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その名はグルッペン3

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「リュウガ様。」

ゴブリンキングのガルドリンが手を挙げ発言を求めた。

「なんだガルドリン。」

「グルッペン殿のスキルというのはどのようなものなのでしょうか?」

「グルッペンのスキルは相手のスキルを見ることができるスキルだ。」

それを聞いたほかの者達も驚いた。

「そっ、それは我ら配下のようにリュウガ様の支配下にある者以外にも敵のスキルなども見ることが可能ということでしょうか?」

「あぁ、そうゆうことだ。」

「相手のスキルを知ることがそれだけで戦いが大きく有利となる。さすがは我らが王のリュウガ様よのぉ。」

ゴブリンシャーマンのロガンが茶をすすりながら褒める。

「あっ、あのー、リュウガ様。」

申し訳なさそうにグルッペンが挙手した。

「どうした、グルッペン。」

「リュウガ様に名前をもらってからなんですけど、どうやらスキルを見るだけじゃなくてそのスキルがどれだけ伸びしろがあるかを見えるようになったみたいなんです。」

「そっ、それは本当なの、グルッペン?」

リーゼがそうグルッペンに問いかけた。

「ほぉ。それは面白い。グルッペン、お前教官をやれ。」

「えっ!!新入りの僕がですか?」

「新入りなど俺には関係ない。お前が教官となり、俺の配下の中で見込みのある者を集め鍛えろ。」

「でっ、ですが・・・・。」

「良いではないか。リュウガ様がそう申されているんだ。グルッペンよ、やってみたらどうだ。」

ロルフがそうグルッペンに言った。

「わっ、わかりました。リュウガ様の御命令通り、教官をさせていただきます。」

「よろしく頼む。それと同時に参謀のようなことも最終的には任せたいと思っているからそこも学ぶように。」

「はっ、はいっ!」

グルッペンは今までされたことのない期待に心を踊らせ、努力することを決意した。

「リーゼ、ここらへんに小さな村とかはあるか?」

ロルフやほかの魔物達が手に入れた情報はすべてリーゼの元に集まり管理されている。

「はい、スワル村と言う村が一番近くにある村でございます。」

「規模はどのくらいだ。」

「たいした規模ではなく、人口は500ほどです。」

「そうか、わかった。」

リュウガはそう声を出すと立ちあがり、

「我々の地盤も固まりつつある、その地盤を更なるものにするためにスワル村を占領する。」

リュウガの言葉に「おおおお!!」と歓声が起こる。

「良いか、占領する目的は人間から作物や知識を集めることだ。抵抗すれば死を与えるが、恭順するようであれば手は出すな。人間であろうと支配下に入った者はお前らと同じだと思え。いいな。」

「「「「「はっ。」」」」」

リュウガはスワル村に向かわせる軍を編制した。
リュウガ、リーゼ、ロルフ、そしてブラックウルフ50、ハーピー30を連れてスワル村に進軍した。

リュウガがスワル村に到着した。
そこには細い木で作られた効果のなさそうな気持ちばかりの柵が周りに配置されているだけの防御をしただけのところであった。

リュウガがその柵の中に入ると井戸で水を汲んでいる女性を見つけた。

「おい、そこの娘、ここの長を連れてこい。」

振り返りリュウガを見て首をかしげた後、その後ろに控えるロルフを見た娘は悲鳴をあげてその場を立ち去った。

「良いのですか、リュウガ様。」

リーゼがそう声をかけると

「あぁ、あの娘は一番大きな家へと入っていったあの家がここの長の家だろう。」

リュウガがそう話していると娘に連れられて一人の男がリュウガのほうへと歩いてきた。

「私がここの長でございます。」

「ふむ、私はこの森の奥に住むリュウガと言う。この魔物達は私の配下だ。ここの村長よ、私が求めるものがわかるか?」

「はて、なんでございましょうかな?」

「貴様っ。リュウガ様にそのような口の利き方。許さぬぞ!!」

リーゼが村長にそう怒りの声を上げるとそれをリュウガは手を出して静止した。

「配下の者が失礼したな。村長よ。私が求めるのは貢物だ。」

「ほう、あなた様は我々に貢物をお求めになられると。」

「あぁ、そうだ。ここで取れる食料が欲しいといったところか。」

それを聞いた村長は驚いたような顔をしていた。

「どうした?俺が女でも求めると思ったか?」

「いっ、いえ、・・・・はい・・・・。」

村長は一度言い淀んだ後に肯定を改めて口にした。

「確かに見目麗しい娘は好きだ。だが、無理矢理に連れて行くのは趣味ではなくてな。」

「残念ながらあなた様の望みを叶えることはできかねます。」

そう村長はリュウガの支配下に入ることを拒否した。
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