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chapter02 紅蓮の魔女【ジャスティス】

scene07 魔術訓練

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 全員が合流した後、累はとっさに思いついた私の付いた嘘をすんなり聞き入れてくれた。一緒に入っていったのは火野先輩の遠い親戚のお姉ちゃんという設定はかなり無理があるかと思いきや、累はホッとして胸を撫で下ろしていたのだ。何とか累には希望を残してあげつつ、この日は解散することにした。帰りの道中にて、心の中のもやもやが晴れたのかどこか機嫌良さそうな累とは対照的に、真実を知ってしまった私とデビルは胸の内に重りを抱えたように肩を落として静かに電車に揺られていた。
 こうしてしばらく沈黙を保ったまま私はふと思った、この箕輪 絵美こと【運命の輪ホイール・オブ・フェイト】は、アルカナの魔術師と呼ばれるに値するほどの人間なのだろうかと。確かに私は一度、アルカナの魔女であるデビルを打ち負かすことができたが、それは何の予備知識も無い上に私を舐めきっていたデビルの傲慢さが招いたものであるのは重々理解している。だが、そんな私を保護という名目で捕まえようとしているジャスティス率いるメイド軍団、そして彼女達の一派に属することとなった火野先輩を相手にしなくてはならない時、私に抗う術は残されているのか甚だ疑問だった。
 私はぼんやりとスマホからクラウドコンテナにアクセスして、これまで様々な資料を元に描き上げてきた魔方陣の画像を眺めた。こうして今見渡せば、最早どんな効果があるのかすら忘れた魔術が無数に保存されていることを思い知らされたのだ。デビルと相対した時は、魔方陣の効能も使い方も咄嗟に使えるかが怖かったので比較的扱いの慣れているものだけを披露したが、それは私の手持ちの魔術の中では氷山の一角に過ぎなかった。まだまだ私は、アルカナの魔術師として半人前だ。

 「よーーしっ…【流星花火コメット・ロケット】、発射ぁっ!!」

 ここは秋葉台から少し離れた郊外にある山奥の採石場の跡地。風化した作業小屋と整然と切り取られた岩だらけの人気のない寂れた場所で、一人気迫のこもった大声を響かせた私は、superfaceに表示された魔方陣をスワイプした。画面の中で魔方陣が勢いよく回転を始めると同時に、私の正面に複数の魔方陣が実体化して出現すると、その中心から私の手の大きさはあるロケット花火の弾頭がニョキッと顔を覗かせた。そしてシャワーのように激しい火花を周囲に散らせ、ホイッスルのように甲高い音を周囲に響かせ、魔術で召喚したロケット花火が次々に放たれた。花火達は螺旋状の軌道を描きながら四方へ射出され、辺りの岩肌に激突しては耳の奥まで突き抜ける破裂音と共に七色の閃光を撒き散らして爆発した。
 「…うーん、ダメかぁ~…」
 辺りが再び静寂に包まれた後、花火が残していった焦げ臭い火薬の臭いを纏った煙を払い除けながら私は正面に広がる光景に落胆した。ここから20メートルほど先の切り立った斜面にカラースプレーで描いた丸い的が煙の先から全くの無傷で姿を現したからだ。ロケットは10発程度放ったが、全発が制御不能となって明後日の方角に飛び去ってしまったようだ。
 ここで私がしていることは練習だ。火野先輩の尾行を終えてはや一週間、暇を見つけては魔術の技術向上に努めるようになっていた。その為には魔術を何度も発動させなくてはお話にならないが、新しい魔術を考案した際の実験場として以前から何度か来たことのあるこの採石場跡地でなければ、ロケット花火を連射するこの【流星花火コメット・ロケット】を安心して発動させられない。しかし、かれこれ半時間ほどみっちり打ち込んではいるものの、魔術の発動はそつなくこなせても狙った場所に当てることは出来ずじまいだった。
 「ふぅっ…難しいなぁ、全然思い通りにならない…」
