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いい子の反逆
罪な教師?
「わぁ、天使様じゃん! 抱っこしていい? ハグしちゃダメ?」
ルシエル先生がジリジリとにじり寄ってくる。怖い、この世界では小さめらしい170㎝台なアナが苦しむって俺が受けたら捻り潰されるんじゃないのか? 椅子から降りて逃げる体制を取る。隣にいるスターもちょっと心配してくれている。
あとアナには言わないがちょっと安心した。めちゃくちゃ仲悪いんかと考えていたからな。アナの才能に嫉妬して虐めたり酷いことをしているもんかと思っていた。あとそのせいで性格が荒んで生徒にも酷いことするとか、そんな漫画に出るタイプの悪の教師だったらどうしようっていう不安もあった。でもそれが無いどころか、ちょっとズレているだけで愛はモノホンって感じだ。その愛を受けた相手が嬉しいと思うかは議論の余地があるけれども。
「えーだめなの、どこが駄目? 眼鏡かけてるところ? 薬学の先生してるからちょっと薬臭いけともしかしてそのせい?」
いやちがう。この人は今までの自分の行いを振り返ったことがないのだろうか。
見た目はアナの上位互換。背は……170後半って感じでこの世界の住人からしたらそこまでだけど、暗めの金髪にやっぱり輝いている碧眼、アナとは違ってあどけなさを無くしたその雰囲気は、白馬の王子様というより、国民に愛されている若き国王様みたいな感じ。眼鏡も知性を物語っているし、服に関する知識はゼロだが、服も白衣とパーカーが可愛らしくてギャップがある様な気がする。性格とファーストコンタクトのアレが無ければ完全無欠のイケメンだった。
「ほらほら捕まえた~♪」
「ひゃう!」
「ひゃ?」
「せ、先生! 先ずは挨拶とその、授業について説明をしてはいかがでしょうか!?」
「えー……まあ時間押してるのは確かだし。そうしよっか!天使様と弟へのハグはいつでも出来るしね」
ちょっと押され気味だったせいかスターが食い気味に間に入る。ありがとう助かった。ちょと変な声も出てしまって恥ずかしい。この人はあまりにも凶暴すぎる。このクラス奴らが子猫に懐いてる大型犬とするなら、コイツは自分もその中の1匹だと思ってるだけのグリズリーだ。
「じゃあ皆さんに対してのご挨拶。デイウス・ルシエル、薬草学の先生をしています。あ、そうそう!ウチのアナくんめちゃくちゃ凄いしいい子だから仲良くしてね! ちっちゃい頃に母さんと一緒に作ってくれたハンバーグとか今でも覚えてて__」
「兄さん、これ以上言うと舌噛んで死ぬよ?」
「なんでそんなこと言うの……? せめて兄さんも一緒にそっちに行くから」
「やめて、もし行ったとしても向こう20年は来ないで」
……兄弟ってあんな感じなのか? 1人がボケて、もう1人が身内だからこその容赦のないツッコミで沈静化させる。決して他人や友達ふぜいでは出来ないお互いを知り尽くしているが故の言葉の暴力とそのサンドバッグ。いや絶対違うだろ、ここまで言っといて何だが多分これはかなり珍しいタイプの家族の一例だ。
少ししょんぼりした様子のルシエル先生を別に可哀想だとは思わない。だってすぐ機嫌なおして仕事に取り掛かっているんだからする手間がなくなった。
「先ずは教科書配らないとね。沢山あるけど、問題なく寮まで運んでいける重さだと思うから、頑張ってね! あ、寮といえばお兄ちゃんが教員寮に行くことになった時弟がね「兄さん黙って」はい……」
流動性の激しい兄弟間の力関係に振り回されつつ、配られる教科書に目を配る。
国語、算数、歴史、地理、魔術基礎、薬草学、魔法陣、飛行術、魔術実技、魔法基礎……
如何にもなものから元の世界でも馴染み深いものまである。でも国語と算数って久しぶりに聞いた。大体現代文と数学って感じで名前変えてくるもんな、俺からしたら大して変わらない様に見えるが。
