秘密基地は大迷宮〈ダンジョン〉に

カイエ

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一章「秘密基地をダンジョンに」

#7 大人ダイチ

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 さて、どうしよう。
 まずは状況を整理しよう。

1.入り口から30分、複雑な迷路の途中で、どこでどう曲がったかがわからない
  → お手上げっぽい

2.真っ暗である。
  → 手探りで歩くのは危険すぎる

3.ここにいることは、婆ちゃんが知っている
  → つまり、待っていればそのうち大人が探しに来るだろう。

 よし、落ち着いた。
 少なくとも死ぬことはないだろう。

「みんな、聞いて」

 ヒックヒックと泣いている二人に、ぼくは声をかけた。

「少なくとも、死ぬことはないよ。これは確定」
「なんで……言い切れるのさ……」
「だって、ここにいることは、婆ちゃんが知ってるもん。ぼくらが帰ってこなければ、当然騒ぎになるよね」
「うわーん」

 泣かないでよ。

「つまりここで待ってれば、すぐに大人たちが探しにくるよ。だから……下手に動かない方がいいと思う」

 ウロウロ歩き回って余計に迷うよりはいいよね、言うと、少しだけホッとした空気になった。

「でもさ、秘密基地のこと……たった一日でバレちゃうね」

 コータが鳴き声で言う。

「もう行っちゃダメって言われるだろうなぁ」

 ケンゴも落胆した声で言う。

「自力で門限までに帰れれば一番良いんだけどなぁ」
「無理だよ、真っ暗じゃん……」

 そう言って、周りを見回す。
 と。

「あれ?」

 なんか、目が慣れてきたのか、何かが見えるような……?

「ねぇ、あそこ……なんか見えない?」

 みんなに声をかけるが、

「あそこってどっちだよ」
「指さしてもわかんないよ、真っ暗なんだから」

 みんな気づいてないみたいだ。

「あー、じゃあ周りをゆっくり見回してみて」

 そう言うと、ゴソゴソと音がする。
 見回してくれてるらしい。

「何も見えないぞ」
「うん、何もないけどな」

 二人には見えないらしい。
 でも、間違いなく何かある。というか、あれは……

「出られるかもしれない」

 ぼくがポツリと言うと、

「本当か!?」
「どうやって!?」

 二人から、期待と疑いが混じり合ったような声が返ってくる。

「多分、こっちだから」

 二人の手を引く。

「ちょ、どこへ行くんだよ」
「下手に動かないほうがいいって! 自分で言ってたじゃん!」

 二人は不安そうにしている。
 これは、早めに脱出しないと、トラウマになりかねないな。

「いや、当てがある。に付いてこい」

 こういうときは、曖昧な言い方をするよりも、はっきり言い切ったほうがいい。
 大丈夫だ、と二人に断言する。

「見ろ」

オレは、曲がり角にある蛍光石に手を触れる。
ぽぅ、と蛍光石が光を放った。

「「わぁっ!!」」

 二人が、驚きの声を上げた。

「なんだお前たち、蛍光石を見るのは初めてか?」

 二人は、ぼんやりと、しかし間違いなく光る石を見つめながら頷いた。

「これは蛍光石といって、ダンジョンの道標みちしるべだ。近くに人が通ると反応してしばらく光る。光る時間は通った人間の魔力量によるな」

 そして、ほのかに緑色に光る石と、赤っぽく光る石を指差して、軽く説明しておく。

「蛍光石には赤光石と緑光石があって、ダンジョンにもよるが並び順にルールがある。本来なら入り口は反対方向のようだが……まぁこの場合は来た道を戻るのが正解だろう」

 ぽかんとした顔で、二人はオレを見つめる。

「なんだ二人とも。不思議そうな顔をして」
「……キミ、ダイチ……だよね?」
「何を当たり前のことを言ってるんだ?」

 オレはため息をついて、

「まぁいい。こうやって触れれば蛍光石は光る。すでに反応が始まっている蛍光石も影響を受けて光るから、もと来た道を辿って帰るのは簡単だ。ほら、次はこっちだ」

 そう言ってオレは二人を引っ張って進む。
 二人はおとなしくついてくる。

「次はこっちだ」

 進む、進む、進む。
 何、たった三十分程度の道程だ。急いで歩けば十五分もかからない。
 
 案の定、しばらく歩くと蛍光石とは違う光――太陽光が差し込んでいる場所に出た。
 足元には、コータが用意したものの役に立たなかった紐が転がっている。

「ほら、ね?大丈夫だったでしょ」

 はそう言って、二人にニッと笑いかけた。
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