深窓の異世界転移者2世(聖女の息子)は未だ愛を知らない

仮名山ミムミム

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魔物討伐隊 立入制限区域レベル6にて

揺れる 3

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――ドォォォンッ!!





3人が洞窟にたどり着いた時、すぐ近くで何か大きなモノが、別の固いものに衝突するような大きな音が鳴った。




地面が大きく振動し、周囲の木々もワサワサと大きく揺れる。





「――っ!」




「イスタ!?」




「木にあまり近付くな!引っ掛かりでもしたら、ローバーから振り落とされるぞ!」




メイは、ローバーを運転しながらバランスを崩しかけたイスタに向かって声をかける。メイの後ろに乗っていたノエルも、振り向いて後方のイスタの様子を確認する。




ローバーは地上から浮いた状態で走らせることができるので、地面の揺れには影響されないが、揺れている周囲の木に当たらないように運転しなけばならなかった。




「洞窟の横をすり抜けた先の山頂付近でおそらく魔物が暴れてる。もっと大きな地すべりでも起こされたら、山の中腹にいる後続部隊が危ねぇ。引きつけて動きを止めるぞ」





メイの指示に、ノエルとイスタは頷いた。





慎重にローバーを乗り進めていくと、白く光る一本の大きな聖樹が佇む場所にたどり着いた。






「――あれは、エオマニス…!?」





メイは、聖樹の横に立っている黒い魔物を見て呟いた。




「エオマニスって、S級の魔物ですよね!?それも、伝説級の…」




イスタは、エオマニスの様子を確認する。四つ足で立っている黒い魔物は、アリクイのように細長い口をしており、長い尻尾もある。そして全身は固い鱗で覆われていた。口の先から尻尾までは10メートル程の長さがあった。




メイとイスタが魔物の様子を伺っている時、ノエルは聖樹の様子をじっと見つめていた。20メートルは超えている巨大な聖樹で、今まで見てきたどの聖樹よりも強く白く光っている。






(聖樹の周りに黒い点が集まってる…!)





白く光る聖樹の周りを、黒いロープのようになった点の集合体が蔦のように何重にも張り巡らされていた。どうやら、あの巨大な聖樹に病魔ストレスが集まっているようだ。




すると突然、エオマニスは身体をボールのように丸くしたかと思うと、勢いをつけて巨大な聖樹の幹に突進した。




再び、猛烈な衝撃音が辺りに鳴り響いた。そして大地が大きく揺れる。回りの木々も横に大きく揺れた為、ノエル達は、これ以上ローバーで近付くことが難しいと判断し、3人はローバーをとめ、地上に降り立つ。





「あの聖樹に攻撃して、地鳴りを起こしてるみたいだな…」




メイは、エオマニスから視線を離すことなくそう呟いた。




「あんなに大きな聖樹は見たことがありません…おそらくあれは…」




「この辺りを治めてる精霊の長の住処…と考えるのが妥当だろーな」




ノエルのセリフに被せるようにメイは答えを導き出した。そんなメイにイスタは思わず質問を投げかける。




「精霊の長って…精霊にもランクがあるんですか?」




「王都エンペラル、海の地方オラクル、山の地方ルノール、そして星島タースルそれぞれに精霊の長がいると言われてる。それをまとめていたのがパラビナ王国の大聖樹カンファールに住む精霊というのが通説だ」





「あの聖樹…エオマニスの攻撃で、かなり疲弊してます。精霊の加護が消えてしまうかもしれません。どうにかして守らないと…」





ノエルの呟きにメイも同意する。



通常、力の弱い魔物の攻撃には、聖樹は影響を受けないと言われているが、伝説のS 級の魔物からの攻撃には精霊の加護とあっても影響を受けてしまうようだ。




「とりあえず、エイブラムスと2人で、エオマニスの興味を聖樹からこちら側に引き付ける。ノエル、その間にお前は聖樹のところに行って、聖樹をみてこい。あれほど巨大な聖樹だと全体に防護魔術を施すのは難しいとは思うが…できる限りやってみろ。エオマニスの攻撃がきたら、迷わず自分の身を優先して守れ。いいな?」




メイの指示にノエルとイスタは同時に「はい!」と返事をして、イスタはエオマニスの元へ駆けるメイの後を追い、ノエルは聖樹の方向へ走り出した。






――パァンッ!!!





メイの放った攻撃の魔術が、エオマニスの固い鱗にぶつかる。エオマニスが、メイとイスタの方を振り向き2人がいる方へと歩き出した。





ノエルは2人のおかげで、エオマニスに気づかれること無く、聖樹の側まで辿り着いた。聖樹の太い幹に両手をつけ、歌うように治療魔術の詠唱を始める。




ノエルの両手から白い光が流れ、聖樹に伝わっていく。ノエルは、聖樹の幹に巻き付いている黒い蔦を一つ一つ解して消していくイメージを持って治療魔術をかけた。






「――おぉ…なかなかの腕前だの…助かるのぉ」
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