38 / 157
第三章~筆頭家老としての行動 関東編~
関東遠征5
しおりを挟む
「孫市、例のものを扱える者を昌幸の元に残してやれ。ほかの者はすべて佐竹義重討伐に向かう。」
「承知致しました。」
素早く兵をまとめた刹那は下総にいる佐竹へと軍を進めた。
左近が鍛えた刹那の軍は三河武士の忠誠心と現代の自衛隊や軍などの訓練を徹底的に叩き込まれた戦国最強の名に相応しいほどの兵となっていた。
そのため兵達の表情には自信が満ち溢れていた。
だが、それに慢心することはなく日々訓練を欠かすものは神威軍の中にはいない。
「左近、義重を倒す策はあるか。」
「はい、ですが、まず佐竹の戦力や武将、配置について知っておかなければなりません。」
「その点は向かっている間に丹波の配下がそつなく調べてくれるだろう。」
しばらくすると丹波の配下がやってきて情報を教えてくれた。
「刹那様、ただいま義堯殿は命に従い久留里城へと撤退を進めております。また、佐竹義重はそれを好機と見て里見勢を追撃しております。現在我ら伊賀衆がさまざまな手を使いその追撃を阻止しているため義重は苛立っている状況でございます。兵力はおよそ1万。騎馬隊3000足軽隊5000弓隊1000兵糧部隊1000。」
「そうか、ありがとう。義堯殿に我らが佐竹の背後をついて攻撃を加えるためそれまでは久留里城にて防戦をするようにと伝えてくれ。また頃合いを見て合図を出すためそれを確認したら城から出て挟撃をするようにと。」
「はっ。」
忍びはそう言うとすぐに姿を消した。
「やはり義重は騎馬を主体とした編成を行ってきたか。」
「殿の予想なされた通りにございますな。」
「左近、これで私がやりたい策はもう把握したな。」
「ええっ。後は我らにお任せを。」
左近はそう言うと刹那の元から離れ後ろを走っている孫市の元へと向かった。
「さて、佐竹義重をどう攻略するか。予定通りに事が進むとは限らないから更にもうひとつ、策を用意しておこう。」
刹那が下総へと歩を進めてから10日あまりが過ぎていた。
「神威殿はそろそろつく頃であろうか。」
久留里城から佐竹の軍を見ながら里見義堯は独り言を呟いた。
「義堯殿、まもなく殿が着くとのこと。ご安心なされよ。」
「丹波殿、急に後ろに立たんでくれ。さすがに伊賀の忍びに後ろにおられては生きた心地がせん。」
「ふっ、これは失礼致した。しかし、我ら忍びは影故に主にすら姿を感じられてはいけないのでな。」
「ここ数日よく思うが、刹那殿はよく伊賀衆だけでなく、自前の忍びまで統率できるものだ。わしにはそのようなことはできん。」
「あの方は特別なお方だからしかたあるまい。今の徳川を作ったのも何を言おうとあのお方の手腕だ。」
「あれほどの器量を持っておれば天下など容易く手に入れられるであろうに。」
「己が天下を望まぬのがあのお方の面白きところでしょうな。」
目前に佐竹軍1万が迫っているとは思えないような落ち着きようであった。
これもまた刹那が間近まで来ているのを知ったからであろう。
その頃久留里城に対峙している佐竹義重は久留里城の近くにある平野に陣を構えて機を狙っていた。
「久留里城は左右と後方を山に囲まれた土地にある城だ。攻め込むには正面で進むしかない。しかし、むやみに攻めればどこからともなく兵が現れこちらに損失が出るばかりだ。」
「殿、少しよろしいでしょうか。」
「おお、昭為か、いかがした。」
義重が一人これからの策に関して考えていると筆頭家老の和田昭為がやってきた。
「ここで時間をかけるのは上策ではないと心得ます。」
「どうゆうことだ。里見に援軍でもあると言うのか。」
「はい、可能性の話にはなりますが、徳川がこちらに兵を向かわせるのではないかと。」
「北条を相手している状態でこちらに兵を割くことはさすがにあるまい。」
「いえ、今回は徳川だけでなく武田も共に動いておりますゆえ、不可能ではないかと。」
「だが、氏康の話では上杉にも援軍を要請したとあった。武田がそこまで無謀なことをするか?」
「これはまだ噂ですが、川中島付近まで来ていた上杉が後退し、沼田のほうへと進路を変えたと言う噂があるのです。それが誠であれば、こちらに兵を送れる状態になるのではないでしょうか。」
「なにっ。それはまことかっ。」
義重は焦った。義重がここまで大胆な侵攻に及んだのはなにも北条の義理立てのためではない。北条が弱っている隙に関東での覇権を手中にしようと考えたからである。
また、義重は自らの緻密な計算から徳川と武田が北条に攻めてこようと戦国最強と言われる軍神、上杉謙信と宿敵である北条氏康が組めば、互角に戦えると踏んでいたのである。
「承知致しました。」
素早く兵をまとめた刹那は下総にいる佐竹へと軍を進めた。
左近が鍛えた刹那の軍は三河武士の忠誠心と現代の自衛隊や軍などの訓練を徹底的に叩き込まれた戦国最強の名に相応しいほどの兵となっていた。
