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新たな街と冒険者と森の異変
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昨日森に入って一時間ほど、調査兼討伐を進めていくと、ここがいかに危険地帯かが分かった。ここの外でベテランの冒険者でも死ぬ可能性のあるAランクやBランクは雑魚の位置。Sランクもたまに出てくる程の森だそうだ。…確かに、最重要危険地帯になるのが普通だろう。…だが、この程度でガイアスや俺を足止めするもは無理だ。ガイアスはSランクと言われているが、実力的にはSSランクの中堅に値する。なぜそこまでランクを上げなかったかと聞くと、
「そこまで上げる為の試験は1ヶ月かかる可能性もあるんだぜ。その間家族と会えないなんて、寂しすぎるだろ。」
なんて言葉が返ってきた。どうやら、ガイアスは既婚者らしい。家族を大切にするいい漢だなと思う。家族愛が強いのはいいことだ。
そこから、話しながら進むことしばし。ちょうどいい広さの広場を見つけ、野営をすることになった。夜の見張りは俺の魔法で無しだ。俺が時間をかけて結界を張ると、ここらに居る魔物では絶対に解けないものができる。ガイアスは最初、全然信じていなかったが、全力で結界を攻撃し、一切揺るがなかったところから信じてもらえた。
…SSランクの全力の攻撃に耐えた…これはすごいな。自分で張ってながらだけど。ちょっとまで貴族の落ちこぼれだった俺がここまで強くなるとは…まぁ、それでも力の使い方を謝らないようにはしないとな。気をつけよう。
「夕食はどうする?」
「…じゃあ、途中で狩ったオーガキングを使っていいか?俺は調理できるんだが…。」
「そうか。使っていいからそれで作ってくれ。」
「わかった。」
野営の準備が整った後、ガイアスが俺に飯について話してきた。前世で自炊、今世でも料理だけはあの貴族家でも認められている実力だ。ちなみに、オーガキングとはAランクの魔物であるオーガの王で、その単体でSランク上位の力を有する。…とは言え、俺たちの前に出た瞬間にガイアスに首をかられたのだが。ガイアス、化け物だな。とは言え、俺も同じくらいのランクの魔物のレッドコカトリスと呼ばれる魔物を倒しているので、人のことは言えないがな。それに、まだあの武装を使っていないので、まだ全力を出していない。おそらく、ガイアスもそうだろうな。
「そうだな…この食材で作れるのは…ステーキでいいか。シンプルイズベストだな。とは言え、しっかりと血抜きがされている新鮮な肉だと、それでも十分美味いと思うがな。」
何を作るか決まった後は、さっさと作る。亜空間の倉庫から、解体後のオーガキングの肉を取り出し、仕上げの処理を終わらせ、鍋に入れる。この鍋の中には、最下級のポーションが入っている。実は、魔物の肉はものすごく臭みがあるのだ。だが、街から持って行ける物資は限られているために、普通の冒険者は現地調達で獲れる魔物の肉を食べるしかないのだ。だが、俺は家の人たちに作っていた時に見つけた調理法が、ポーション液に浸す事だった。それにより肉の臭みは一切消え去るのだが、その情報を元家族に教えると自分の出したアイデアとして、金儲けの元になりそうだったから、普通の動物の肉ということで誤魔化していた。見た目は普通の肉だしな。
「なぁ、これの中に入っているの、ポーションだよな?」
「…ああ。それにつけておくと、魔物の臭みが消えるんだ。」
「へーこれで臭みが………ンン!?これで臭みが消える⁉︎ま、マジか!?」
「マジ」
「だ、大発見じゃないかぁぁーーーー‼︎」
急に騒がしくなったガイアスを横目に、料理を進めていく。…さっきまで何かを考え込んでいた時は静かだったのに…。急にうるさくなったな。
「…これは、やはり…。」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんでもない。それより、さっきの情報を買ってもいいか?」
「?情報を…買う?」
「ああ。冒険者ギルドがその情報を買いたいのだ。それで、冒険者たちに公開して、少しでも楽にしてやりたいんだ。あいつらも、ここらの治安維持や危険な魔物の討伐をしてくれるしな。」
…なるほど。少なくとも、元家族のような使い方はしなさそうだな。こいつのような奴ならいいかな?
