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大也、雑魚(不動魔喪)を瞬殺する

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 大地はお優しいので襲撃者の不動忍軍の2人は負傷させただけで生け捕りだ。

「おまえ達、大鳥忍軍は皆殺しだから覚えておきなさいよ」

 お淑やかとは程遠い女忍者が吠えて、

「捕虜なんだから両腕の治療はしてくれるんだよな?」

 捕縛されておきながら両腕が切断中の30代の男忍者が捕虜の待遇を要求した。

「おまえら、どうして大鳥忍軍の総帥なんて狙ったんだ?」

 何も聞かされていない大也が大真面目に質問すると、女忍者が、

「和美様を殺しておいて何を言ってるのよっ!」

「和美様? もしかして朝食の時に離婚された当主の若い奥さんの事? でも死んでるって何?」

 大也が死んだ事を知らずに今朝会った和美の事を思い出しながら尋ねると、横から近付いた颯太が、

「和美は癌でな。3日前に離婚を言い渡した直後に吐血してそのまま死んだんだよ。それをワシの所為にするなど逆恨みもいいところだ」

 真顔で言った。

 この颯太の言葉は大嘘なのだが、嘘でない側面もあった。

 医者の和美のカルテにはステージ5の進行性の癌だと書かれてる為だ。

 死亡診断書の病名も癌で処理されていた。

「3日前って? 今朝会ってますけど?」

 大也が『何を言ってるんだ?』と颯太を見ると、女忍者が、

「火葬場で和美様の御遺体を焼く為よ。通夜も葬式もすっ飛ばして朝一番にね」

 颯太を殺気の籠もった眼で睨んだ。

 この死亡した日時も書類上は本当に3日前で処理されてた。

 不動忍軍の女忍者に睨まれた颯太が、

「大也君、どうして生かしたんだい? ちゃんと始末してくれないと困るな」

「嫌ですよ、汚れ仕事なんて。オレ、巻き込まれただけなんですし」

「巻き込まれただけって。まあ、違いないが・・・やれやれだな」

 颯太はそう呟くと『大鳥流忍法鬼火・火祭り』で大也が生け捕った2人も結局は燃やして殺したのだった。

「いいんですか?」

「うん、不動忍軍は降伏するまで殲滅だから」

 そう颯太は宣言したのだった。





 ◇





 大鳥忍軍の総帥が不動忍軍によって襲撃されたのだ。

 不動忍軍は他にも同時多発的に日中から大鳥忍軍へ奇襲を行っていた。

 大鳥家の美鳥、武流雨が治療を受けてる治療施設もその襲撃対象で、『忍法ぬりかべ』が施設侵入に適してる事から、楽々と不動忍軍の忍者達は治療カプセルの前まで辿り着き、

「呪詛毒? オレ達が手を下すまでもなく死に掛けてるぞ、これって?」

「始末しない方が苦しむと思うが命令は命令だ」

 爆弾を設置して床に沈んで忍者達が避難した直後、施設は爆発して意識はあったが身動きの取れない美鳥と武流雨は暗殺されたのだった。





 ◇





 大鳥忍軍も攻勢に転じて不動忍軍の屋敷を襲撃していた。

 指揮官は颯太の弟の宗次だ。

「不動忍軍でヤバイのは頭目の不動魔喪まもだけだっ! 奴の首を取ればそれでこの戦争は終わりだっ!」

 だが不動屋敷に頭目の魔喪は居らず、





 どこにいるのかと言えば、

「ようやく屋敷に付いたぁ~、クタクタだから」

 大鳥邸に到着した大也が入口から玄関ホールに入ると、全身タイツスーツを纏った40代の見知らぬ男が執事の胸を手刀で貫いてるところだった。

「ええっと、何、おまえ?」

 大也が侵入者に問うと、

「総帥の大鳥颯太は?」

「仕事で本社に普通に通勤したけど?」

「ふ~ん、なら、おまえは死ねっ!」

 胸を貫いた執事を捨てたオッサンがそう言って大也へ間合いを詰めるが、

「誰が死ぬかっ!」

 大也が風弾銃をホルスターから抜いてカチッと風の弾丸を発射した。

 オッサンは『忍法ぬりかべ』で風の弾丸を無効貫通させようとしたが、無効出来ずに、

「ゲホッ――どうして?」

 心臓を風の弾丸で撃ち抜かれて吐血した。

 大也が勝ち誇ったムカつく顔で、

「颯太さんが『『ぬりかべ』にダメージを与えるには風の弾を水鉄砲のように長くしたらいい』って教えてくれたんでね」

「ゲホッ――そんな事でオレにダメージが与えられる訳が・・・」

 バタッと倒れてそのまま動かなくなった。

「チッ、無駄に殺してしまったか。風弾銃は手加減が出来ないのが難点だな」

 そう呟く中、異変に気付いて玄関ホールに駆け付けてきた警備5人が侵入者のオッサンの顔を見て、

「えっ? 不動魔喪? この男を倒されたのですか?」

「ん? まあね。雑魚だったからね」

「雑魚? 国内屈指の実力者ですよ、不動魔喪は」

「まさかぁ~。2秒だったのに?」

 そう大也が笑い、警備5人は当初は誰も信じなかったが、防犯カメラの映像で『本当に2秒で倒していた』事が判明し、その後、大也にちょっかいを掛ける奴は大鳥忍軍では激減したのだった。
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