 魔術の練習をするという行為を今まで意識したことのなかった私は、この場で様々な事を思い知らされた。てっきりsuperfaceをスワイプすれば無尽蔵に魔術が繰り出せると思い込んでいた私は全身に乳酸が溜まっている感覚に苛まれていたのだ。魔女の毒とまではいかなくとも、魔力を消費する際の負担はしっかり使用者の私の肉体に跳ね返り、肉体的疲労感に還元されるようだった。更に、私が描く魔方陣はその描き込みが緻密であればあるほど強力な力を発揮するが、替わりに私の思い通りに制御するには浮遊運搬フロート・キャリーの比較にならないほどの集中力を要するのだ。
 少し息が上がってきている私の耳に、砂利を踏みしめる音が聞こえてきた。だが振り返りはしない、背後から聞こえるその音の主は知っていた。
 「あらあら、派手にやってるじゃない。日本語で言うところの、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってヤツ?」
 魔女のドレス姿で颯爽と現れたデビルが、私を小馬鹿にしたような微笑みを浮かべながら歩み寄っていていた。
 「ふっ、そんなところかな…?」
 「でも、下手すぎて何発撃っても当たらないんじゃ役に立たないわねぇ。あの時私を打ち負かした運命の輪ホイール・オブ・フェイトは別人だったのかな?」
 皮肉たっぷりに言ってくるデビルに一瞬イラッとさせられるが、事実として流星花火コメット・ロケットをまるで手懐けられていないので強く言い返すことができなかった。
 「ううぅ~、まさか自分で作った魔術を自分で上手く使えないなんて…」
 「魔術を使いこなすのには繊細な感覚と集中力が必要なのは魔女も魔術師も同じでしょうに…私だって、花を一輪咲かせるだけでもバラとチューリップでは魔力の加減が異なるんだから、まるで特性の違う魔術をコントロールするには一つ一つの魔術をみっちりやり込んで身体に覚えさせるしかないわね」
 すっかり落ち込んでいる私を見かねたのか、魔術に関しては大先輩であるデビルは彼女なりの助言をしてくれた。要するに「数をこなせ」という訳だが、今まで数多くの魔方陣を描き上げてきたくせにその10分の1にも満たない魔術しかろくに使ったことがないので、私には実に耳が痛い説教だった。
 するとデビルはもむろに右手を天高く突き上げた。指同士を擦り合せる動作をし始めると、手の周囲に淡く黄色い光を帯びた魔力と思われるもやが現れた。それは次第に円盤状に形を整え、やがて黄色い魔方陣として明確な輪郭を形成した瞬間、そこからぽとりと零れ落ちてきたかのように丸々とした黄緑色のココナッツの実が彼女の手の中に出現した。
 「まぁそんなに疲れていたら逆効果でしょう、これでも飲みな」
 そう言うと、デビルはいかにも固そうなココナッツの表皮に左手の人差し指を突き立てた。すると小気味良い音を立てて豆腐か何かにでも指を刺したかのようにいとも簡単にココナッツに穴を開けて見せ、指を抜いた後の穴から透明に透き通った果汁が芳醇な香りと共に滴り落ちてきた。こうしてデビルはココナッツを私に向けて差し出したのだ。
 「ありがとう…じゃあ、いただきます…」
 ココナッツを受け取った私はその穴に口を当てて中の果汁を吸い込んだ。その瞬間、濃密な甘さながらくどさの無いさっぱりとした味わいが渇いた喉の奥にまで広がり、口一杯に頬張った果汁をごくりと呑み込めば、先程の疲労感が溶けて無くなり元気が湧いてくる感覚が全身を駆け巡った。つまり、めちゃくちゃ美味しかった。
 「お、美味しい…」
 「ふっ、当たり前じゃない。新鮮な野菜からジューシーな果実まで、植物を支配する魔女である私が作り出したものが不味いわけないでしょ?」
 思わず私の口から出てきた言葉に、デビルは誇らしそうに鼻息を荒くして腕を組みながら言ってのけた。そうこうしているうちに私は一心不乱にココナッツにしゃぶりつき、その中身は一滴も穴から垂れないほど吸い尽くされてしまった。
 「ふぇ~~、生き返ったぁっ…しっかしこうして考えると便利よね、野菜も果物も作り放題なら一生食べ物に困らないじゃない」
 「まぁ、魔女の私は人間ほど食べ物を食べる必要はないんだけどね。むしろ私は作った野菜を人間達に…」
 そこまで言いかけたところで、急にデビルは黙り込んでしまった。果汁の枯れたココナッツを尚もしゃぶりながら私が横目で彼女の様子を伺うと、その表情は明らかに曇り、瞳は目まぐるしく動き回って視点が定まらなくなっていた。そしてしばらく挙動不審になった後、静かにデビルは口を開いた。
 「思い、出せない…また…? また、私の記憶が…くそっ!!!」
