チートな家臣はいかがですか?

織田っち

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第五章~近畿大波乱~

崩壊、そしてゼロからのスタート7

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この龍雲丸、以前は盗人の頭をしていたほどの人物だが、井伊谷を拠点に仕事をしていた際そこに現れた刹那と話しをする機会があり、刹那の見る世界と自分の見る世界の差に驚き、刹那に魅せられた人物の一人である。

それ以降は刹那の隠密部隊である伊賀衆と徳川衆の補佐のようなことを行いながら修行を行っていた。
そして任されたのが今回の小谷城潜伏であった。
小谷城潜伏が開始されたのは浅井長政幽閉の疑惑が出たすぐ後であったため、龍雲丸は長い間この任務についていたことになる。

また、龍雲丸を指名したのも刹那本人であったことからその感謝の念は大きいものであった。

「龍雲丸、今回の功績は大きい、おまえのおかげで小谷の内情を詳しく知ることができていたのだから。」

「ありがとうございます。では、この戦が終わった後の論功行賞で殿にお願いがあるのですが、よろしいですかな?」

「あぁ。いいだろう。叶えられる範囲のものであればおまえの望みを叶えよう。」

「その言葉お忘れなきように。」

龍雲丸はそう言うと刹那の元から離れた。

小丸を攻めていた忠勝らは最初より敵の数が増えていることを確認し、敵を引き付けるような戦い方に戦法を変えていた。

「本多殿、今はその程度の力で抑えてくだされ。あまりにも相手に不利だと思わせると本丸への撤退を考えられる可能性がある。」

「承知致しました。海玄殿もあまり暴れすぎては腰をやりますぞ。」

「なんの、このぐらい屁でもないわっ。」

そんなやり取りを見て幸隆は呆れている表情をしながらも楽しげに二人を見ていた。

「お二人共、あまり騒いでる暇はありませんぞ。ほら、こちらが引きすぎると相手からの攻撃が強まりこちらの被害が無駄に大きくなります。時間稼ぎが目的とは言えこちらの兵を減らしては問題ですぞ。」

「おっと、そうであったな。浅井勢を勢いづかせるな!!もう少し攻撃の手を強めるぞ!!」

「海玄殿に負けるな!!三河武士はその程度と笑われるぞ!!」

海玄、忠勝は押しすぎず押されすぎず、あたかも接戦であるように演じ浅井勢が撤退しないように兵を匠に指揮した。
幸隆も二人の采配を補佐するように周り、浅井勢からしたら4000の兵を相手に善戦しているように写っていた。

「徳川など恐れるに足りん。皆、この戦勝つぞ!!」

そう浅井勢の武士が足軽を鼓舞した。
それに呼応するように大声をあげる浅井兵の姿が小丸にはあった。

小丸での浅井兵の声は京極丸の兵にも届いており、京極丸にいる兵は油断しきっていた。

その時、一人の兵が声を上げた。

「てっ、敵襲だぁぁぁぁぁぁぁ!!」

京極丸の壁を乗り越えてくる神威勢の姿がそこにはあった。
油断していたところへの急な敵襲に京極丸にいる兵は大混乱、まともに立ち向かう兵は数十人だけであった。

「今だ、敵が混乱している隙に京極丸を抑えよ!!」

長政はそう兵を鼓舞した。
兵を乗り越えた神威勢はどんどんと浅井勢を打ち倒していく。
その光景に恐怖し武器を捨て降伏してくる兵も現れだした。

「長政、降伏した兵には手出し無用。」

「はっ。」

小丸側だけを警戒していた京極丸にいた兵達は山の斜面に面した壁から敵が来たことに対処できず、瞬く間に京極丸は徳川の手に落ちた。

「本多殿、海玄殿、あれを。殿が京極丸を落としたようにございますよ。」

京極丸に上がる狼煙を確認した幸隆が二人にそう声をかけた。

「本多殿、頃合ですな。」

「よし、皆、師匠の手によって京極丸は落ちた。全軍全力を持って小丸を落とせ!!」

「「「「「おおおおおおお!!!!!!」」」」」

そこからの徳川勢の猛攻は凄まじいものであった。
先程までの善戦が嘘のように小丸にいた浅井勢はどんどんと押され、小丸の指揮をとっていた雨森清貞はもはや勝目なしと悟り、降伏を申し出た。

「雨森清貞と申す。小丸は明け渡す故、どうか兵達の命はお助け願いたい。」

「徳川家家臣、本多忠勝と申す。雨森殿、兵達の命は私が保証いたそう。しかし、お主の命は。」

「わかっております。ここで腹を召そう。」

清貞はそう言うと短刀を抜き腹を切ろうとした。

「待たれよ。なにか勘違いをなされておるようだ。」

忠勝は清貞の腕を掴み切腹を阻止。

「勘違いとは?」

「お主の命は当家の筆頭家老、神威刹那が決め申す故に我らに囚われていただくと申したかったのだ。」

「ふっ、相分かった。だが、わしが殺される前に一度、長政様にお会いできるように取り計らってはもらえないだろうか。」

清貞がそう忠勝に願い出ると

「それはわしが殿に進言してしんぜよう。」

と海玄が横から応えた。

「忝ない。」

清貞は海玄に向かって頭を下げた。

「では、海玄殿、幸隆殿、師匠と合流いたしましょうか。」
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