そのため兵達の表情には自信が満ち溢れていた。
だが、それに慢心することはなく日々訓練を欠かすものは神威軍の中にはいない。
「左近、義重を倒す策はあるか。」
「はい、ですが、まず佐竹の戦力や武将、配置について知っておかなければなりません。」
「その点は向かっている間に丹波の配下がそつなく調べてくれるだろう。」
しばらくすると丹波の配下がやってきて情報を教えてくれた。
「刹那様、ただいま義堯殿は命に従い久留里城へと撤退を進めております。また、佐竹義重はそれを好機と見て里見勢を追撃しております。現在我ら伊賀衆がさまざまな手を使いその追撃を阻止しているため義重は苛立っている状況でございます。兵力はおよそ1万。騎馬隊3000足軽隊5000弓隊1000兵糧部隊1000。」
「そうか、ありがとう。義堯殿に我らが佐竹の背後をついて攻撃を加えるためそれまでは久留里城にて防戦をするようにと伝えてくれ。また頃合いを見て合図を出すためそれを確認したら城から出て挟撃をするようにと。」
「はっ。」
忍びはそう言うとすぐに姿を消した。
「やはり義重は騎馬を主体とした編成を行ってきたか。」
「殿の予想なされた通りにございますな。」
「左近、これで私がやりたい策はもう把握したな。」
「ええっ。後は我らにお任せを。」
左近はそう言うと刹那の元から離れ後ろを走っている孫市の元へと向かった。
「さて、佐竹義重をどう攻略するか。予定通りに事が進むとは限らないから更にもうひとつ、策を用意しておこう。」
刹那が下総へと歩を進めてから10日あまりが過ぎていた。
「神威殿はそろそろつく頃であろうか。」
久留里城から佐竹の軍を見ながら里見義堯は独り言を呟いた。
「義堯殿、まもなく殿が着くとのこと。ご安心なされよ。」
「丹波殿、急に後ろに立たんでくれ。さすがに伊賀の忍びに後ろにおられては生きた心地がせん。」
「ふっ、これは失礼致した。しかし、我ら忍びは影故に主にすら姿を感じられてはいけないのでな。」
「ここ数日よく思うが、刹那殿はよく伊賀衆だけでなく、自前の忍びまで統率できるものだ。わしにはそのようなことはできん。」
「あの方は特別なお方だからしかたあるまい。今の徳川を作ったのも何を言おうとあのお方の手腕だ。」
「あれほどの器量を持っておれば天下など容易く手に入れられるであろうに。」
「己が天下を望まぬのがあのお方の面白きところでしょうな。」
目前に佐竹軍1万が迫っているとは思えないような落ち着きようであった。
これもまた刹那が間近まで来ているのを知ったからであろう。
その頃久留里城に対峙している佐竹義重は久留里城の近くにある平野に陣を構えて機を狙っていた。
「久留里城は左右と後方を山に囲まれた土地にある城だ。攻め込むには正面で進むしかない。しかし、むやみに攻めればどこからともなく兵が現れこちらに損失が出るばかりだ。」
「殿、少しよろしいでしょうか。」
「おお、昭為か、いかがした。」
義重が一人これからの策に関して考えていると筆頭家老の和田昭為がやってきた。
「ここで時間をかけるのは上策ではないと心得ます。」
「どうゆうことだ。里見に援軍でもあると言うのか。」
「はい、可能性の話にはなりますが、徳川がこちらに兵を向かわせるのではないかと。」
「北条を相手している状態でこちらに兵を割くことはさすがにあるまい。」
「いえ、今回は徳川だけでなく武田も共に動いておりますゆえ、不可能ではないかと。」
「だが、氏康の話では上杉にも援軍を要請したとあった。武田がそこまで無謀なことをするか?」
「これはまだ噂ですが、川中島付近まで来ていた上杉が後退し、沼田のほうへと進路を変えたと言う噂があるのです。それが誠であれば、こちらに兵を送れる状態になるのではないでしょうか。」
「なにっ。それはまことかっ。」
義重は焦った。義重がここまで大胆な侵攻に及んだのはなにも北条の義理立てのためではない。北条が弱っている隙に関東での覇権を手中にしようと考えたからである。
また、義重は自らの緻密な計算から徳川と武田が北条に攻めてこようと戦国最強と言われる軍神、上杉謙信と宿敵である北条氏康が組めば、互角に戦えると踏んでいたのである。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。
【完結】離縁ですか…では、私が出掛けている間に出ていって下さいね♪
山葵
恋愛
突然、カイルから離縁して欲しいと言われ、戸惑いながらも理由を聞いた。
「俺は真実の愛に目覚めたのだ。マリアこそ俺の運命の相手!」
そうですか…。
私は離婚届にサインをする。
私は、直ぐに役所に届ける様に使用人に渡した。
使用人が出掛けるのを確認してから
「私とアスベスが旅行に行っている間に荷物を纏めて出ていって下さいね♪」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる