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252話 その後(坂北) 13
しおりを挟む突然の不穏な話に、神妙に聞き入ってしまう俺。
元々俺の人間関係は広くないので、怪しい人物の心当たりはない。
だけど、南原さんにうっとおしいと思わせるなんて、相当優秀な人なのだろう。南原さんと同等か、それ以上に。
「それって...かなりまずいんじゃないですか...? 」
もしその人が、保健室に来た柄の悪い二年生達みたいに襲ってきたりしたら。南原さんでも、勝てるか分からないなんて。
「今のところ、何も危害を加えられてはいないが、油断大敵だ。例え俺を狙っているのだとしても、お前が危険に晒されることがあるかもしれない。しばらくは、できるだけ俺の側を離れるなよ。」
「......」
「透? 」
すぐに返事をしない俺を怪訝そうに覗きこむ南原さん。
だって、南原さんの言い方だと、俺ばっかり一方的に守られている感じがして。それは、実際そうなのだろうけど。
「俺、真也に何かあったらって思うと...すごく苦しいです。だから...」
俺には戦う力なんてない。だけど、大切な人を守りたいと思うのは、あなただけじゃない。俺だって同じだ。
「真也こそ、俺の側を離れないで下さいね。」
守られるだけじゃない。俺だって守ってやる。
真っ直ぐに南原さんを見てにこりと微笑むと、一瞬みとれたように俺を見つめてくる南原さんが可笑しい。
「っ...お前は本当に...。」
「え...? ちょ、な、なんですか...? 」
かと思ったら、ギシッとベッドに乗り上げ、間近に寄せてきた顔はニヤリと意地悪で、これはなんだか嫌な予感。
「弱いくせに、泣き虫なくせに、芯はしなやかで強い。しかも...」
「し、真也っ...! 待っ...」
「俺を煽るのが誰より上手い。」
体を隠していた掛け布団を剥ぎ取られ、露になる俺の裸体。厭らしく脚を撫で上げてきた南原さんの魔の手は、俺を逃がしてはくれない。
南原さんの目を見て確信した。
あ、これヤバイ、と。
「だめっ...! もう無理! 今無理です...! さっき、さすがにシないって言ってたのにっ...! 」
そんな体力残ってないんだけど!
「その気にさせたのはお前だ、諦めろ。」
「そんなっ... 」
勝手に発情したのは南原さんなのに...!
「理不尽過ぎます! あっ、ちょ、やめっーーー! 」
これじゃあさっき言ってた怪しい人に襲われる前に、屍と化してしまうのではないかというほど貪り尽くされる俺なのだった。
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