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大也、敗北して不機嫌だったので説明がおざなりになる
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河口湖の岸辺にはムーンリングの回収ヘリが到着していた。
「さすがね、ジョニーを倒すなんて」
モニカが大也を讃えるが、大也からすれば気付いたらジョニーがアジトにしていた別荘の手前の岸に辿り着いて倒れており、隣に気絶したシャカリと死んだジョニーの遺体があっただけだ。
達成感は何もない。大也の中では敗北して『気絶中に誰かが倒した』という認識なのだから。
よって不機嫌で、
「別に」
多くを語らなかった。
「勝った割にどうしてそんなに不機嫌なの?」
「今回は完全にムーンリングにハメられたからね」
「無事だったんだからそれは言いっこなしでしょ」
大也が余りに不機嫌だったので、モニカは巨乳を大也の胸板に押し付けて密着ハグして、大也の手を尻に導いて揉ませて機嫌を取ったのだった。
「ったく、さっさと帰ろ」
「あら、ダイヤはシャカリと温まっていってもいいのよ?」
「それはまた今度って事で」
大也はそう返してヘリに乗り込んだのだった。
◇
アメリカ大使館からモニカのスポーツカーで大鳥邸の玄関まで送って貰った訳だが、15時40分の帰宅だったのに豪邸の玄関ホールに大鳥宗次が居た。
大也の帰りを待ち構えていた宗次が、
「大也君、アメリカ大使館に入ったと聞いたが?」
「知り合いに誘われたもので」
「何をしてたんだい?」
「特には。お喋りだけです」
大ウソである。
だが、誰だって『負けを語る』ほど嫌な事はない。
大也も同様で語る気はなかった。
特に大也は強く、負ける事が滅多にない。よって敗北に対する耐性が殆どなく、帰路にモニカにお色気で機嫌を取って貰っても尚、不機嫌だったのだ。
「本当の事を教えて欲しいんだが?」
「そんなに知りたければムーンリングに問い合わせて下さい。オレからは語れませんから」
真顔で大也はそう言って部屋に戻っていき、
「敵わんな~。まさかムーンリングに顎で使われていたとは」
宗次はそう呟いたのだった。
◇
夕食会は大也が見るからに不機嫌だった事で全く会話が弾まなかった。
ムーンリングの情報収集に追われた宗次が欠席だったからでもあるのだが。
「本社から出た後、金髪の美女と過ごしたと聞いたがどうだったんだい、大也君?」
「別に」
「またまた。大層な美人だと聞いたが? 大也君の恋人でいいのかい?」
ストッパーの宗次が居ない事で颯太が不快なくらいしつこく聞いてきたので大也が不機嫌そうに、
「あの女はアメリカの精子バンクにオレの精子を売ろうと目論んでる女なだけですよ。変な勘ぐりは止して下さい」
「それはまたーー」
颯太は苦笑しつつも視線で緋色に『何とかせえ』とせっつき、緋色が、
「それだと髪の毛なんかとかも危ないんじゃないか? 最近ではクローンとかも作れるだろ?」
「なるほど、それは考えもしなかったな・・・大鳥忍軍でオレのクローンを作ったりしないで下さいね」
「作らないよ。厳密には『作れない』だが。クローン専門の研究施設もないし。本当は施設が欲しいんだが」
緋色が颯太に視線を向けると颯太が、
「金が掛かり過ぎて秘密の研究施設に出来んからダメだな。それにクローンを作っても学習させる術がまだないらしいではないか。今はまだ臓器の複製程度が精々。それなら医療機関や大学の研究チームにやらせればよかろう」
その後も会話は弾まず、この日の夕食会は実りある物とは言えなかった。
「さすがね、ジョニーを倒すなんて」
モニカが大也を讃えるが、大也からすれば気付いたらジョニーがアジトにしていた別荘の手前の岸に辿り着いて倒れており、隣に気絶したシャカリと死んだジョニーの遺体があっただけだ。
達成感は何もない。大也の中では敗北して『気絶中に誰かが倒した』という認識なのだから。
よって不機嫌で、
「別に」
多くを語らなかった。
「勝った割にどうしてそんなに不機嫌なの?」
「今回は完全にムーンリングにハメられたからね」
「無事だったんだからそれは言いっこなしでしょ」
大也が余りに不機嫌だったので、モニカは巨乳を大也の胸板に押し付けて密着ハグして、大也の手を尻に導いて揉ませて機嫌を取ったのだった。
「ったく、さっさと帰ろ」
「あら、ダイヤはシャカリと温まっていってもいいのよ?」
「それはまた今度って事で」
大也はそう返してヘリに乗り込んだのだった。
◇
アメリカ大使館からモニカのスポーツカーで大鳥邸の玄関まで送って貰った訳だが、15時40分の帰宅だったのに豪邸の玄関ホールに大鳥宗次が居た。
大也の帰りを待ち構えていた宗次が、
「大也君、アメリカ大使館に入ったと聞いたが?」
「知り合いに誘われたもので」
「何をしてたんだい?」
「特には。お喋りだけです」
大ウソである。
だが、誰だって『負けを語る』ほど嫌な事はない。
大也も同様で語る気はなかった。
特に大也は強く、負ける事が滅多にない。よって敗北に対する耐性が殆どなく、帰路にモニカにお色気で機嫌を取って貰っても尚、不機嫌だったのだ。
「本当の事を教えて欲しいんだが?」
「そんなに知りたければムーンリングに問い合わせて下さい。オレからは語れませんから」
真顔で大也はそう言って部屋に戻っていき、
「敵わんな~。まさかムーンリングに顎で使われていたとは」
宗次はそう呟いたのだった。
◇
夕食会は大也が見るからに不機嫌だった事で全く会話が弾まなかった。
ムーンリングの情報収集に追われた宗次が欠席だったからでもあるのだが。
「本社から出た後、金髪の美女と過ごしたと聞いたがどうだったんだい、大也君?」
「別に」
「またまた。大層な美人だと聞いたが? 大也君の恋人でいいのかい?」
ストッパーの宗次が居ない事で颯太が不快なくらいしつこく聞いてきたので大也が不機嫌そうに、
「あの女はアメリカの精子バンクにオレの精子を売ろうと目論んでる女なだけですよ。変な勘ぐりは止して下さい」
「それはまたーー」
颯太は苦笑しつつも視線で緋色に『何とかせえ』とせっつき、緋色が、
「それだと髪の毛なんかとかも危ないんじゃないか? 最近ではクローンとかも作れるだろ?」
「なるほど、それは考えもしなかったな・・・大鳥忍軍でオレのクローンを作ったりしないで下さいね」
「作らないよ。厳密には『作れない』だが。クローン専門の研究施設もないし。本当は施設が欲しいんだが」
緋色が颯太に視線を向けると颯太が、
「金が掛かり過ぎて秘密の研究施設に出来んからダメだな。それにクローンを作っても学習させる術がまだないらしいではないか。今はまだ臓器の複製程度が精々。それなら医療機関や大学の研究チームにやらせればよかろう」
その後も会話は弾まず、この日の夕食会は実りある物とは言えなかった。
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