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魔刃団結成編
天驚魔刃団、結成される
しおりを挟む43-①
ヨミを四天王に加えた影光は、片膝を着いて、マスコット枠である妖禽族の少女、つばめとすずめに話しかけていた。
ちなみに、この二人は生まれてすぐに人間の奴隷商人に攫われ、名前を持っていなかった為、彼女達の名は、道中二人を奴隷商人から救った影光が、彼女達の翼の色や形を元に付けた名前である。
「よーし、つばめとすずめ、このお姉ちゃんが今日からお前達の世話をしてくれるからな。ちゃんと言うこと聞くんだぞ?」
「はーい」
「うん」
「ちょっ、コラ!! 何勝手な事言ってんのよ!?」
ヨミはすかさず抗議したが、影光はそれを一蹴した。
「バカヤロウ!! それでも四天王の一員か!! 一軍の将として、部下の面倒はしっかり見ろッッッ!! あ……そうそう、つばめとすずめ、二人共このお姉ちゃんの事は『将軍』と呼ぶように!!」
「しょーぐん、おなかすいた」
「しょーぐん、おしっこ」
「ああん!? 大きい方、草でも食べてな。小さい方、そこでしろ」
「……キサイ、闘鬼幻術・魑魅魍魎を20倍増しでヨミに……」
「だーっ!! 分かったわよ、もう!! 二人共、こっち来なさい!!」
「「はーい」」
ヨミがつばめとすずめを連れて茂みから戻って来たのを待って影光は一同に言った。
「えー!! めでたく四天王も揃ったところで……本格的に天下を奪りに行こうと思います!!」
「「おー!!」」
つばめとすずめは元気良くちっちゃな握り拳を突き上げたが、四天王の面々は怪訝な顔をした。
「今更だが、影光お前……本当に天下を奪る気なのか?」
「ゴアッ!!」
「何か考えはあるんでしょうね? あるのならば実現に向けて知恵を絞りますが……」
「死ねバーカ」
……影光は、最近漫画を見て覚えたテ◯ブルペインクラッチをヨミに掛けながら続けた。
「うん、まずは魔王軍に参加して乗っ取ろうと思う」
サラリと言ってのけられた言葉に、四天王は唖然とした。
「し……しかし、俺達は種族もバラバラ、数もたった五人……しかも全員離脱組だ。徹底抗戦派が俺達を受け入れるだろうか?」
ガロウの懸念に対し、影光は笑って答えた。
「まぁ、何とかなるだろ。その五人は一騎当千、さらに愛らしいマスコットも二人付いて来るんだぜ? それに何より……」
影光はニヤリと笑った。
「俺達は……影魔獣の倒し方を知っている……重宝されると思うぜー?」
「なるほど、魔王軍も影魔獣による被害が馬鹿にならないと聞いています」
「だろ? 動くなら魔王軍が影魔獣の倒し方に気付き始める前に……だ」
「皆が影魔獣の倒し方を知って、自分達の価値が下がる前に……という事ですね」
「おう、だから最初は少数精鋭で行く!!」
「……それが、俺達」
「四天王という事ですか……」
「ゴアッ!!」
「…………ぐ……うぅ……げほっ」
「ふふん……ご明察!!」
自慢げに頷く影光を見て四天王(一名を除く)は意外に思った。コイツ……実は色々と考えてんだな……と。
影光はテ◯ブルペインクラッチを解いて立ち上がると、拳を高々と突き上げた。
「よーし!! それじゃあ……行くぜ《照明隊》!!」
「いや、ダサすぎるだろ!?」
「ゴァーガ……」
「逆にどう考えたらここまでダサい名前を思い付くんですか?」
「死ね」
「何でだよ!? 光を当てて影を生む……俺達にピッタリじゃねーか。言っとくけど舞台でも照明係ってかなり重要なポジションなんだぞ!? おいおいおいおい……何なんだよその顔は!? つばめ、すずめ、カッコイイよな、照明隊!?」
影光はつばめとすずめに同意を求めたが……
「へんなのー」
「かわいくない!!」
影光は “ズガビ~ン!!” と落ち込んだ。
「な、何てこった……まさか四天王にマスコット……全員センスが無いなんて!!」
「「「オイ!?」」」
「ゴモッ!?」
その後、『やはり “魔” の字は入れたい』だの『威圧感は必要でしょう』だの『ゴモァッ!!』だの『美しきヨミ様と下僕達』だの『かっこいいの!!』だの、いろんな意見が出てすったもんだのあーだこーだした結果誕生したのが……
「よーし!! 《天驚魔刃団》……結成だーーーーー!!」
影光は両手を高々と掲げた。
「よーし野郎共…………次、どうしよう?」
四天王はズッコケた!!
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