異世界に転生したと思ったら勇者じゃなくて魔王で魔王軍育成計画始まりました。

突然の死!!

「よし、ここのデバッグが終われば全部クリアになるはずだ。」

そこに流れる無慈悲なエラー音

「くっそ、またエラーかよっ!!」

「龍雅さん、またエラーっすか?なかなか直らないっすねぇ。それ。」

「あぁ、ほんと前任者はよくこれで人に丸なげしてくれたよ。」

「しょうがないっすよ。低予算なのにも関わらず、MMORPGなんてものをやろうと言ってるんですからね。やりたいならもっと予算を上げるとかしないとなのに。そのしわ寄せが全部俺らに来てるんっすから。前任者が辞めたくなるのもまたしょうがないことっすよ。」

「ま、ただですら人の入れ替わりが激しいのがうちの業界だしな。」

「そういえば龍雅さん、家に帰ってないのこれで何日間っすか?」

「ん?あぁ、今日でちょうど１ヶ月だったかなぁ。」

「うわっ、マジっすか!!さすがにそろそろ帰ったほうがいいんじゃ。」

「あぁ、このバグがクリアしたら帰るつもりだよ。さすがに家が恋しいしなっ。」

「俺も２週間ぶりに帰るために頑張ります!!」

「おうっ、一緒に頑張ろう。」

それからそのバグを無事に修正した龍雅は久々の帰路へと着いたのである。

「はぁ、やっと家に帰れる。前に帰ったのいつだっけか。」

某ゲーム会社に務めるゲームクリエイター山神龍雅は月の残業時間が100時間を越えるいわゆるブラック企業の社畜である。

今日は１ヶ月ぶりに自宅に帰ることができるのである。

龍雅は始発に乗るために駅のホームの先頭に並んでいた。

（帰ったらとりあえず、布団で惰眠を貪るとしますか。）

龍雅があくびをしながらそう思っていると龍雅の背中に衝撃が与えられた。

「えっ。」

龍雅がとっさに振り返るとそこにはバランスを崩したのであろうおばあちゃんの姿があった。

それが龍雅が見た最後の光景である。