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レッツロックオン
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ようやく笑可withグレートパワーズの演奏の足並みは揃ってきた。
彩風さんは彼氏である山沢さんの共通の知人からMTR(マルチトラックレコーダー)を借りてきたからそれで新曲を録らないかという話になった。
『音の鳴るほうへ』
『堕とされた世界で』
『お笑い芸人と映画監督と火星と猫』
『スプリングマンのテーマ(ユニコーンのカバー)』
『桜の季節(タイトルこそ紛らわしいがオリジナル)』
この5曲を2日間に分けて録ることにした。
ボクがベースで各曲のコードをなぞるのに苦戦しているからである。
他の3人は手慣れていて、結局ドラマーを探す労力よりも山沢さんがリズムマシンを駆使したり、カンタンなリズムを入れて後で彼が自宅でリズムトラックを付け足すという形をとることになった。
特筆すべきはグランジな曲調でサビは丸サ進行を使う堕とされた世界でだろうか。
厨二な歌詞が炸裂していた。
この堕とされた世界で
悪魔が天使を凌辱して回る
お咎めのない現実に
無力感にボクは飲まれる
そう だから世界は醜い
もう こんな世界は壊せ
振り上げた拳でガラスを
割り続ける 割り続ける
笑可は頑張ってドスの効いた低い声を出そうとしたが上手くいかず、彩風さんに頼み込み彼女がボーカルをとることになった。
ただし、キーボードを弾きながら歌う器用さはないと言う彼女は声を張り上げて練習で歌った。
1日目は難易度の高い曲2曲とシンプルな1曲をとることに決まった。
スプリングマンや桜の季節が次の日のレコーディング曲だ。
3曲の中でお笑い芸人と~がかなり現代社会に疑問を投げかける歌だった。
ゴシップ誌の性加害がどこまで本当でウソかわからないという、素直な彼女の疑問の歌だった。
古くは吉田拓郎さんや森進一さんなどに全く身に覚えのない性加害の噂が広まり、2人に計り知れない精神的ダメージと周囲にも様々な衝撃を与えただろう。
狂言がまかり通り、何も悪いことをしていない有名ミュージシャンが疑惑を払拭するのに時間がかかったり森進一さんに関しては実の母が息子を信じきれなかったのか自死を選んだ。
笑可の歌は子供の頃から知っていた大物お笑い芸人が文春砲ですっぱ抜かれたことに対しての、自分なりの答えなんだろう。
『お笑い芸人と~』は中立的な視点の歌で、罪というものがわかりにくい場合神のみぞ知るといった内容だった。
3曲の録音は1曲1時間で済んだ。
12時に練習スタジオ入りして、喋ったり色々やってたら18時になってしまった。
空腹なボクらは酒好きな山沢さんの主導により、居酒屋に寄ることに。
「彩風もいるし、とりあえず2人はお酒飲めないからな」
ボクに言ってくる山沢さん。
「それにしても松本人志の件が気になりすぎて、酒の味もわからん」
とこぼす山沢さん。
「なんとも言えないですよね。証拠ったって8年も経つワケですし」
「笑可ちゃん、こんな話大丈夫? 席ほかのとこ行っちゃう?」
「いえ、大丈夫です」
「オレとしてはHJUNGLE WITH Tで松ちゃんがゲイシャガールズの格好して浜田に近寄る映像とか、ゲイシャ~でラッパー顔負けのマシンガントークしてるのスゴイと思ってたから、松ちゃんがおかしなことしたとは思いたくないねん」
「そうですか。山沢さんが話をしたいのはわかるんですけど、笑可がいるのでこの話はこの辺で」
「そうだな、酒が不味くなる。とはいえ吉田拓郎さんや森進一さんみたいな狂言であればいいのにってある程度はダウンタウン好きな人間からすると思ってまうねん」
「豹馬くん、何頼む? 私たち焼き鳥食べようとしてるんだけど」
話題を変えようとする彩風さん。
「ボク、塩のももとタレの砂肝で。豹馬は何が食べたいんな?」
「えっと、つくねのタレと塩のレバーとか? お通しのキャベツおいしい」
「鳥じゃないんだから、何で居酒屋の無料のお通しでキャベツなんか食わなきゃいかんのか。ボクは酒の進むお通しが食べたい」
よほど松本人志さんのことが気がかりなのか、不機嫌な山沢さん。
「お笑い芸人に人格を求めるのが間違ってるのよ。極楽とんぼの山本なんか……笑可ちゃんいるからやめとくか」
「あれは加藤が可哀想だと思う。相方っているだけで世間の風当たりはひどかったように見える」
「とりあえず笑可は録った5曲をVictorに持っていくんだよな?」
「うん。みんなでデビューしたい」
「もし受かったらサカナクションと同じレコード会社って自慢できるな」
「裏方的な感じでサポートするよ、笑可ちゃん」と山沢さん。
