BL 生徒会長が怖い

185話 遊園地 4

「ん？ どうした高橋？ 」

「や、あの、違うアトラクション行かね？ 」

どこかぎこちなく笑う高橋の手は、わずかに震えているように見える。

「え、もしかして高橋、お化け屋敷怖い？」

喧嘩も慣れてるとか言ってたあの高橋が？

「っ...！ はぁ！？ べ、別にあんなん怖くねぇけどっ...？ ただ、そんなのよりももっと面白そうなアトラクションがいっぱいあるし、そっちに行きてぇなって。」

早口で捲し立てるその声は、おもいっきり裏返っている。

ああ、本当に高橋は嘘をつくのが下手くそだ。
そんなにムキになって否定するなんて「怖い」と白状しているようなものだ。南原さんや東山さんじゃなくたって、焦っているのが手に取るようにわかる。

あからさまな高橋の反応に、東山さんはサディスティックにニヤリと笑った。

「怖くねぇならいいじゃねぇか。俺はお化け屋敷行きたいぜ？ 吊り橋効果とやらで、高橋が俺に惚れるかもしれねぇし。」

「はぁ！？ そんなの、ありえな...」

「ここまでほとんどお前の乗りたいものに付き合ってやったんだから、今度はお前が付き合えよ。」

「っ......」

うわ...。

そんな風に言われたら、お化け屋敷に入るしかなくなる。高橋がお化け屋敷を苦手なのを知った上で逃げ場を無くす東山さんは、本当に意地が悪い。
いや、高橋が苦手だからこそ行きたいのか。

「っ...坂北も、お化け屋敷なんかより、他のやつ乗りたくねぇ？ 」

そんな目で助けを求められても困る。

ドＳな相方に追い詰められる気持ちは共感できるので、俺は高橋に助け船を出したい気持ちもあったが、東山さんに協力するって言っちゃったし...

「俺はどっちでもいいかな。」

ここは中立の立場を選んでおこう。

「決まりだな。」

すると、勝ち誇った笑みを浮かべ、お化け屋敷に向かって歩く東山さん。怖くないと言ってしまった以上、断ることができない高橋が、渋々それに続く。

「怖くなったらいつでも俺にすがっていいぜ？」

「怖くねぇっつーの！！ 」

あー、高橋はまたそんな意地を張って...。
まぁ素直になったところで、余計に苛められるだけかもしれないけれど。

「南原さん、俺達も行きましょう。」

「ああ。」

そんな二人の後を追って、俺達も歩き出した。