彷徨うペンギン

謝罪

　「す、す、すまなかった。お前を蹴ったりして…」

　キリンは、絞り出すように声を発した。
　そこには、悔しさやプライドを踏みにじられたという感情が含まれているが、子供であるキリンにここまでさせて、自分がしないわけにもいかなかった。
　それを知ってか知らずか、ペンギンは満足そうにうなずき。
　
　「良し。それでいい。その言葉が聞けただけで十分だ。私も君を許そう！」

　ペンギンはとても上機嫌だった。
　自分が欲してやまなかったキリンの謝罪の言葉が聞けたのだから、鼻歌でも歌いながらスキップして帰りたいくらいには機嫌がいい。

　「さて、では用も済んだことだし、私はお暇するよ！」

　ペンギンはここには用は無いと、さっさと帰ろうとする。

　「待ってくれ！」

　しかし、キリンがそれを止める。

　「何だね？」

　キリンは神妙な顔つきをしていた。
　ペンギンは妙に嫌な予感を感じていたため、今すぐにでもここを離れてしまいたかった。
　このままでは、厄介ごとを押し付けられるに決まっている。
　自分がそういう星の元に生まれたのをペンギンは知っている。

　「お願いがある！」

　しかし、ペンギンが逃げるには遅すぎた。