 突如発せられたデビルの咆哮は採石場の隅々まで響き渡った。耳の奥まで劈く怒声に私がびっくりしていると、唇をかみしめたその表情はすっかり険悪で怒りに満ち満ちている面持ちのデビルは、ふとした拍子に沸騰した感情を抑えきれずに辺り構わずぶちまけていた。
 「まただ、いつもこうだっ!! 魔術を使うと忌々しい魔女の毒がいつの間にか私の記憶をかすめ取ってしまう、いつどんな記憶が消されてしまうかも分からない恐怖が、お前には分からないでしょうねっ!!」
 「ちょ、デビル…落ち着いて…」
 「私はこれ以上記憶を失いたくない…下手をすれば絵美の事も、運命の輪ホイール・オブ・フェイトの魔術書の事さえも忘れてしまうかもしれない…いい、今頼れるのは絵美だけなんだからね? お前が未熟だから魔女の毒を解毒できないのならば、死ぬ気で訓練しろっ!!」
 横暴な話だ。だが、デビルの気持ちも分からなくはなかった。私だって記憶を無くす病気を患ったのなら、唯一治せると噂の医者がいたら似たような言葉を投げかけるのではなかろうか。彼女にとっては私は最後の希望なのだ、その私がまだまだ魔術を自分のモノにできていないとあらば必死になるのも当然だ。しかしこうも当たりが強いとこちらも舌打ちをせざるを得なかった。
 「じゃあ、早く魔女の毒を治してほしいのならデビルも死ぬ気で私をサポートしてよ。今の私にとって魔術について話ができるのはデビルしかいないんだよ?」
 「…お前がそれを望むならそうするよ。黙って見ているだけでお前が成長しないのなら喜んで鍛えてあげる。魔女と魔術師では色々勝手が違うところもあるけれど、基本は通じるものがあるはずだからね」
 不快感を露わにした口調で問い詰めた私に、デビルはまだ怒りが顔色に残しつつもやけにあっさりと受け入れてくれた。てっきり「自力で腕を磨け」とかわされるかと思っていたのだが良い方向に当てが外れてしまった。
 「なら今の実力をハッキリさせようじゃないか。絵美、今のお前の手持ちの魔術で最も強力な効果を引き出すものは何?」
 「えっ? 強力な効果って言われても…」
 急な問いかけに戸惑う私にデビルはまくし立てるような口調で続けた。
 「もっとシンプルに考えなよ…お前の中の最強の魔術だ、それくらいあるだろう? それともさっきの流星花火コメット・ロケットが最強?」
 「さ、最強かぁ…ちょっと待って」
 私はsuperfaceを構えると画面上に並んだ魔方陣をスワイプしながらその模様を確認した。私自身は何が最強であるかは分かっていないけれど、描写が複雑で繊細であればあるほど効果が強いのならば、この中で一番描き込まれている魔方陣が私の最強の魔術という事になる。
 しばらく画面と睨めっこをしていると、ある魔方陣に目が止まった。その魔方陣は他とは明らかに濃密な書き込みが施されていたからだ。魔方陣の内側に、それぞれ模様の異なる小さな魔方陣が連なって大きな模様を形成しており、superfaceのイラストソフトを最大倍率で以って緻密なデザインを描写した力作だ。そして魔術の効果を暗示する中央のイラストには、野球場のベースを真上から見たような所謂ダイヤモンドを模した絵と、それを真横に貫いて描かれた船、もとい戦艦の絵が特徴的だった。
 「これだ…私も覚えがあるよ…【46cm満塁弾46センチ・グランドスラム】」
 これを見た瞬間に自然と名前も思い浮かんだ。しかしその名を聞いたデビルは目を丸くしていた。
 「語呂悪いねぇ、絵美のネーミングセンスは奇天烈すぎるよ」
 「仕方ないじゃん、思いつきで付けた名前なんだから…」
 私はそうデビルに言い返した。私は今まで描いてきた魔方陣には厨二病臭い名前を付けてきたがこれは格別で、自分の限界に挑戦しようと意気込んで完成させた最大の失敗作がこれだ。「本塁打」と「砲弾」を掛け合わせ、史上最大の艦砲である戦艦大和の主砲を野球で再現するというコンセプトで作成したものだが、三日三晩かけて完成した試作品を試しに発動させた瞬間に、その夥しい魔力のプレッシャーに根負けして試射することも無く中断し、それきり触らずじまいの魔術であると記憶している。
