異世界に転生したと思ったら勇者じゃなくて魔王で魔王軍育成計画始まりました。

織田っち

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その名はグルッペン2

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「承知致しました。」

「この者は新たに加えた者だ。冒険者の一味ではあったが、面白い能力を持っていたから支配下に加えた。」

「面白い能力ですか。ユニークスキル保持者といったところでしょうか?」

「あぁ、そんなところだ。名前は・・・・。名前はなんと言った?」

「はっ、はい!!僕は『サイド』と言います。冒険者パーティー『風の丘』の荷物持ちをしていました。」

「サイドか、つまらぬ名だな。そうだな。お前はこれから『グルッペン』と名乗るのだ。」

「グルッペン・・・・。はいっ。わかりました。」

サイド改めグルッペンが自分の新たな名を受け入れると魔物達と同じように一瞬光に包まれた。

「えっ・・・。」

光は収まったが、そこにいたのは先ほどと変わらないグルッペンの姿であった。

「何も姿が変わりませんね?」

「ふむ、どうやら人間には大きな成長は名を与えてもないのか。」

そう思ったリュウガが試しにグルッペンのステータスを確認してみると


名:サイド→グルッペン
職業:荷物持ち→鑑定士

HP:20→3000
MP:100→10000

使用可能属性:火→火、風、光
スキル:スキル鑑定C→スキル鑑定S
    採掘E→採掘B
    運搬D→運搬A

「すっ、すげぇ・・・。」

「えっ?」

思わず魔王の演技を忘れて素で反応してしまったリュウガの反応をグルッペンは見逃さなかった。

「まっ、りゅっ、リュウガ様?」

「あっ・・・。バレちゃったかー。まぁ、もういいか。今までの喋り方は演技だから気にしないでくれ。一応魔王だからね。それっぽく振舞っているんだけど、さすがにそのステータスを見せられたら無理だったわ。」

「えっ?えぇ?」

あまりの雰囲気の変わりようにグルッペンは思考が追いつかなかった。

「あぁ、リュウガ様。もう少し頑張らないといけませんね。」

「だな、次は気をつけるわ。まぁ、今回は配下に加わったグルッペンの前だから良しってことで。」

「しかたがありませんね。そうゆうことにしておきましょう。」

「あっ、あのー。」

「ん?何?」

「りゅっ、リュウガ様は本当に魔王なのですか?」

「あぁ、グルッペンのスキルなら俺が魔王なのはきちんと見えているだろ?」

「はっはい、確かに魔王と書いてありますが。」

「こんな中身だとは思わなかったかい?」

「えっ、えぇまぁ。」

「あの喋り方は疲れるからね。リーゼとかロルフ、幹部達の前ではこんな感じだよ。あれを出すのは外に出る時とか威厳が必要な時だけ。」

「わっ、私の前では。その、そのような雰囲気でいいのですか?」

「あぁ、問題ないよ。グルッペンはうちの幹部にするんだから気を使うつもりはないし。」

「かっ、幹部っ!?」

「あぁ。誘う時にも言ったと思うけど?」

「てっ、てっきり誘い文句だとばかり。」

「そんな面倒なことしないよ。それにグルッペンはあの冒険者の中で唯一ロルフの正体がフェンリルだと見抜いていた。そのスキルを使ってね。」

「俺の配下にある者の中で、俺が名前を与えたり、何かしらの力を与えた者同士はそれぞれどんな能力なのかを見ることができる。しかし、普通の状態にあるものが相手の能力を見るにはグルッペンのようなスキルを有さないとできない。だが、この情報を知っているのはごく一部なのだろう。違うか?」

「いえ、当たりです。僕は最初から見えていたのでみんなが見えるものだと思っていました。ければ、それを話すと笑われ否定されました。「そんなものはありえない。おとぎ話を信じすぎだ。」と言われて。」

「つまりは他人のスキルを見るスキルは神話の話しでしか存在しないと思われているわけだな?」

「僕が知り合った人達はみんなそう言っていました。」

「いい話を聞いた。リーゼ、幹部を皆集めろ。急ぎ会議を開く。グルッペン、お前も参加するんだ。」

「ぼっ、僕もですか?!」

「あぁ、新しく幹部になったんだ。ほかのやつらにも自己紹介くらいしておいて損はないだろ。」

こうしてリュウガは幹部達と支配下にある各部族の長を集めて急遽会議を開いた。

「お前たち、よく集まってくれた。本題を話す前に新たに加わった者を紹介する。」

「はっ、初めまして、グルッペンと申します。よろしくお願いします。」

人間であるグルッペンの言葉を理解できたことに皆が驚いた。

「これでわかるようにこのグルッペンの名は俺が与えた。これからはこいつも我らの仲間である。グルッペンは戦闘能力はお前らに劣るが、優れたスキルの持ち主だ。」
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