「いいぜ、ギルマス。」
「おう…え?…俺、バレるようなことしたか?」
「いや、今のギルドメンバーを考えているセルフでわかった。そして、情報に関しても分かった。だが、一つ、条件としてその情報で金儲けはしない。…とは言え、無料は流石に無理だろうから、銀貨五枚程度でばら撒いてくれ。」
「なるほど…それか。それでもすぐそこに行けるのはすごいな。それと、条件についても分かった。確かにそれくらいなら大丈夫だろ。情報量についてはこの依頼から帰ってからでいいか?この森の調査依頼の分の金と一緒に払わせてもらいたいのだが…。それと、あとどれくらいでそれが焼けるんだ?」
「金については了承しよう。肉は…そろそろだ。」
色々と話し込んでいると、肉がいい匂いを発し始めた。これはうまそうだ。俺も早く食べたいが…今!
しっかりと焼けたことを見計らって、肉をあらかじめ準備していた場所に移す。そして、少しでも早く作り置きのタレをかけ、ちょっとした焼き野菜を横に盛る。完成だ。
「できたぞ。いただきます。」
「おう。」
俺は、ガイアスに聞こえないように前世からの習慣である言葉を言い、一口食べる。___っ‼︎これは…うまい。一口噛むごとに、肉汁が出てきて、口の中を埋め尽くす。オーガキングのあの、筋肉質の体からは考えれないくらいの柔らかさで、信じられないくらいにうまい。しかも、タレがその美味さを絶妙に引き立てている。前家族の家で作った時の素材があまり良くなかったが、今回の食材が良質だからか、信じられないくらいに美味い。
俺たちは、お互いに無言で幸せのひとときを楽しみ、その後もゆったりとその余韻を味わうのだった。
「なぁ、お前。俺の家で専属料理人にならないか?」
「…は?」
冒険者の俺に、料理人?そんだけ美味かったのか?
「一食金貨五枚出すぞ。」
「…それはうまいが、遠慮させてもらう。俺は性分的に冒険者があっているしな。」
「…そうか。じゃあ、冒険者としてなら…。それはそうと、明後日帰ったらお前のランクを上げさせてもらうぞ。その実力はFランクに合っていないからな。つか、もはや詐欺の領域だろ。」
「…確かに。まぁ、ランクが上がって困ることはないしな。頼む」
「ああ。任せろ。っと、もう遅いし、寝るか。」
「そうだな。」
その後、飯の後片付けを終えた俺たちはそれぞれのテントに入り、さっさと寝たのだった。
「そこまで上げる為の試験は1ヶ月かかる可能性もあるんだぜ。その間家族と会えないなんて、寂しすぎるだろ。」
なんて言葉が返ってきた。どうやら、ガイアスは既婚者らしい。家族を大切にするいい漢だなと思う。家族愛が強いのはいいことだ。
そこから、話しながら進むことしばし。ちょうどいい広さの広場を見つけ、野営をすることになった。夜の見張りは俺の魔法で無しだ。俺が時間をかけて結界を張ると、ここらに居る魔物では絶対に解けないものができる。ガイアスは最初、全然信じていなかったが、全力で結界を攻撃し、一切揺るがなかったところから信じてもらえた。
…SSランクの全力の攻撃に耐えた…これはすごいな。自分で張ってながらだけど。ちょっとまで貴族の落ちこぼれだった俺がここまで強くなるとは…まぁ、それでも力の使い方を謝らないようにはしないとな。気をつけよう。
「夕食はどうする?」
「…じゃあ、途中で狩ったオーガキングを使っていいか?俺は調理できるんだが…。」
「そうか。使っていいからそれで作ってくれ。」
「わかった。」
野営の準備が整った後、ガイアスが俺に飯について話してきた。前世で自炊、今世でも料理だけはあの貴族家でも認められている実力だ。ちなみに、オーガキングとはAランクの魔物であるオーガの王で、その単体でSランク上位の力を有する。…とは言え、俺たちの前に出た瞬間にガイアスに首をかられたのだが。ガイアス、化け物だな。とは言え、俺も同じくらいのランクの魔物のレッドコカトリスと呼ばれる魔物を倒しているので、人のことは言えないがな。それに、まだあの武装を使っていないので、まだ全力を出していない。おそらく、ガイアスもそうだろうな。
「そうだな…この食材で作れるのは…ステーキでいいか。シンプルイズベストだな。とは言え、しっかりと血抜きがされている新鮮な肉だと、それでも十分美味いと思うがな。」
