その掃除依頼、受けてやろう

魚夢ゴールド

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第2章 妖剣アポロギース

11、王都外街決戦、その4

 ◆





ゴミを挟む長いトングで戦うのに流派などは存在しない。技もだ。

当然だろう。ゴミ掃除用の道具なのだから。





にも関わらず、結界外街の屋台通りでは現在。

バスタードソードを捨てて長いトングを持った男が、信じられない事に魔剣アポロギースを握ったエレンと互角の戦いを演じていた。

というか、

「バカな、押されてるだと? そんな武器かも分からない道具に? こんなふざけた話があるかっ!」

魔剣に操られたエレンは必死で、高速で繰り出される長いトングの攻撃を剣で弾いていた。

眼の前の男が放つ長いトングの連撃の速さはどんどん早まる。30合目には遂には長いトングに魔剣が挟まれるという事態に陥っていた。

「はい、ゴミを掴んじゃいました~」

憎たらしい笑い方で眼の前の赤毛の男、リックが煽ってくる。

トングに挟まれた魔剣を動かそうとするがピクリとも動かない。

おかしいだろ、こんなの。

エレンが長いトングで挟まれて動きが取れない魔剣ではなく、自分のギフト【炎剣】を出してリックの胴体に斬りかかり、リックは仕方なく長いトングで挟んでる魔剣を離して、バックステップして距離を保って炎剣を回避した。

「あらら、そっちのギフトの方が厄介そうだな~」

「そんな訳あるかっ! 魔剣アポロギースだぞ、この剣は」

「知るかよ、そんな名前」

何かがおかしい。というか絶対におかしい。

あんなオモチャで魔剣と互角以上なんて。

だが「眼の前の男の何がおかしいのか」が全く理解出来ない。

「おっと、いいものを発見~」

ここは結界外街の屋台通りだ。

料理を出す屋台もある。中には調理に火力が必要な料理もあり、魔石だと高いので炭を使ってる屋台もあった。夜にちゃんと片付けられていた? そんな訳あるか、屋台はその場に出しっぱなしだ。

そしてゾンビ騒動だ。逃げた住民かゾンビが倒したのかは知らないが屋台の道具が散乱し、屋台通りの石畳にはもう1つ、炭を動かす長いトングが落ちていた。

それをリックが拾おうと屈んでる事に気付き、

「拾わせるか」

距離があったのでエレンが赤色の飛ぶ斬撃を放つが、その飛ぶ斬撃を信じられない事に眼の前の男は屈みながら長いトングで掴んだのだった。飛ぶ斬撃をトングでだ。トングで掴まれた2秒後には赤色の飛ぶ斬撃が威力を失って霧散する。

「はあ? あり得ないだろ、そんなの。何なんだ、おまえは?」

「その程度なのか、ゴミ?」

失望した、と言わんばかりに、つまらなそうに眼の前の男が尋ねてくる。ちゃっかりと2本目の長いトングを拾って。

「トング二刀流~。もうおまえに勝てる要素はなくなっちったな~」

「なな、舐めるな~」

エレンは逆上してリックに斬りかかるが、余裕で1本の長いトングで真剣白刃取りならぬトング取りをされた。

「ゴミが」

リックがもう片方の手に持つ長いトングで突いてくる。それも前掛けの間から股間攻撃だ。ゴキン。

「ぐおおお」

それでも魔剣の柄を持つ握力が落ちる事はない。

「離さない、か。手に貼り付いてるのか? まあいいや」

「おらおらおら」

ゴキン、ゴキン、ゴキン。

鎧の前掛けで防御されてる股間を間から器用に狙ってトングで突きまくる。当然である。エレンが装備してる前掛け付きの白鎧はキラキラしててどう見ても技もの。攻撃してもダメージがあるとは思えないので。ダメージがありそうな股間を突きまくった。

「この」

【炎剣】で横一閃するとトングを緩めてリックは背後にバックステップして距離を取った。

余裕綽々といった顔でその男は出鱈目に長いトング2本を胸の前でXに構えてる。まるでこの構えが流派の正統な型だと言わんばかりに。トングに流派なんてある訳がないのに。

エレン、または魔剣アポロギースは思う。

何だ、こいつ?

強過ぎる。

駄目だ。勝てるビジョンが見えてこない。

「才がある」とは思ったが、この肉体では駄目だ。

「・・・クソ」

「降参するか?」

「誰がっ!」

エレンは死ぬ気で眼の前に変な男に戦いを挑んだのだった。





 ◇





リックがエレンと戦ってる頃。





結界外街の屋台通りでブラジスはようやくゴーレムサイズ、つまりは5メートル級のリビングアーマーと対面していた。ゴーレムサイズなので横幅もあり、通りの屋台を壊しながら進んでいる。

「これが汚染型のゴーレムサイズのリビングアーマーか。直に見るのは初めてだな」

そう呟いたブラジスは現在仮面を付けて顔を隠している。男爵服の上からは真っ白な魔術師ローブを纏っていた。フードも被って髪の色まで隠している。

どうしてブラジスはそんな格好をしているのか?

