識は途絶えた。
  
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感想 6

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みんなの感想(6件)

望月冬夜
2018.12.20 望月冬夜

負け組です

...ヽ( ´_つ`)ノ

解除
 poison
2018.11.25 poison

あく続き書いて、どうぞ

解除
兵動集
2018.09.15 兵動集

負け組挙手


解除

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