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126話 嫌われた?
しおりを挟む「なぁ今村、俺とデュエットしようぜ! 」
「えー...高橋下手だからやだ...」
「酷っ! 」
放課後、俺は高橋と宮野と今村と四人で、カラオケに来ていた。今日は宮野と今村とも遊びたかったので、東山さんには連絡していない。
カラオケは好きだ。
俺は、あまり流行りの歌とかは知らないけれど、有名な歌ならなんとなく覚えているし、みんなと思いっきりはしゃげるので、気持ちがいい。
でも、今日はなんだか気分が少し沈んでいる。
カラオケに来られて、嬉しいはずなのに、南原さんのことが頭から離れない。
厭らしいことは何もされなくなって、呼び出されることも減って、飽きられたのだと思っていた。だけど、今は呼び出されることも無くなり、ついには避けられるようにまでなってしまった。
もしかして、飽きられたを通り越して、嫌われちゃったのかな...?
飽きられた玩具ごときが、しつこく話しかけたりしたから?
分からない。
南原さんが何を考えているのか。
なんで、俺のこと避けるの?
なんで、エッチしなくなったの?
俺のこと、どう思ってるの?
考えれば考えるほど、どんどんマイナス思考に陥ってしまう。
「坂北? どうした、具合悪いか? 」
駄目だ...。
せっかくみんなと遊んでいるのに、今日はなんだか楽しめない。
今までこんなことなかったのになぁ。
俺にとって、こうして普通に遊べることは、何よりも幸せで大切な時間だったはずだ。
高校を卒業したら、多分もうこんな風に遊ぶことはできないだろうから。
でも今日は...。
「ごめん、みんな。俺、今日はもう帰るね。」
「え、坂北? 」
これまで、遊んでいる途中で抜けたことなんてなかったので、皆には心配そうな顔をさせてしまう。
でも、今誰かと話したら、なんだかうっかり泣いてしまいそうな気がしたので、俺はろくに挨拶もせず、カラオケ店を後にした。
やっぱり、南原さんとの恋愛なんて無理なのかな...。
連日の南原さんの冷たい態度が堪えていて、そんなことを考えてしまう。
いや、まだ頑張れる。
南原さんから、まだはっきりとフラれたわけではないのだから。
俺は自分にそう言い聞かせ、必死に心を保っていた。
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