「なあスター、国語に算数とかもあるんだな」
「え? はい。天界にも同じ様なものが?」
「うん。結構子供の頃にみんなやる奴だけど。結構基礎っぽい事するんだな」
「流石は天界、幼い頃からその様な英才教育をしているのですね! この世界、いえこの国はまだまだ未熟で、幼い頃から勉強ができるのは一部の地主などの富豪や金持ち貴族、魔術師魔法使いの家系だけです。中には人生で一度も学校に通わず自分の名前も書けないまま家業を継いだり働きに出ることもあります」
凄い世界だな。こう言う異世界ってなんだかんだ識字率高いイメージあった。学園長のあれは決して誇張表現などではなかったってことか。
「選民思想のある名門校以外は、ほとんど読み書きや簡単な計算を教える時間があります。あくまでメインは魔法と魔術なので学者は有識者には程遠い領域ですが、一端の商人になっても問題ないぐらいは身につけることができるかと。しかし、天使様には不要なものでありますね!」
「ま、まあお前の魔術のおかげだけど」
よもや高校生になって再び国語と算数という言葉に相対する事になろうとは。けど歴史と地理は助かる。俺はこの世界についての常識が、そんじゃそこらの文字書けない田舎者より圧倒的に欠如している。これらを通して少しずつ身につけていかなくては。
あと気になるのは……魔術関係の教科書だ。魔法と魔術の違いなんて今の俺にとっては知ったこっちゃ無い。両方とも心躍るものであればなんでもいい。昨日見つけてしまったスピリチュアル本もとい魔導書ほどの重厚感はなく、あくまでも魔術基礎と表紙に書かれた教科書然とした姿だ。さてさてどんなことが書いてあるのやら……
「天使様! お名前を書かずにページを開いてはなりません!」
スターの慌てる声は手遅れだった。「え?」という間の抜けた声に教科書を開いてしまう。プシューっと音がするその本から、噴き出してきた白いスモークに包み込まれる。
ごめん。一般常識ないところがまた出ちまった……
ルシエル先生がジリジリとにじり寄ってくる。怖い、この世界では小さめらしい170㎝台なアナが苦しむって俺が受けたら捻り潰されるんじゃないのか? 椅子から降りて逃げる体制を取る。隣にいるスターもちょっと心配してくれている。
あとアナには言わないがちょっと安心した。めちゃくちゃ仲悪いんかと考えていたからな。アナの才能に嫉妬して虐めたり酷いことをしているもんかと思っていた。あとそのせいで性格が荒んで生徒にも酷いことするとか、そんな漫画に出るタイプの悪の教師だったらどうしようっていう不安もあった。でもそれが無いどころか、ちょっとズレているだけで愛はモノホンって感じだ。その愛を受けた相手が嬉しいと思うかは議論の余地があるけれども。
「えーだめなの、どこが駄目? 眼鏡かけてるところ? 薬学の先生してるからちょっと薬臭いけともしかしてそのせい?」
いやちがう。この人は今までの自分の行いを振り返ったことがないのだろうか。
見た目はアナの上位互換。背は……170後半って感じでこの世界の住人からしたらそこまでだけど、暗めの金髪にやっぱり輝いている碧眼、アナとは違ってあどけなさを無くしたその雰囲気は、白馬の王子様というより、国民に愛されている若き国王様みたいな感じ。眼鏡も知性を物語っているし、服に関する知識はゼロだが、服も白衣とパーカーが可愛らしくてギャップがある様な気がする。性格とファーストコンタクトのアレが無ければ完全無欠のイケメンだった。
「ほらほら捕まえた~♪」
「ひゃう!」
「ひゃ?」
「せ、先生! 先ずは挨拶とその、授業について説明をしてはいかがでしょうか!?」
「えー……まあ時間押してるのは確かだし。そうしよっか!天使様と弟へのハグはいつでも出来るしね」
