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3章 ティーザニア王国争乱編
母の本気
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里の入り口に着くと里の男達が警備を固めていた。
俺の姿を見ると、その中にいたルシウスさんが駆け寄って来るのが見える。
「ウルドッ!良かった、無事だったか…!奴等はどうなったッ!?」
「1人以外全員斬りました。死体は回収してあります。里は大丈夫そうで安心しましたよ。」
俺がそう答えると、ルシウスさんが少し悲しい顔をしていた。
「ウルド、1人で抱え込むな。俺達は家族だって里長達も言ってたろ?みんなを守って、代わりにお前の心が壊れていくのを黙って見ているつもりはない。覚えておいてくれ…。」
確かに、少しずつ壊れていっているのかもしれないな。
今は殺す事に躊躇いが無さ過ぎる。
今回の件が終わったら、少しゆっくりしたい。
ルシウスさんの言葉に自分じゃ気付かなかった変化を感じ、俺は素直に感謝する。
「ありがとうございます。確かに少し疲れてるかもしれないですね…。とりあえず今日はもう安全だと思うのでゆっくり休ませていただきます。」
「お前は全く…ルルを泣かせたら許さないからな!いいな!」
そう言い残してルシウスさんは去っていった。
ここでも心配ばかりかけてしまっているな…。
俺が実家に戻ると、母さんとオリビア、ルーセリアさんとルルが待っていた。
「ウルドっ!1人はダメって言ったのにっ!凄く心配したよっ!!」
飛び込んで来たオリビアを抱き止める。
ルルはお姉さんぶってそれを見守っていた。
「ウルド兄、無事で良かったよ…。あの時のウルド兄、初めて見る顔してたから、心配だったの…。」
俺は空いてる左手でルルの頭を撫でてあげる。
「心配かけたね。俺はこの通り、全然大丈夫だよ。ちょっと疲れちゃったけどね?」
そう言って笑うと、2人共安心したのか表情が少し柔らかくなった。
「ウルド、貴方ティーザニア王国に行くつもりでしょ?」
急に母さんが確信を突いた質問をしてきた。
俺は騙すのは無理だと思い、正直に話す事にする。
「母さんにはお見通しか…。ちょっとティーザニア王国まで行って、直談判してくるよ。もう関わらないでくれってね。」
それを聞いてルーセリアさんが叫ぶ。
「そんなのダメよッ!!死にに行く様な物なのよ!?ちょっと、リーリエも何とか言ってッ!!無謀過ぎるわ!!」
しかし、母さんの答えは違った。
今まで初めて見る、母さんじゃない顔だ。
「ウルド、表に出なさい。私と模擬戦するわよ。」
まさかの答えに俺は戸惑った。
「母さん?ち、ちょっと待って!流石に母さんに武器は向けられないって!」
「私に勝てもしないで一国相手に喧嘩売ろうなんて、程の良い自殺と変わらないわ。私に勝てないなら大人しくティーザニア王国に降るか、オリビアちゃんを連れてこの国を出なさい。いいわね?」
どうやら本気らしい。
でも、その選択肢はどちらも御免だ。
俺は自由に行きたい、なら自由の為に何をする?
俺は覚悟を決めて表に出た。
里の修練場に行くと、父さんとルシウスさんも来ていた。
俺は指輪から弓を出し、母さんを待つ。
そして現れた母さんは、魔術師として活躍してた頃のフル装備であろう雰囲気の格好で俺と対面する。
「ウルド、準備はいい?本気で来ないと殺しちゃうかもしれないから、しっかりね?」
「息子に向ける言葉じゃないな。でも、俺の成長をちゃんと見て欲しいし頑張るよ、母さん。」
父さんが見届け人をしてくれる。
俺と母さんは互いに向き合い、合図を待つ。
「始めッ!!」
合図と共に風の刃が複数飛んで来た。
俺の速度を警戒しての無詠唱魔術、それも複数同時発動。
「いきなり無茶苦茶だな母さん…!本気で殺す気じゃないか!」
俺は避けながら避けられない風の刃には魔弓で相殺していく。
母さんは予想していたのか、次は2m程の火球が母さんの周りに数十個現れてこちらに飛んで来た。
「チッ、ならこれだッ!!」
母さんなら防げると信じ、魔法矢を発射と同時に分裂させて火球を全て撃ち落とした。
魔弓術のレベルも上がり、俺の狙った標的に追尾する事が出来るようになり、攻撃だけでなく防御にも使えるようになったのだ。
しかし、まだ俺の中で全てが正確に当てられるまでは使う気がなかったので、まさかここで披露するとは思っていなかった。
俺はまだ土煙が舞う中、母さんに向かって駆け出す。
「ッ!?」
莫大な魔力を探知して俺は後方に飛び退く。
「よく気付いたわね!そういう風に育てたんだけど!」
次の瞬間、俺がさっきまで立っていた場所ごと轟音と共に爆炎で包まれた。
これ以上、正面から付き合ってたら本当に殺されるな…。
俺は鷹の目と魔力探知で母さんの杖を確認し、魔力矢をわざと散弾銃の様に放つ。
標的を絞っていない弾は、正確に飛んでくる魔力矢と違って魔法で守るか避けるしかないはず。
そして、今なら隙が生まれる。
俺は素早く母さんの杖を狙い魔力矢を放ち、弓と剣を持ち替えると、隠密スキルを発動しそのまま風魔法で足音を遮断し、一瞬で背後から母さんの首に剣でギリギリと所で止めた。
