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もはや辿り着けない
捧げてやろう正直な心
「じ、自己満足……?」
虎杖は自分が何を言われたかわかっていないのか、それとも俺の口からそんな言葉が飛び出したのがショックだったのか。どちらにせよ、手加減したつもりのその一言は虎杖に大ダメージを与えたようだ。
「ああそうだよ自己満足だ」
「な、なんで? 確かに僕はちょっと重いし拗れてるかもしれないけと、それでも朝日奈さんを守る為に……」
「それがだよ。そんなに俺が好きならどうして自分から進んで接点を持たなかった。どうして自分でも自覚するほど拗れるまでその想いを放っておいたんだ! ハッキリ言って自分勝手だ。あいつらの爪の垢煎じて飲ませてえよ」
「え、え?」
あいつらってのは俺に散々アピールしていつのまにか俺の懐に入ってきたスターを始めとするあの世界の奴らのことな。コイツは俺への恋心を全くと言っていいほど悟らせなかったし事実俺は全く気が付かなかった。そんでいざ俺がいなくなったらパニックを起こしてヤンデレ一直線のこんな有様になる。何もかもが信じられないぐらい自己完結してて、何にも思いが伝わってこない。虎杖が怖い奴であることしか伝わらない。
そのへんは向こうの世界にあるアイツらの方がまだマシだと言える。流石に変な性癖芽生えるレベルのラブコールはしなくていいとして、もう少しでいいからグイグイ行ってもバチは当たらないはず。虎杖にはそれができるぐらいの信用が既にあるのだから。俺は虎杖のことを信じているのだから。
「えっと……つまり僕はどうすれば?」
……そうか。確かにそうだ。自分で言葉にしたならば、行動も自分が最初に起こさなければいけないな。虎杖の肩をガッチリと掴む。もう目は逸らさない。
「俺さ。ぶっちゃけると、虎杖のこと結構好きだよ」
「え、え、え? いつから!?」
「違う世界に飛ばされる前から既に好きだわアホ。一人でこそこそやってても馬鹿にしないし、俺に一緒に帰ろうなんて言ってくれた奴お前が初めてだし。お前がそう思ってたのと同じで、俺もお前相手に他の奴らとは違うって思ってた」
呪われたような雰囲気の図書室じゃなければ心に残るいい告白だったか? いやそんなわけない。好きな奴相手にもアホとかほざいてるこの口でそんなロマンチックな告白ができるわけがないと思い直した。
でも虎杖からの反応は上場だ。いつもあんなにモテモテだった男がするとは思えないほど真っ赤に茹で上がっている。初めて見せる年相応な顔。そしてようやく見れたヤンデレでもなんでもない虎杖からの確かな好意。言葉にもしていない仄めかす程度のそれではあるけれど、胸が高鳴った。
「でも今回の件のせいでちょっと怖くもなった」
「こ、怖い?」
赤面しながらショックそうな顔すんな。子犬みたいな反応だけれど顔が良過ぎるから全然カッコ悪くないのずるい。まあそれでも関係ねえ。愛の鞭だ。ビシバシいくぞ。あとついでに俺の命を助けるために協力してもらうか。
「そんなヤンデレじみた行動起こされて怖くない奴いねえんだよ。挽回してもらわなくちゃなぁ?」
「挽回?」
おっしゃ食いついた。俺は地獄絵図とかした図書室に向き直る。
「俺な、ここで悠長にしてると死ぬみたいなんだ」
虎杖の目が明らかに動揺する。普段であればタチの悪い冗談で片付くが、今はその時じゃない。他の人間には見えていない俺の姿、同じく何故か他の人間の視界には入らない図書室の文字達。この異常事態においめ俺以上に情報が不足しているアイツがそれを疑ったり反論する理由はなかった。
「だからさ……今だけは見逃してくれよ。俺はまたあの世界に行く事になるけれど、また絶対帰ってくるからさ」
「あ、朝日奈さん……」
これで今の俺にできる想いを伝える事、そしてこの事態に対する説明責任は最低限とはいえ果たした。後は行動に移すだけだ。図書室の本、そして床にまで書き込まれた文字の海を泳ぐように、オカルトコーナーへ足を運ぶ。虎杖はというと、まるでまだ何か言いたいことがあるかのようにフラフラと俺についてくる。だがその肝心な言葉が出ないと言ったところだ。
やれやれ。俺が背中を押してやる必要がありそうだ。なんだかんだ言って、自分のことを好きだと言ってくれる人間を無碍にはできない。俺が特別虎杖のことを好きだというのもあるけれど。
「あ、そうだ」
俺は何かを思い出した風に虎杖の方を向く。ほら、俺がいない間にまた変に拗らせないように。元気を充電しとかないとな。
「ひゃ、ひゃい!?」
虎杖は突然のことに文字通り飛び上がった。普段は絶対しないようなリアクションに笑いそうになるがなんとか堪える。そして一気に距離を縮め、虎杖の頬を奪う。このキスがコイツとの最後の思い出にならないようにと、心の底から祈りながら。
「あ……あ……」
「じゃ!また会う時まで!」
全てが始まったあそこへ、オカルトコーナーへ向かう。最後に見た虎杖の呆けた顔は、しばらくの間俺の頭から離れない事間違いなしだ。
