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俺には丁度いい

41話 作戦続行

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やつの30分の1程度を殺せた
地道であるが、今はこれに頼るしかない
密度が減るとは、単純な戦闘力低下にも繋がる
ただ、相手の攻撃をいつまでも避ける自信はない
赤が平均な今、ボクサー並の動体視力は持ち合わせていないのだ
このまま避け続けるか
それとも、攻めに移行するか
ある程度の密度にならずらせる
しかし、半分にした所でどちらにも勝てない
なら、俺は策略に頼る
大振りな拳を避けた瞬間
下腹部に全力の火炎をぶつける
別にダメージ源にならなくていい
はずれの威力に怯んでくれ
俺の欠点を知ってるやつは少ないだろう
興味がないことを、人間が探求するわけない

はずれ能力に脅威を感じてくれ
存分に、恐れてくれ

食らった直後、男の表情が変わる
やつの目は、腐った魚のように濁っていた
標的だと思わせればいい

攻めてこい
殴り合おうじゃないか

「来いや!」

男の腕が飛んでくる
限界ギリギリまで集中し、どうにかかわす
連続で打ち込んできている
今なら、今のこいつなら

2分の1でも戦える

踏み込んだ瞬間、肋に衝撃が走った
俺の手も触れた
ずらした瞬間、敵の体が2つに割れた
たて続けにもう一回
合計3体の敵を前にする
戦闘力半分一体、それ以下二体
ある程度、見失わないよう目で追えばー

その時だった
俺の体が宙を舞う

何が起こったのか
痛みなんかは感じない
ただ、衝撃に弾き飛ばされた感じだ
まだ能力があったのか
手の付近では連続で火があがっている
あと少しだったのに
もう一度勝ちが見えた
しかし、更に遠くへ飛ばされる

勝たないと
殺さないと
助けないと

この時、俺と俺の利害が一致した
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