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JBからの挑戦状
意地っ張りな君へ
ちょっと上に入れそうな隙間があって助かったぜ。おかげで身体強化の魔術をちょいと使うだけでハジメとご対面だ。ハジメのいた世界には魔術がないってのはどうやら本当で、本に魔術がかけられているという発想がないだけでなく、この程度の簡単な魔術に随分驚いている様子だ。
「……何の用だ」
「話し相手は必要だろう? オレ相談できるチャラ男って評判だから、バシバシ頼ってくれ」
そう胸を張ったが、当の本人からの対応は辛辣オブ辛辣だった。まるで野生のクマを見るようなその視線は少しだけ傷ついた。
「お前も俺を馬鹿にすんのか、いいだろデカい親から小さい男が生まれても。遺伝子無駄にして悪かったな!」
「親が大きくても遺伝しないことだってあるから平気平気、別に攻撃してるわけじゃねえって。オレだけじゃなくて、アイツらも使ってる可愛いとかエロいって言葉で揶揄うつもりねえから、マジで」
本当に拗らせてんなあ、人間を信用出来なくなったきっかけでもあるのか。こんなこと言うと300%の確率で嫌われるから言わないけれど、今のコイツを見たら腹が立つとかわからせたいと言う感情よりも、他人が自分を攻撃する存在という強迫観念に囚われている哀れな少年にしか見えない。
こんなことスターに言ったら解釈違いとしてしばき倒されること待ったなしだが、オレからしたらコイツは全然気高くもライオンハートでもない。触れたら拒絶の果てに壊れるくせに、触れなきゃ誰の助けも得られずにスッと消えてしまいそうな、儚い存在。
ボロボロになった牙を剥き出すことでしか他者と対等になれないと思い込んでいる一人ぼっちの捨て犬だ。
「少しぐらいは肩の力抜いてもいいんじゃねえか? みんなお前に従順だから、取って食ったりしねえよ」
「そ、そんぐらいわかってるけど……ただ、えっと……」
ふーん。敵意があると勘違いされてる訳ではないと。こそこそと独り言を呟きながら下を向くのを見ると追い詰めてしまっている気がしてちょっと申し訳ない。でも独り言の果てに確かに聞こえた、
「……俺って、、なんで素直になれねえのかな」
小さく聞こえたそれは、強がってばかりのそいつから初めて捻り出された明確な助けを求める声だと勝手に解釈した。その助けを求める声に勝手に応える事にして、その強がりな背中手を回して胸を貸した。……よし、拒絶されてはないみたいだ。丁度コイツも涙を隠す壁が欲しかったろう、好都合だな。
「そっかそっか。お前にとっちゃ、素直になるってのは難しい話なんだな」
「……死ね」
「はは、元気でで良かったよ」
こんな意地っ張りが誰からも愛される天使様ってのは確かに荷が重いよなぁ。この手のタイプっていつもは自分の本音や建前にスパイス混ぜて話す癖に、ちょっとでもなんで素直になれないんだとかをキツめに追求すると、2度と心を開いてくれない。ここは優しく原因を一緒に探してやるか。
「キモくはない、ただ、ウザいんだよ」
「気持ち悪さは感じてないんだな? でもウザいのはお前にとって由々しき問題だよなあ、具体的にどんな感覚だ?」
「そ、そんなもん聞かれてもわかんねえよ!……お前らに可愛いって言われて愛されることも、沢山いやらしい目で見られる事も、胸と背中がソワソワしてばっかで何もかもわかんねえ」
……ん? それってソワソワというより、ゾクゾクなのでは? いや流石に自意識過剰というか、ハジメに対して期待しすぎじゃねえのか。そう思う冷静な自分もいるにはいた。高鳴る胸を押さえ付けられず、喉笛から半ば押し出される形で身勝手な推理を展開した。
「なあ、それってさ、可愛いって言葉やエロい目で見てくる視線とかで感じてるって事なんじゃねえの?」
ヤバいと思ってももう遅い。次の瞬間拳や頭突きが飛んでくる事を覚悟したが、幸いそんな鈍い刺激は来なかった。
そして代わりに、いいや代わりというにはあまりにも勿体無い、
「な、な……何言ってんだよ!!」
まるで図星である事を白状するかのような真っ赤に染まった顔で威嚇するハジメの姿があった。アレ、ひょっとして推理当たっちまった? そんなマジカワイイ理由に自分で気が付かずに今まで意地張ってたの?