そんなの悪さをする気満々だったからに決まっているではないか。

その為に素性を隠しているのだ。

「ククク、リックは隣にいない。ってか、誰もこの場にいない。これは事故が起きても仕方がないよな~」

無人のゴーストタウンとの結界外街で、思わずそんな物騒な事をブラジスは呟いてる訳だが。【アイテムボックス】から例の聖斧を出した。

「とりあえず強度から検証するか」

リビングアーマーに斬りかかろうとしたら、

『攻撃するな、バカ者がっ! 内部の術式が発動して【酸の霧】が噴射するだろうが』

ブラジスの頭の中で一方的な【通信】が響いた。

――物を知らないね~。汚染型は攻撃不能になってから術式は発動するんだぜ? 発動までに要する時間は約1分。

律儀にブラジスが【通信】で返事をする。

『構造を知ってーー』

通信の男が絶句する中、ブラジスは遠慮なくリビングアーマーに聖斧で殴りかかった。【怪力】の魔道具が発動しているので片腕で軽々と振るって。

リビングアーマーはアンデット系のモンスターだ。

なので聖属性の斧は効果抜群である。

そもそも、このリビングアーマーは汚染型だ。

汚染型とは、すなわち敵の戦略拠点、または地域を汚染するのが目的である。まあ、悪辣過ぎて使用禁止というのが各国の認識なのだが。

敵拠点の汚染目的でリビングアーマーに施された魔法陣が発動するスイッチは遠隔操作ではない。そんな物を付けた日には遠隔でのスイッチ法が敵に解読されて自陣のアジトで発動されるので。

リビングアーマーの汚染魔法のスイッチは本体に設置され、そのスイッチはぶっちゃければそのリビングアーマーの損壊具合だった。

なので、最初からそのリビングアーマーはそこそこ簡単に壊れるような強度なのである。

以上の条件から、ブラジスが振るった聖斧で、リビングアーマーの鎧は簡単に斬り裂かれた。聖属性でアンデット系には効果抜群だったので。

「ほれ、もう一丁」

【怪力】の魔道具を使ったブラジスがリビングアーマーの右足を完全に切断する。

ゴーレムサイズなので重量もある。片足で立つなどは不可能だ。

屋台通りでゴロンと倒れたところをブラジスは連続してもう片方の足と両腕を切断して頭を飛ばしていったのだった。

殆ど一方的な解体作業である。

「頭を飛ばした」と同時に胴体の中に組み込まれてる術式が発動したのが分かった。魔法陣が出現したので。

ん? 【酸の霧】の術式にしては・・・

『お、おまえ、外街を汚染させるつもりか?』

――少し黙っててくれないか? しくじったら結界外街がおジャンなんだから。

術式に見とれて3秒無駄にしたブラジスが我に返って返事する。

同時に【アイテムボックス】から転移石を出した。それも10個も。使い捨てタイプだ。使い捨てタイプでも貴重品である。

まあ、潰して回った犯罪組織からガメってプールしてあった品なのだが。

それを解体して魔法陣が出現したリビングアーマーの残骸の周囲に等間隔で設置していく。

これら10個の使い捨ての転移石は無印である。

無印、つまりは座標が転移石に込められていない。

そして。

チャッチャと転移石を設置し終えたブラジスは【アイテムボックス】の中から、魔道具の指輪を2個出した。両方とも(使い捨ての転移石30個以上を凝縮し)永続的タイプに加工した転移石が嵌め込まれてあったが、こちらは座標が刻まれた逸品だ。

