小柄コンプを拗らせていた俺、魔術学校ものの異世界に飛ばされた挙句デカ男達から天使扱いされる

荒瀬竜巻

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一の才能

学業第一は仕方がない


 ……

 …………

 ……………………

「うー……グスッ、、見事な戦いでした、天使様!」

「はいはいもう分かったから、涙も鼻水も拭け、イケメンがもったいねえから」

 整った顔を涙と鼻水でグッシャグシャにしてるスターはようやく泣き止み始め、今はテッシュを片手に俺を永遠と讃えてくる。最初は勝負に勝ったカタルシスのせいか素直に喜んでしまっていたが、冷静になってみるととてつもなく恥ずかしいことに気がつき、またつっけんどんな対応をしてしまう。

 本当に虎杖と似てるのは顔だな。アイツなら俺のことで泣いたりしないだろうし、そもそも眼中にないだろう。そんなことをぼんやりと考えていたら、JBがトランプをもって近づいてくる。
 どしたんだと声に出そうになったタイミングで、手に持っていたトランプが粘土のように溶け始め、ウネウネと動き始めた。流石に鳥肌が立ち距離を置く。

「ぎゃ!その気持ち悪いのを近づけるな!」

「失礼な奴だな。オレの魔法だから、勝利したハジメへの戦利品作っとるんだよ。もう暫くはエロいことしないから安心しろ」

 にじり寄ってきながらそのうねうねしてる旧トランプは、大きめの輪っかになったかと思えばそこから長細い紐が伸びていく。……コレは、首輪? 何やら犬が散歩に行く時につける感じの太めの紐がくっついた首輪に変身する。それを持ってなんの説明もなく平気な顔して隣に座ってきた。なんだそれ、怖いな。安心する要素どこだよ。

「……はい、勝負になったからこれあげるね。オレの魔法は勝負に勝った人間が最初に求めたものを形にする魔法なんだ。ほんで、ハジメの勝利がこの形になった」

「な、なにこれ?」

 もうコイツを信用できなくなったせいで普通に警戒してしまったが、これは俺の戦利品だったみたいだ。赤い紐と凶暴犬専用と言わんばかりのゴツゴツとした首輪の使用用途がわからずただ待たされることしか出来ない。

「知らん。クラスの奴らが元の世界に帰るための手伝いを惜しみなくするっていう望みが形になったものっていうのはわかるが、それ以外は知らん」

「えぇ……」

 説明書も一緒に作ってくれよ。犬どころか人間にもつけられそうなぐらい大きいそれをどうすることもできない。なんか調べられそうなところ……図書室とか? こんな変な首輪のことなんざどの本にものってないかもしれないが、それでも一応魔法とか魔術とかそこら辺由来らしいし、調べてみる価値はありそうだ。

「……と、図書室にあるかな?」

「なにが?」

「いや、使い方とか」

「んあ~似たような魔具ならのっててそれをヒントに色々出来そうな気はするな、知らんけど」

 よし、それで十分だ。無責任な知らんけどに突っ込みたい気持ちをグッと堪える。先生は今日のところは授業の予定はないから好きにしていいよーとすっかり俺たちのことは放任すると決め込んだのか、アナの頭を撫で撫でするだけで特に何も言ってこなかった。強いていうならこれ以上ないほど不服そうな顔をしているアナが少し気の毒に思えただけだ。

「う……なあ僕も行きます! 天使様のお役に立ちますとも!」

「調べ物なら俺も得意だから、手伝おうか?」

 涙と鼻水はすっかり治ったスターと少しだけ仲良くなった気がするブルーブックが協力に名乗りを上げてくれる。JBは今はそんなことする気分じゃなさそうだし、アナは先生の相手でめんどくさそうだし、ジョセフはジョセフだし。他の面々は……

「本って難しい字も多くて読めないんだよな……嫌わないでな天使様」

「まず確率の計算勉強してから出直す、もうちょっと待っててハジメちゃん」

「この後部活動見学の予定があってさ、あ、天使様はどうするの部活動」

 あー……字が読めないなら仕方ない、あと確率の計算は大事な勉強だし本人達の気の済むまでしたらいいだろう。部活動の見学だって大事だ。いくら惜しみなく協力しろと言っても、あいつらの本分はやりたい勉強とやりたい部活動をやること。そこはもう仕方がない。嫌ったりしないから安心してほしい。

「だ、大丈夫だって、よしよし~」

「……」

 犬みたいにしょんぼりする奴らの肩や背中をぽんぽんしてたら、俺もしろと行列ができてしまった。こんな図体デカい男達をヨシヨシする日が来るとは、こりゃアレだな、本当に顔がいいだけの犬だな。

 というわけでスター、ブルーブックが調べ物を手伝ってくれることとなった。教室のドアを開けていざ図書室へ、となっていたその時、先陣を歩いていたスターの足元に強烈な違和感を覚えた。それがとある確信に変わるまで、そう長くはかからなかった。

「__! スター、足元!」

「え?」

 魔術が何かだろうか、隠されていた謎の陣を踏んでしまったスターの足元が光り輝き、俺らを包み込んだ。
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