「あー、来た卵焼きの明太子ソースがけ美味しそう」
「マヨネーズ入ってないよな、その卵焼き。ボク苦手なんだよ」
こうして最初は不穏な空気が流れかけたが、居酒屋打ち上げは終わった。
彩風さんは彼氏である山沢さんの共通の知人からMTR(マルチトラックレコーダー)を借りてきたからそれで新曲を録らないかという話になった。
『音の鳴るほうへ』
『堕とされた世界で』
『お笑い芸人と映画監督と火星と猫』
『スプリングマンのテーマ(ユニコーンのカバー)』
『桜の季節(タイトルこそ紛らわしいがオリジナル)』
この5曲を2日間に分けて録ることにした。
ボクがベースで各曲のコードをなぞるのに苦戦しているからである。
他の3人は手慣れていて、結局ドラマーを探す労力よりも山沢さんがリズムマシンを駆使したり、カンタンなリズムを入れて後で彼が自宅でリズムトラックを付け足すという形をとることになった。
特筆すべきはグランジな曲調でサビは丸サ進行を使う堕とされた世界でだろうか。
厨二な歌詞が炸裂していた。
この堕とされた世界で
悪魔が天使を凌辱して回る
お咎めのない現実に
無力感にボクは飲まれる
そう だから世界は醜い
もう こんな世界は壊せ
振り上げた拳でガラスを
割り続ける 割り続ける
笑可は頑張ってドスの効いた低い声を出そうとしたが上手くいかず、彩風さんに頼み込み彼女がボーカルをとることになった。
ただし、キーボードを弾きながら歌う器用さはないと言う彼女は声を張り上げて練習で歌った。
1日目は難易度の高い曲2曲とシンプルな1曲をとることに決まった。
スプリングマンや桜の季節が次の日のレコーディング曲だ。
3曲の中でお笑い芸人と~がかなり現代社会に疑問を投げかける歌だった。
ゴシップ誌の性加害がどこまで本当でウソかわからないという、素直な彼女の疑問の歌だった。
古くは吉田拓郎さんや森進一さんなどに全く身に覚えのない性加害の噂が広まり、2人に計り知れない精神的ダメージと周囲にも様々な衝撃を与えただろう。
狂言がまかり通り、何も悪いことをしていない有名ミュージシャンが疑惑を払拭するのに時間がかかったり森進一さんに関しては実の母が息子を信じきれなかったのか自死を選んだ。
笑可の歌は子供の頃から知っていた大物お笑い芸人が文春砲ですっぱ抜かれたことに対しての、自分なりの答えなんだろう。
『お笑い芸人と~』は中立的な視点の歌で、罪というものがわかりにくい場合神のみぞ知るといった内容だった。
3曲の録音は1曲1時間で済んだ。
12時に練習スタジオ入りして、喋ったり色々やってたら18時になってしまった。
空腹なボクらは酒好きな山沢さんの主導により、居酒屋に寄ることに。
「彩風もいるし、とりあえず2人はお酒飲めないからな」
ボクに言ってくる山沢さん。
「それにしても松本人志の件が気になりすぎて、酒の味もわからん」
とこぼす山沢さん。
「なんとも言えないですよね。証拠ったって8年も経つワケですし」
「笑可ちゃん、こんな話大丈夫? 席ほかのとこ行っちゃう?」
「いえ、大丈夫です」
「オレとしてはHJUNGLE WITH Tで松ちゃんがゲイシャガールズの格好して浜田に近寄る映像とか、ゲイシャ~でラッパー顔負けのマシンガントークしてるのスゴイと思ってたから、松ちゃんがおかしなことしたとは思いたくないねん」
「そうですか。山沢さんが話をしたいのはわかるんですけど、笑可がいるのでこの話はこの辺で」
「そうだな、酒が不味くなる。とはいえ吉田拓郎さんや森進一さんみたいな狂言であればいいのにってある程度はダウンタウン好きな人間からすると思ってまうねん」
「豹馬くん、何頼む? 私たち焼き鳥食べようとしてるんだけど」
話題を変えようとする彩風さん。
「ボク、塩のももとタレの砂肝で。豹馬は何が食べたいんな?」
「えっと、つくねのタレと塩のレバーとか? お通しのキャベツおいしい」
「鳥じゃないんだから、何で居酒屋の無料のお通しでキャベツなんか食わなきゃいかんのか。ボクは酒の進むお通しが食べたい」
よほど松本人志さんのことが気がかりなのか、不機嫌な山沢さん。
「お笑い芸人に人格を求めるのが間違ってるのよ。極楽とんぼの山本なんか……笑可ちゃんいるからやめとくか」
「あれは加藤が可哀想だと思う。相方っているだけで世間の風当たりはひどかったように見える」
「とりあえず笑可は録った5曲をVictorに持っていくんだよな?」
「うん。みんなでデビューしたい」
「もし受かったらサカナクションと同じレコード会社って自慢できるな」
「裏方的な感じでサポートするよ、笑可ちゃん」と山沢さん。
「あー、来た卵焼きの明太子ソースがけ美味しそう」
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