虎杖は自分が何を言われたかわかっていないのか、それとも俺の口からそんな言葉が飛び出したのがショックだったのか。どちらにせよ、手加減したつもりのその一言は虎杖に大ダメージを与えたようだ。
「ああそうだよ自己満足だ」
「な、なんで? 確かに僕はちょっと重いし拗れてるかもしれないけと、それでも朝日奈さんを守る為に……」
「それがだよ。そんなに俺が好きならどうして自分から進んで接点を持たなかった。どうして自分でも自覚するほど拗れるまでその想いを放っておいたんだ! ハッキリ言って自分勝手だ。あいつらの爪の垢煎じて飲ませてえよ」
「え、え?」
あいつらってのは俺に散々アピールしていつのまにか俺の懐に入ってきたスターを始めとするあの世界の奴らのことな。コイツは俺への恋心を全くと言っていいほど悟らせなかったし事実俺は全く気が付かなかった。そんでいざ俺がいなくなったらパニックを起こしてヤンデレ一直線のこんな有様になる。何もかもが信じられないぐらい自己完結してて、何にも思いが伝わってこない。虎杖が怖い奴であることしか伝わらない。
そのへんは向こうの世界にあるアイツらの方がまだマシだと言える。流石に変な性癖芽生えるレベルのラブコールはしなくていいとして、もう少しでいいからグイグイ行ってもバチは当たらないはず。虎杖にはそれができるぐらいの信用が既にあるのだから。俺は虎杖のことを信じているのだから。
「えっと……つまり僕はどうすれば?」
……そうか。確かにそうだ。自分で言葉にしたならば、行動も自分が最初に起こさなければいけないな。虎杖の肩をガッチリと掴む。もう目は逸らさない。
「俺さ。ぶっちゃけると、虎杖のこと結構好きだよ」
「え、え、え? いつから!?」
「違う世界に飛ばされる前から既に好きだわアホ。一人でこそこそやってても馬鹿にしないし、俺に一緒に帰ろうなんて言ってくれた奴お前が初めてだし。お前がそう思ってたのと同じで、俺もお前相手に他の奴らとは違うって思ってた」
呪われたような雰囲気の図書室じゃなければ心に残るいい告白だったか? いやそんなわけない。好きな奴相手にもアホとかほざいてるこの口でそんなロマンチックな告白ができるわけがないと思い直した。
でも虎杖からの反応は上場だ。いつもあんなにモテモテだった男がするとは思えないほど真っ赤に茹で上がっている。初めて見せる年相応な顔。そしてようやく見れたヤンデレでもなんでもない虎杖からの確かな好意。言葉にもしていない仄めかす程度のそれではあるけれど、胸が高鳴った。
「でも今回の件のせいでちょっと怖くもなった」
「こ、怖い?」
赤面しながらショックそうな顔すんな。子犬みたいな反応だけれど顔が良過ぎるから全然カッコ悪くないのずるい。まあそれでも関係ねえ。愛の鞭だ。ビシバシいくぞ。あとついでに俺の命を助けるために協力してもらうか。
「そんなヤンデレじみた行動起こされて怖くない奴いねえんだよ。挽回してもらわなくちゃなぁ?」
「挽回?」
おっしゃ食いついた。俺は地獄絵図とかした図書室に向き直る。
「俺な、ここで悠長にしてると死ぬみたいなんだ」
虎杖の目が明らかに動揺する。普段であればタチの悪い冗談で片付くが、今はその時じゃない。他の人間には見えていない俺の姿、同じく何故か他の人間の視界には入らない図書室の文字達。この異常事態においめ俺以上に情報が不足しているアイツがそれを疑ったり反論する理由はなかった。
「だからさ……今だけは見逃してくれよ。俺はまたあの世界に行く事になるけれど、また絶対帰ってくるからさ」
「あ、朝日奈さん……」
これで今の俺にできる想いを伝える事、そしてこの事態に対する説明責任は最低限とはいえ果たした。後は行動に移すだけだ。図書室の本、そして床にまで書き込まれた文字の海を泳ぐように、オカルトコーナーへ足を運ぶ。虎杖はというと、まるでまだ何か言いたいことがあるかのようにフラフラと俺についてくる。だがその肝心な言葉が出ないと言ったところだ。
やれやれ。俺が背中を押してやる必要がありそうだ。なんだかんだ言って、自分のことを好きだと言ってくれる人間を無碍にはできない。俺が特別虎杖のことを好きだというのもあるけれど。
「あ、そうだ」
俺は何かを思い出した風に虎杖の方を向く。ほら、俺がいない間にまた変に拗らせないように。元気を充電しとかないとな。
「ひゃ、ひゃい!?」
虎杖は突然のことに文字通り飛び上がった。普段は絶対しないようなリアクションに笑いそうになるがなんとか堪える。そして一気に距離を縮め、虎杖の頬を奪う。このキスがコイツとの最後の思い出にならないようにと、心の底から祈りながら。
「あ……あ……」
「じゃ!また会う時まで!」
全てが始まったあそこへ、オカルトコーナーへ向かう。最後に見た虎杖の呆けた顔は、しばらくの間俺の頭から離れない事間違いなしだ。
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