俺まで恥ずかしくなったのに勘付かれたか、ようやく先程覚悟した痛みが肩を襲う。腕の中にいるハジメが俺の肩を力一杯握りつぶそうとしているのかミシミシ音がなった。
「痛い痛い! ゴメンって!!」
お互いタコみたいに真っ赤になった顔にあえて触れないようにし、なんとかそのミシミシから解放してもらった。やっぱアレだよな、自分でも気が付かなかった恥ずかしい事を指摘されたら、いくら言葉の暴力しか使わない奴でも物理的な暴力に走るよな。
「ははは……痛かった~」
「他の奴らに話すなよ、話したら右腕だ」
「右腕折られるのは嫌だなぁ」
「じゃあ右腕以外全部折るに変更だ」
「改悪してんじゃねえか」
少しだけハジメと打ち解けた気がする。何よりこんな可愛い顔を俺だけが間近で見れるなんてなんつう役得とすら思ってちょっと嬉しくなってきた。今も腕の中にいるコイツはなんだかんだ言いつつ逃げるそぶりもない。良いチャンスなんじゃないかと思い、ちょっと興味のある事を聞いてみる事にした
今までハジメの住んでいたところを天界だと統一して呼んではいたが、そんな桃源郷でどうしてここまで泥だらけ傷だらけの人間が生まれてしまうのか。想像以上にハードなところなのかもしれない。
「聞いてもいいか? 元の世界の、ハジメがいた魔術も魔法もない世界で何があったのか。楽しいことも勿論、もし良いのなら、お前が悲しんだことも教えて」
「……うん」
「……何の用だ」
「話し相手は必要だろう? オレ相談できるチャラ男って評判だから、バシバシ頼ってくれ」
そう胸を張ったが、当の本人からの対応は辛辣オブ辛辣だった。まるで野生のクマを見るようなその視線は少しだけ傷ついた。
「お前も俺を馬鹿にすんのか、いいだろデカい親から小さい男が生まれても。遺伝子無駄にして悪かったな!」
「親が大きくても遺伝しないことだってあるから平気平気、別に攻撃してるわけじゃねえって。オレだけじゃなくて、アイツらも使ってる可愛いとかエロいって言葉で揶揄うつもりねえから、マジで」
本当に拗らせてんなあ、人間を信用出来なくなったきっかけでもあるのか。こんなこと言うと300%の確率で嫌われるから言わないけれど、今のコイツを見たら腹が立つとかわからせたいと言う感情よりも、他人が自分を攻撃する存在という強迫観念に囚われている哀れな少年にしか見えない。
こんなことスターに言ったら解釈違いとしてしばき倒されること待ったなしだが、オレからしたらコイツは全然気高くもライオンハートでもない。触れたら拒絶の果てに壊れるくせに、触れなきゃ誰の助けも得られずにスッと消えてしまいそうな、儚い存在。
ボロボロになった牙を剥き出すことでしか他者と対等になれないと思い込んでいる一人ぼっちの捨て犬だ。
「少しぐらいは肩の力抜いてもいいんじゃねえか? みんなお前に従順だから、取って食ったりしねえよ」
「そ、そんぐらいわかってるけど……ただ、えっと……」
ふーん。敵意があると勘違いされてる訳ではないと。こそこそと独り言を呟きながら下を向くのを見ると追い詰めてしまっている気がしてちょっと申し訳ない。でも独り言の果てに確かに聞こえた、
「……俺って、、なんで素直になれねえのかな」
小さく聞こえたそれは、強がってばかりのそいつから初めて捻り出された明確な助けを求める声だと勝手に解釈した。その助けを求める声に勝手に応える事にして、その強がりな背中手を回して胸を貸した。……よし、拒絶されてはないみたいだ。丁度コイツも涙を隠す壁が欲しかったろう、好都合だな。
「そっかそっか。お前にとっちゃ、素直になるってのは難しい話なんだな」
「……死ね」
「はは、元気でで良かったよ」
こんな意地っ張りが誰からも愛される天使様ってのは確かに荷が重いよなぁ。この手のタイプっていつもは自分の本音や建前にスパイス混ぜて話す癖に、ちょっとでもなんで素直になれないんだとかをキツめに追求すると、2度と心を開いてくれない。ここは優しく原因を一緒に探してやるか。
「キモくはない、ただ、ウザいんだよ」
「気持ち悪さは感じてないんだな? でもウザいのはお前にとって由々しき問題だよなあ、具体的にどんな感覚だ?」
「そ、そんなもん聞かれてもわかんねえよ!……お前らに可愛いって言われて愛されることも、沢山いやらしい目で見られる事も、胸と背中がソワソワしてばっかで何もかもわかんねえ」
……ん? それってソワソワというより、ゾクゾクなのでは? いや流石に自意識過剰というか、ハジメに対して期待しすぎじゃねえのか。そう思う冷静な自分もいるにはいた。高鳴る胸を押さえ付けられず、喉笛から半ば押し出される形で身勝手な推理を展開した。
「なあ、それってさ、可愛いって言葉やエロい目で見てくる視線とかで感じてるって事なんじゃねえの?」
ヤバいと思ってももう遅い。次の瞬間拳や頭突きが飛んでくる事を覚悟したが、幸いそんな鈍い刺激は来なかった。
そして代わりに、いいや代わりというにはあまりにも勿体無い、
「な、な……何言ってんだよ!!」
まるで図星である事を白状するかのような真っ赤に染まった顔で威嚇するハジメの姿があった。アレ、ひょっとして推理当たっちまった? そんなマジカワイイ理由に自分で気が付かずに今まで意地張ってたの?
俺まで恥ずかしくなったのに勘付かれたか、ようやく先程覚悟した痛みが肩を襲う。腕の中にいるハジメが俺の肩を力一杯握りつぶそうとしているのかミシミシ音がなった。
「痛い痛い! ゴメンって!!」
お互いタコみたいに真っ赤になった顔にあえて触れないようにし、なんとかそのミシミシから解放してもらった。やっぱアレだよな、自分でも気が付かなかった恥ずかしい事を指摘されたら、いくら言葉の暴力しか使わない奴でも物理的な暴力に走るよな。
「ははは……痛かった~」
「他の奴らに話すなよ、話したら右腕だ」
「右腕折られるのは嫌だなぁ」
「じゃあ右腕以外全部折るに変更だ」
「改悪してんじゃねえか」
少しだけハジメと打ち解けた気がする。何よりこんな可愛い顔を俺だけが間近で見れるなんてなんつう役得とすら思ってちょっと嬉しくなってきた。今も腕の中にいるコイツはなんだかんだ言いつつ逃げるそぶりもない。良いチャンスなんじゃないかと思い、ちょっと興味のある事を聞いてみる事にした
今までハジメの住んでいたところを天界だと統一して呼んではいたが、そんな桃源郷でどうしてここまで泥だらけ傷だらけの人間が生まれてしまうのか。想像以上にハードなところなのかもしれない。
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「……うん」
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