つまり、指輪の転移石を発動すればその座標に飛ぶ事が出来る訳だが。

「どちらにしようかな~。こっちでいいや」

と気軽に決めたブラジスは手に握った魔道具の指輪に魔力を込めて発動させてからポイっとリビングアーマーの残骸に投げて、巻き込まれないようにバックステップして離れた。

投げた魔道具の指輪の転移石が発動し、設置した無印の転移石10個と共鳴する。

転移石の共鳴現象がピークに達した時、





ヒュン。





魔法陣が発動していたゴーレムサイズのリビングアーマーの残骸はブラジスの眼の前から転移してどこかに消えたのだった。

『消えた? 転移石か。どこに飛ばした?』

――海の中だよ。

しれっと仮面の下で笑うブラジスが答える。

相棒のリックが聞いていれば数字を見るまでもなく「嘘つけ」と決め付けたに決まっていたが。





こうして結界外街に侵入したゴーレムサイズのリビングアーマーの汚染型は呆気なく片付いたのだった。





 ◆◆





王都アクレポリスの北の城門の上の城壁に陣取ったチョロエの許に伝令がやってきた。

チョロエは決死隊の前衛部隊の全滅を聞いて以降、この攻防戦に敗北して王都アクレポリスが汚染される未来を想像し、10歳は年老いた顔になっている。

現在66歳なのだから76歳の顔に。

「60代と70代の違いなんて分からないんだけど」と思うなかれ。

本当に心労で少し痩せこけているのだから。

「いい知らせか?」

チョロエが恐る恐る問うと、満面の笑顔で伝令が、

「はい、仮面の男がリビングアーマーを倒した後、汚染の術式が発動する前に転移石でリビングアーマーを海に捨てました」

「仮面の男? 何者だ?」

「正体は不明です」

それを聞いてまたチョロエは心労が溜まった。

正体不明って何だ? ここは王都アクレポリスだろうが。何者だ? ツウ、胃が。

「街への汚染状況は?」

「魔法陣の発動前に転移石で運ばれたので『外街での汚染被害はなし』との事です」

「そ、そうか」

チョロエが安堵したように息を吐く。

そこにもう1人の伝令がやってきた。

「いい知らせか?」

「はい。アルテミーデ教団のリック殿、魔剣に操られたエレン殿を圧倒しております」

「おおぉ~」

その報告にチョロエは安堵したのだが。





仮面の男とはブラジスの事である。

ブラジスはギフト【悪運】を最大限に利用する男だ。

悪運とは「運が悪い」という意味ではない。

「悪事を重ねれば重ねるだけ栄える」という意味だ。





なので。





仮面で正体を隠したブラジスがチョーお高い転移石を使い、しれっと「海に捨てた」と言ったリビングアーマーの残骸は、実は海に捨てられてはいなかった。

当然だ。何の為に仮面で正体を隠したと思ってる。

そもそも、チョーお高い転移石を使って成果ナシなんてありえない。

いや、確かに王都アクレポイリスの結界外街を汚染から防いだが。

それだけの戦果で満足するようなブラジスではない。

もっと、得られる戦果がなければ。





今回の防衛戦はアリオス王国を守る為なのだ。

その伝家の宝刀「アリオス王国防衛の為ならば」多少の無理、すなわち悪事は眼が瞑られる。

わざとそう曲解してるのがブラジスな訳で。





 ◆◆◆





王都アクレポリスの結界外街から転移石で転移させられたリビングアーマーの残骸は、とある城の地下広間に転移させられていたのだった。

その場所は普段、人が居らず、リビングアーマーの残骸が転移してきた事に気付いた者はいない。

そして転移させられたくらいでリビングアーマーの残骸に施された魔法陣が解除される訳がなく、転移してから僅か10秒後にはリビングアーマーの残骸に施された魔法陣は発動した。

汚染型。

つまりは周囲を汚染し始めた訳だが。

ブラジスを始め、アリオス王国陣営は【酸の霧】だと誤解している。

正確にはブラジスはリビングアーマーの残骸が作った魔法陣が【酸】ではなくて「ん、この術式、見た事ないな」と思っていたのだが。





そうなのだ。

実際に王都アクレポイリスの結界外街に侵入したリビングアーマーが発動した汚染魔法は禁呪【邪神罰・腐敗】であり、





その腐敗ガスがシューとリビングアーマーが転移した地下広間に噴射され始めたのだった。





 ◆◆◆





ペラ魔導連合国のスルドス自治区とはペラ魔導連合国の北側に位置する。

区都の名前はスルドスである。

そう、自治区と区都の名前は一緒だった。

まあ、「地名あるある」な訳だが。





スルドス自治区に聳える城の執務室で執政魔術師のサニエルは客分のニコルと一緒にアリオス王国から齎される報告を楽しみに待っていたのだが。

不意に室内が薄い黄色で彩られた気がした。

気の所為かと思ったが違う。

色が付いてる。

「何だい、これは?」

と呟いた老婆ニコルの頬がゴソッと落ちた。

ゾワリッとした。痛みがないからだ。

「これはいったい」

ニコルが自分の落ちた頬から視線をサニエルに移すと、サニエルのフサフサな髪がボトッと頭皮ごと落ちていた。

ニコルは実験に立ち会った事があったのでこの現象が何か分かった。

生きたまま人間を腐らせる禁呪【邪神罰・腐敗】だ。

「ま、まさか」

慌てて立ったニコルは脱出しようと転移魔法を使おうとしたが、脳が既に腐り始めていて複雑な転移魔法が発動出来なかった。

「キヒヒヒ・・・なんて悪魔的な事を考える奴がいるんだい」

「どうし・・・ニコル? 顔が腐ってますよ、もしかしてアンデットだったので?」

「禁呪【邪神罰】・・・なっていったっけね~。頭がボーとして思い出せなくなってしまったよ、キヒヒヒ」

「ええ、本当ですね。何やら頭がボーとして笑えてきました」

「キヒヒヒ、私もだよ」

その後、二人は身体を腐らせながら執務室で笑い合ったのだった。





この日、ペラ魔導連合国のスルドス自治区の区都スルドスの住民23万人が禁呪【邪神罰・腐敗】によって生きながら身体を腐敗させられたのだった。





この禁呪を実験し、失敗して区都スルドスの住民23万人を道づれにした悪の魔術師の名前。

それは執政魔術師サニエルである。

本当にそれが史実として歴史に刻まれる事となった。





しかし本人は、

「フフフ、駄目だ、笑えてきて」

鍛えた肉体はもちろん、脳みそまでが腐ってしまったので異論を唱える事が出来なかったのである。
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