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プロローグ
私の住む世界
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私はまだ、世界一幸せな女の子だった。
魔式朝目覚ましが鳴ると同時に飛び起き、老婆やさんと家政夫の岸本さんが用意してくれたご飯を食べる。歯磨きをして制服に着替えて、その最中に魔術で長い髪をツインテールで結う。いつものルーティーンだけれど、いつもよりも楽しかったし、髪も高く結んだ気がした。
「2世、ご飯だよ!」
ベランダで待っていた愛犬の芝犬パトラッシュ2世にドックフードをあげる、いつもよりも多めに。2世は尻尾を振りながらご飯にありついて、邪魔をしないようにそっと頭を撫でた。
「お母様お父様、老婆やさん、岸本さん、行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃいませ。お嬢様」
「妃芽花さん、行ってらっしゃい」
「気を付けてね!」
「楽しんで来てくださいね」
勢い良く玄関を開けて、エレベーターに向かう。ヒルズは私達の住む最上階から一階に降りるのも時間がかかって普段は億劫だけど、今日は違う。今日は遂に社会科見学で、ここの外に出られるんだ!この日を待ちに待っていた。
ここは千代田区、30年前から男の人の移住滞在に許可が必要になった都市だ。ヒルズをでて、学校へ向かうときも男の人とはあまりすれ違わなかった。住んでいる人の大半が女の人だからね。私が通っているのは女学院だから余計男の人と話さない。1日で会話をするのは多分お父様ぐらいだと思う、あと家政夫の岸本さん。
さて、今日は遂にここの外に行けるんだ。もっと言えば「八王子市」?ってところに社会科見学に行ける日だ。
千代田区に住んでいる女の子は中学1年生までは千代田区からでちゃいけないんだ。娯楽があるから困らないんだけど、もっといろんなところへ行きたいのがみんなの本音。そして今日は遂に中学2年生になり、外に出れるというわけだ。
「みんなおはよう!楽しみだね!」
「伊藤さん嬉しそうだね」
「当たり前でしょ、楽しみじゃなかった子なんて居ないって」
友達もみんな楽しみなんだ。13年近くも外に行けなかったんだから当然よね。全員が社会科見学用のバスに乗り、走り出す。見慣れた街から遠く離れたところへ走り、千代田区の関所を超えたあたりから私たちのテンションは最高潮だった。
「みて!あれなんていうのかな?」
「東京タワーじゃないかな、本で見たことあるよ」
「こんなに近くで初めて見たよ……この他にも東京スカイツリー?とかがあるみたいね」
私達は見た事のない建造物に心躍らせながら、バスの中でゲームをしたりお話をしながら楽しんだ。
「妃芽花ちゃん、神崎さんが魔術式紙相撲しようよってさ」
「いいよ!今日も勝っちゃうんだから!」
「31回勝負15連勝だもんね。凄いな~」
「今度勝ち方教えるよ!」
「妃芽花ちゃんのは上手すぎて参考にならないよ……」
千代田区の男性許可制と同じく30年前に突如現実世界に浸透したのは魔術だ。魔力炉管解放機で魔術を使うための「魔術炉管」を起動すれば誰でも使える科学技術だ。
私も原理はよく分からないけど、昔「ちちんぷいぷい」や「オープン・ザ・セサミ(ひらけゴマ)」、「アブラカタブラ」なんかで魔法が使える創作物語があったでしょ。多分それの現代版。魔術の呪文という名の命令記号を唱えると同時に魔力炉管を起動させて、そこから電磁波や高性能周波、ナノマシンなんかが自動的に放出し魔法みたいなことをする科学技術。小学生の時に習ったけど未だにピンと来ない。命令コードを唱えるだけでどうやって自分の身体から電磁波とかが出るのか想像ができない。
「あーまた負けた……」
「大丈夫!33回勝負だよ!」
「望むところ!」
魔力炉管には個人差がある。太さ、本数、出力、それら合わせてを数値化もしている。大体普通の人は18から23ぐらいが相場だ。私はと言うと「27」、普通よりちょっと多い程度だね。でも私は魔術育成の成績は最高ランクの5+を貰っているから普通よりも魔術の扱いがかなり上手なはず。
「妃芽花ちゃん魔術式紙飛行機も魔術式お手玉も得意だからね」
「魔術式コマ回しも得意だよ!」
「1年生の魔術祭も大活躍だったからね。体育祭なら私も自信あるんだけどな……」
友達に囲まれて魔術の才能に恵まれて、優しい家族もいる。街から出られなくて退屈ではあったけど、多分私は世界一幸せだったと思う。少なくとも私が真実を知るまでは、私の世界は幸せで出来ていたと確信している。