何を作るか決まった後は、さっさと作る。亜空間の倉庫から、解体後のオーガキングの肉を取り出し、仕上げの処理を終わらせ、鍋に入れる。この鍋の中には、最下級のポーションが入っている。実は、魔物の肉はものすごく臭みがあるのだ。だが、街から持って行ける物資は限られているために、普通の冒険者は現地調達で獲れる魔物の肉を食べるしかないのだ。だが、俺は家の人たちに作っていた時に見つけた調理法が、ポーション液に浸す事だった。それにより肉の臭みは一切消え去るのだが、その情報を元家族に教えると自分の出したアイデアとして、金儲けの元になりそうだったから、普通の動物の肉ということで誤魔化していた。見た目は普通の肉だしな。
「なぁ、これの中に入っているの、ポーションだよな?」
「…ああ。それにつけておくと、魔物の臭みが消えるんだ。」
「へーこれで臭みが………ンン!?これで臭みが消える⁉︎ま、マジか!?」
「マジ」
「だ、大発見じゃないかぁぁーーーー‼︎」
急に騒がしくなったガイアスを横目に、料理を進めていく。…さっきまで何かを考え込んでいた時は静かだったのに…。急にうるさくなったな。
「…これは、やはり…。」
「ん?なんか言ったか?」
「いや、なんでもない。それより、さっきの情報を買ってもいいか?」
「?情報を…買う?」
「ああ。冒険者ギルドがその情報を買いたいのだ。それで、冒険者たちに公開して、少しでも楽にしてやりたいんだ。あいつらも、ここらの治安維持や危険な魔物の討伐をしてくれるしな。」
…なるほど。少なくとも、元家族のような使い方はしなさそうだな。こいつのような奴ならいいかな?
「いいぜ、ギルマス。」
「おう…え?…俺、バレるようなことしたか?」
「いや、今のギルドメンバーを考えているセルフでわかった。そして、情報に関しても分かった。だが、一つ、条件としてその情報で金儲けはしない。…とは言え、無料は流石に無理だろうから、銀貨五枚程度でばら撒いてくれ。」
「なるほど…それか。それでもすぐそこに行けるのはすごいな。それと、条件についても分かった。確かにそれくらいなら大丈夫だろ。情報量についてはこの依頼から帰ってからでいいか?この森の調査依頼の分の金と一緒に払わせてもらいたいのだが…。それと、あとどれくらいでそれが焼けるんだ?」
「金については了承しよう。肉は…そろそろだ。」
色々と話し込んでいると、肉がいい匂いを発し始めた。これはうまそうだ。俺も早く食べたいが…今!
しっかりと焼けたことを見計らって、肉をあらかじめ準備していた場所に移す。そして、少しでも早く作り置きのタレをかけ、ちょっとした焼き野菜を横に盛る。完成だ。
「できたぞ。いただきます。」
「おう。」
俺は、ガイアスに聞こえないように前世からの習慣である言葉を言い、一口食べる。___っ‼︎これは…うまい。一口噛むごとに、肉汁が出てきて、口の中を埋め尽くす。オーガキングのあの、筋肉質の体からは考えれないくらいの柔らかさで、信じられないくらいにうまい。しかも、タレがその美味さを絶妙に引き立てている。前家族の家で作った時の素材があまり良くなかったが、今回の食材が良質だからか、信じられないくらいに美味い。
俺たちは、お互いに無言で幸せのひとときを楽しみ、その後もゆったりとその余韻を味わうのだった。
「なぁ、お前。俺の家で専属料理人にならないか?」
「…は?」
冒険者の俺に、料理人?そんだけ美味かったのか?
「一食金貨五枚出すぞ。」
「…それはうまいが、遠慮させてもらう。俺は性分的に冒険者があっているしな。」
「…そうか。じゃあ、冒険者としてなら…。それはそうと、明後日帰ったらお前のランクを上げさせてもらうぞ。その実力はFランクに合っていないからな。つか、もはや詐欺の領域だろ。」
「…確かに。まぁ、ランクが上がって困ることはないしな。頼む」
「ああ。任せろ。っと、もう遅いし、寝るか。」
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その後、飯の後片付けを終えた俺たちはそれぞれのテントに入り、さっさと寝たのだった。
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