「母さん、俺の勝ちだよね?」
周りが静まり返り、父さんが驚きの余り固まっていた。
俺の姿を見ると、その中にいたルシウスさんが駆け寄って来るのが見える。
「ウルドッ!良かった、無事だったか…!奴等はどうなったッ!?」
「1人以外全員斬りました。死体は回収してあります。里は大丈夫そうで安心しましたよ。」
俺がそう答えると、ルシウスさんが少し悲しい顔をしていた。
「ウルド、1人で抱え込むな。俺達は家族だって里長達も言ってたろ?みんなを守って、代わりにお前の心が壊れていくのを黙って見ているつもりはない。覚えておいてくれ…。」
確かに、少しずつ壊れていっているのかもしれないな。
今は殺す事に躊躇いが無さ過ぎる。
今回の件が終わったら、少しゆっくりしたい。
ルシウスさんの言葉に自分じゃ気付かなかった変化を感じ、俺は素直に感謝する。
「ありがとうございます。確かに少し疲れてるかもしれないですね…。とりあえず今日はもう安全だと思うのでゆっくり休ませていただきます。」
「お前は全く…ルルを泣かせたら許さないからな!いいな!」
そう言い残してルシウスさんは去っていった。
ここでも心配ばかりかけてしまっているな…。
俺が実家に戻ると、母さんとオリビア、ルーセリアさんとルルが待っていた。
「ウルドっ!1人はダメって言ったのにっ!凄く心配したよっ!!」
飛び込んで来たオリビアを抱き止める。
ルルはお姉さんぶってそれを見守っていた。
「ウルド兄、無事で良かったよ…。あの時のウルド兄、初めて見る顔してたから、心配だったの…。」
俺は空いてる左手でルルの頭を撫でてあげる。
「心配かけたね。俺はこの通り、全然大丈夫だよ。ちょっと疲れちゃったけどね?」
そう言って笑うと、2人共安心したのか表情が少し柔らかくなった。
「ウルド、貴方ティーザニア王国に行くつもりでしょ?」
急に母さんが確信を突いた質問をしてきた。
俺は騙すのは無理だと思い、正直に話す事にする。
「母さんにはお見通しか…。ちょっとティーザニア王国まで行って、直談判してくるよ。もう関わらないでくれってね。」
それを聞いてルーセリアさんが叫ぶ。
「そんなのダメよッ!!死にに行く様な物なのよ!?ちょっと、リーリエも何とか言ってッ!!無謀過ぎるわ!!」
しかし、母さんの答えは違った。
今まで初めて見る、母さんじゃない顔だ。
「ウルド、表に出なさい。私と模擬戦するわよ。」
まさかの答えに俺は戸惑った。
「母さん?ち、ちょっと待って!流石に母さんに武器は向けられないって!」
「私に勝てもしないで一国相手に喧嘩売ろうなんて、程の良い自殺と変わらないわ。私に勝てないなら大人しくティーザニア王国に降るか、オリビアちゃんを連れてこの国を出なさい。いいわね?」
どうやら本気らしい。
でも、その選択肢はどちらも御免だ。
俺は自由に行きたい、なら自由の為に何をする?
俺は覚悟を決めて表に出た。
里の修練場に行くと、父さんとルシウスさんも来ていた。
俺は指輪から弓を出し、母さんを待つ。
そして現れた母さんは、魔術師として活躍してた頃のフル装備であろう雰囲気の格好で俺と対面する。
「ウルド、準備はいい?本気で来ないと殺しちゃうかもしれないから、しっかりね?」
「息子に向ける言葉じゃないな。でも、俺の成長をちゃんと見て欲しいし頑張るよ、母さん。」
父さんが見届け人をしてくれる。
俺と母さんは互いに向き合い、合図を待つ。
「始めッ!!」
合図と共に風の刃が複数飛んで来た。
俺の速度を警戒しての無詠唱魔術、それも複数同時発動。
「いきなり無茶苦茶だな母さん…!本気で殺す気じゃないか!」
俺は避けながら避けられない風の刃には魔弓で相殺していく。
母さんは予想していたのか、次は2m程の火球が母さんの周りに数十個現れてこちらに飛んで来た。
「チッ、ならこれだッ!!」
母さんなら防げると信じ、魔法矢を発射と同時に分裂させて火球を全て撃ち落とした。
魔弓術のレベルも上がり、俺の狙った標的に追尾する事が出来るようになり、攻撃だけでなく防御にも使えるようになったのだ。
しかし、まだ俺の中で全てが正確に当てられるまでは使う気がなかったので、まさかここで披露するとは思っていなかった。
俺はまだ土煙が舞う中、母さんに向かって駆け出す。
「ッ!?」
莫大な魔力を探知して俺は後方に飛び退く。
「よく気付いたわね!そういう風に育てたんだけど!」
次の瞬間、俺がさっきまで立っていた場所ごと轟音と共に爆炎で包まれた。
これ以上、正面から付き合ってたら本当に殺されるな…。
俺は鷹の目と魔力探知で母さんの杖を確認し、魔力矢をわざと散弾銃の様に放つ。
標的を絞っていない弾は、正確に飛んでくる魔力矢と違って魔法で守るか避けるしかないはず。
そして、今なら隙が生まれる。
俺は素早く母さんの杖を狙い魔力矢を放ち、弓と剣を持ち替えると、隠密スキルを発動しそのまま風魔法で足音を遮断し、一瞬で背後から母さんの首に剣でギリギリと所で止めた。
「母さん、俺の勝ちだよね?」
周りが静まり返り、父さんが驚きの余り固まっていた。
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