魔式朝目覚ましが鳴ると同時に飛び起き、老婆やさんと家政夫の岸本さんが用意してくれたご飯を食べる。歯磨きをして制服に着替えて、その最中に魔術で長い髪をツインテールで結う。いつものルーティーンだけれど、いつもよりも楽しかったし、髪も高く結んだ気がした。
「2世、ご飯だよ!」
ベランダで待っていた愛犬の芝犬パトラッシュ2世にドックフードをあげる、いつもよりも多めに。2世は尻尾を振りながらご飯にありついて、邪魔をしないようにそっと頭を撫でた。
「お母様お父様、老婆やさん、岸本さん、行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃいませ。お嬢様」
「妃芽花さん、行ってらっしゃい」
「気を付けてね!」
「楽しんで来てくださいね」
勢い良く玄関を開けて、エレベーターに向かう。ヒルズは私達の住む最上階から一階に降りるのも時間がかかって普段は億劫だけど、今日は違う。今日は遂に社会科見学で、ここの外に出られるんだ!この日を待ちに待っていた。
ここは千代田区、30年前から男の人の移住滞在に許可が必要になった都市だ。ヒルズをでて、学校へ向かうときも男の人とはあまりすれ違わなかった。住んでいる人の大半が女の人だからね。私が通っているのは女学院だから余計男の人と話さない。1日で会話をするのは多分お父様ぐらいだと思う、あと家政夫の岸本さん。
さて、今日は遂にここの外に行けるんだ。もっと言えば「八王子市」?ってところに社会科見学に行ける日だ。
千代田区に住んでいる女の子は中学1年生までは千代田区からでちゃいけないんだ。娯楽があるから困らないんだけど、もっといろんなところへ行きたいのがみんなの本音。そして今日は遂に中学2年生になり、外に出れるというわけだ。
「みんなおはよう!楽しみだね!」
「伊藤さん嬉しそうだね」
「当たり前でしょ、楽しみじゃなかった子なんて居ないって」
友達もみんな楽しみなんだ。13年近くも外に行けなかったんだから当然よね。全員が社会科見学用のバスに乗り、走り出す。見慣れた街から遠く離れたところへ走り、千代田区の関所を超えたあたりから私たちのテンションは最高潮だった。
「みて!あれなんていうのかな?」
「東京タワーじゃないかな、本で見たことあるよ」
「こんなに近くで初めて見たよ……この他にも東京スカイツリー?とかがあるみたいね」
私達は見た事のない建造物に心躍らせながら、バスの中でゲームをしたりお話をしながら楽しんだ。
「妃芽花ちゃん、神崎さんが魔術式紙相撲しようよってさ」
「いいよ!今日も勝っちゃうんだから!」
「31回勝負15連勝だもんね。凄いな~」
「今度勝ち方教えるよ!」
「妃芽花ちゃんのは上手すぎて参考にならないよ……」
千代田区の男性許可制と同じく30年前に突如現実世界に浸透したのは魔術だ。魔力炉管解放機で魔術を使うための「魔術炉管」を起動すれば誰でも使える科学技術だ。
私も原理はよく分からないけど、昔「ちちんぷいぷい」や「オープン・ザ・セサミ(ひらけゴマ)」、「アブラカタブラ」なんかで魔法が使える創作物語があったでしょ。多分それの現代版。魔術の呪文という名の命令記号を唱えると同時に魔力炉管を起動させて、そこから電磁波や高性能周波、ナノマシンなんかが自動的に放出し魔法みたいなことをする科学技術。小学生の時に習ったけど未だにピンと来ない。命令コードを唱えるだけでどうやって自分の身体から電磁波とかが出るのか想像ができない。
「あーまた負けた……」
「大丈夫!33回勝負だよ!」
「望むところ!」
魔力炉管には個人差がある。太さ、本数、出力、それら合わせてを数値化もしている。大体普通の人は18から23ぐらいが相場だ。私はと言うと「27」、普通よりちょっと多い程度だね。でも私は魔術育成の成績は最高ランクの5+を貰っているから普通よりも魔術の扱いがかなり上手なはず。
「妃芽花ちゃん魔術式紙飛行機も魔術式お手玉も得意だからね」
「魔術式コマ回しも得意だよ!」
「1年生の魔術祭も大活躍だったからね。体育祭なら私も自信あるんだけどな……」
友達に囲まれて魔術の才能に恵まれて、優しい家族もいる。街から出られなくて退屈ではあったけど、多分私は世界一幸せだったと思う。少なくとも私が真実を知るまでは、私の世界は幸せで出来ていたと確信している。
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