ちょっと押され気味だったせいかスターが食い気味に間に入る。ありがとう助かった。ちょと変な声も出てしまって恥ずかしい。この人はあまりにも凶暴すぎる。このクラス奴らが子猫に懐いてる大型犬とするなら、コイツは自分もその中の1匹だと思ってるだけのグリズリーだ。
「じゃあ皆さんに対してのご挨拶。デイウス・ルシエル、薬草学の先生をしています。あ、そうそう!ウチのアナくんめちゃくちゃ凄いしいい子だから仲良くしてね! ちっちゃい頃に母さんと一緒に作ってくれたハンバーグとか今でも覚えてて__」
「兄さん、これ以上言うと舌噛んで死ぬよ?」
「なんでそんなこと言うの……? せめて兄さんも一緒にそっちに行くから」
「やめて、もし行ったとしても向こう20年は来ないで」
……兄弟ってあんな感じなのか? 1人がボケて、もう1人が身内だからこその容赦のないツッコミで沈静化させる。決して他人や友達ふぜいでは出来ないお互いを知り尽くしているが故の言葉の暴力とそのサンドバッグ。いや絶対違うだろ、ここまで言っといて何だが多分これはかなり珍しいタイプの家族の一例だ。
少ししょんぼりした様子のルシエル先生を別に可哀想だとは思わない。だってすぐ機嫌なおして仕事に取り掛かっているんだからする手間がなくなった。
「先ずは教科書配らないとね。沢山あるけど、問題なく寮まで運んでいける重さだと思うから、頑張ってね! あ、寮といえばお兄ちゃんが教員寮に行くことになった時弟がね「兄さん黙って」はい……」
流動性の激しい兄弟間の力関係に振り回されつつ、配られる教科書に目を配る。
国語、算数、歴史、地理、魔術基礎、薬草学、魔法陣、飛行術、魔術実技、魔法基礎……
如何にもなものから元の世界でも馴染み深いものまである。でも国語と算数って久しぶりに聞いた。大体現代文と数学って感じで名前変えてくるもんな、俺からしたら大して変わらない様に見えるが。
「なあスター、国語に算数とかもあるんだな」
「え? はい。天界にも同じ様なものが?」
「うん。結構子供の頃にみんなやる奴だけど。結構基礎っぽい事するんだな」
「流石は天界、幼い頃からその様な英才教育をしているのですね! この世界、いえこの国はまだまだ未熟で、幼い頃から勉強ができるのは一部の地主などの富豪や金持ち貴族、魔術師魔法使いの家系だけです。中には人生で一度も学校に通わず自分の名前も書けないまま家業を継いだり働きに出ることもあります」
凄い世界だな。こう言う異世界ってなんだかんだ識字率高いイメージあった。学園長のあれは決して誇張表現などではなかったってことか。
「選民思想のある名門校以外は、ほとんど読み書きや簡単な計算を教える時間があります。あくまでメインは魔法と魔術なので学者は有識者には程遠い領域ですが、一端の商人になっても問題ないぐらいは身につけることができるかと。しかし、天使様には不要なものでありますね!」
「ま、まあお前の魔術のおかげだけど」
よもや高校生になって再び国語と算数という言葉に相対する事になろうとは。けど歴史と地理は助かる。俺はこの世界についての常識が、そんじゃそこらの文字書けない田舎者より圧倒的に欠如している。これらを通して少しずつ身につけていかなくては。
あと気になるのは……魔術関係の教科書だ。魔法と魔術の違いなんて今の俺にとっては知ったこっちゃ無い。両方とも心躍るものであればなんでもいい。昨日見つけてしまったスピリチュアル本もとい魔導書ほどの重厚感はなく、あくまでも魔術基礎と表紙に書かれた教科書然とした姿だ。さてさてどんなことが書いてあるのやら……
「天使様! お名前を書かずにページを開いてはなりません!」
スターの慌てる声は手遅れだった。「え?」という間の抜けた声に教科書を開いてしまう。プシューっと音がするその本から、噴き出してきた白いスモークに包み込まれる。
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