 これを作ったのは魔術に目覚めて久しい頃だった。あの時の一線を越えてしまった恐怖心は鮮明に蘇るが、今はそれなりに場数は踏んでいる私がこの魔術を使うとどうなるのかという好奇心は、うっすら心の奥底に残されていた。そこへ、デビルの悪魔のささやきが聞こえてきた。
 「こいつを使いこなしてこそ、スタートラインに立てるんじゃない? 絵美の最強の魔術、私も是非見てみたいものだわ…」
 「無責任だねぇ…私はこれを作ったものの、動作確認はしても実際に使った試しはないんだよ?」
 「使ったことがないならそれが最強の魔術か分からないじゃない。もしかすると実は不完全な代物で役に立たないかもしれない。無駄な魔術をストックするのは私が見ても推奨できない。それを確かめる為にも、一度使ってみたらどうだい? 大丈夫さ、余程のことがない限り私が助け舟くらい出してあげるからさ」
 デビルの口ぶりは、私を鍛える為にあえて手厳しい提案をしてくれているのか、単なる興味本位からそそのかしているのか定かではなかったが、私も創造主である自分が使えない魔術があるというレッテルを貼られるのだけは素直に受け入れることができなかった。
 「…分かったよ、じゃあちょっとだけ…一回だけだよ?」
 渋々私はこの目が痛くなるほどの微細な模様が描かれた46cm満塁弾46センチ・グランドスラムのどこかおぞましい雰囲気すら漂わせる魔方陣をスワイプしていた。すると、魔方陣はまるで錆びついた歯車のようにぎこちない動きをして回転を始めた。今までの魔方陣とは明らかに違和感のある動作だ。しかし、魔術はちゃんと発動したのか、superfaceの液晶を飛び出て実体化した魔方陣から私の手の上に向けて黄金色の光が収束していった。そして光は徐々に球体に成形されて膨らんでいき、私の顔がすっぽり収まるほどの大きさにまで膨らんだところで、集まった光の球の表面に真っ赤な閃光でステッチが刻まれていった。久しぶりに見てもこれが野球ボールを模した「砲弾」であることはすぐ想像がついた。
 「ぐぅっ!?」
 しかし野球ボールが完成形に近づいた瞬間、翳した手に米俵でも落とされたような負荷がずしりと圧し掛かってきたのだ。ボールは宙に浮いているはずなのに、そこから発せられる絶大な魔力がもたらす荷重によって私は一瞬バランスを崩してしまった。何とか持ちこたえたが、もうsuperfaceを片手にボールを受け止めていることもできず、superfaceを地面に落としてでも両手を使って、直径46cmの黄金の野球ボールを支えた。
 「ほぅ…確かに最強に選ぶのも頷けるだけの魔力を感じられるねぇ…」
 デビルもボールから漏れ出る魔力を感じ取り、彼女の想像以上だったのか舌を巻いていた。だが当の私はデビルに構っていられる余裕はなく、以前の記憶を頼りにボールの姿勢を安定させながらどうにか片手を離した。そしてそのもう一本の腕にも力を込めると、地面に転がっているsuperfaceの魔方陣から再び光が伸びていき、今度は細長い棒状の形を形成した。野球ボールと来れば次に必要なのは、バットだ。
 「ぐっ…ぬぅぅぅぅぅっ!!」
 片手にボール、もう片手にこれまた黄金のバットを握った時点で、両腕から来る魔力に押されて私の体が押し潰されそうな感覚に陥った。私は歯が欠けてしまいそうなくらいに食いしばって耐えていたが、流星花火コメット・ロケットの時でも体感しなかった身の危険に胸の内から恐怖心が湧き上がってきた。がむしゃらに自分の魔力を支えているうちに、もう魔術の腕を磨くとか最強の魔術を試すとかいう考えは吹き飛び、一刻も早くこの状態から脱したくてしょうがなくなった。
 既に私の集中力も途切れてきているのか、魔方陣の回転は一層遅くなり、形成したボールとバットも徐々に形が崩壊しかかっていた。後はボールをバットで打つだけなのだが、そもそも野球経験者でもない運動音痴の私にまともにボールを打つことなど無理な注文だった。そもそも精神的肉体的に、バットで目の前のボールにひ弱な殴打を当てることが精一杯だったのだ。普通のボールなら数メートル転がる程度の、貧弱な一撃だったのだが、バットとボールが接触した瞬間、パソコンのエラーが発生したかのように歪な形状の魔方陣が接触した面に一斉に広がったのだ。更には巨大なボールが太陽に等しい眩い閃光を発していき…
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