85 / 282
双竜塞編
斬られ役(影)、理由を叫ぶ
しおりを挟む85-①
「くっ……貴方達は一体何者なのですか!?」
突然部屋に押し入って来た天驚魔刃団によって捕らえられた美しき姫君は、影光達に問いかけ、問われた影光は不敵に笑った。
「フッフッフ……俺達こそは、素敵で無敵な戦闘集団、天驚魔刃団だッッッ!! そしてこの俺が頭領の影光……と申しますッッッ!! 是非お見知り置きをッッッ!!」
「何を……へり下っとんじゃーーーー!!」
「ぐはあっ!?」
超絶美人を前にして、頰が緩むのが抑えきれない影光に、ヨミはドロップキックを喰らわせた。
「ったく、鼻の下伸ばして……アホか!! よ-く聞きなさい影光、今この女の生殺与奪権は私達の手の中にあるのよ。捕虜相手にへり下る必要なんか一切無し!! 分かった!?」
「痛てててて……そうは言ってもなー、相手はお姫様なんだぜ? 失礼があったらマズイだろー、なぁ?」
「うむ」
「ええ」
「ゴァッ」
「あ、アンタらぁぁぁ……私に百万回土下座しろぉぉぉぉぉっっっ!!」
影光に同意を求められて、ウンウンと頷くガロウ達を見て、妖禽族の姫であるヨミはキレた。揃いも揃って、一体どの口が『姫様に失礼があってはいけない』などとほざくのか。
「確か、影光さん……と言いましたね? 一体何が目的なのです」
姫君の問いに、影光は答えた。
「ま、一つは…………売り込み営業ッスね!!」
あっけらかんと放たれた影光の答えに、姫君は唖然とした。
「は? う、売り込み……?」
「ええ、俺達これから魔王軍に参陣しようと思ってるんですけど、俺達の実力をアピールしておこうかなと思いましてね」
「た、たったそれだけの理由で貴方達は……」
「いいえ、売り込みはついでです」
「そ、それでは一体何が本当の目的…………っ!?」
ヘラヘラと笑っていた影光の目つきが突然鋭くなった。影光の発する威圧感を前に、姫君は思わず息を呑んだ。
「……アンタ達、一番最初に俺達がこの砦に近付いた時、こっちの話も聞かずに矢を射かけてきたよなぁ、おい?」
影光は戸惑う姫君をギロリと睨みつけると、渾身の力で怒鳴りつけた。
「…………ウチのマスコット達に危うく矢が当たる所だったぞコノヤローーーーー!!」
「ま、ますこ……っと……?」
『マスコット』という言葉の意味が分からず困惑する姫君をよそに、影光は続ける。
「おう!! 妖禽族の子供達で、名は『つばめ』と『すずめ』だ!! 俺達、天驚魔刃団の大切な大切なマスコットだ……そいつらに怪我させようとしたのが俺は許せん!! だから……慰謝料替わりに、この砦は頂く!!」
影光の言葉を聞いて、姫君は目を見開いたが……
「おい、ちょっと待て!! 人質はともかく、何でお前らまで『え? そうなの!?』みたいな顔してんだ!?」
四天王まで目を見開いているのを見て、影光はツッコんだ。
「いや、俺はてっきり矢でハリネズミばりに滅多刺しにされた恨みかと……」
「僕は魔王軍参陣にあたっての実力の誇示が目的かと……」
「グォアーゴゴゴ、ドグォ……カト……」
「むしろ考えなんかあったのかと。なーんにも考えてないのかと……」
「おいおいおいおい、マジか……お前ら、後でミーティングな」
“……キィ”
その時、部屋の入り口の扉がひとりでに開いた。
「ん……何だ? うっ!?」
「どうしたキサイ!?」
扉に近付いたキサイが、突然倒れた。
「やれやれ、やっぱガリ鬼君の貧相な体力じゃ、あれだけの幻影を出現させて操り続けるのはこれが限か──」
今度は、倒れたキサイに近付いたヨミが突然ばたりと倒──
「グォ……ア……」
更にレムのすけまでもが突然倒れた。
「レムのすけ!? どうした!?」
影光は影醒刃の刀身を出現させ、ガロウと背中合わせになって身構えた。
「くそ、何なんだ一体!?」
「気を付けろ影光、この部屋に……何かがいる!!」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』
チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。
日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。
両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日――
「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」
女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。
目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。
作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。
けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。
――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。
誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。
そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。
ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。
癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!
異世界に行った、そのあとで。
神宮寺あおい@1/23先視の王女の謀発売
恋愛
新海なつめ三十五歳。
ある日見ず知らずの女子高校生の異世界転移に巻き込まれ、気づけばトルス国へ。
当然彼らが求めているのは聖女である女子高校生だけ。
おまけのような状態で現れたなつめに対しての扱いは散々な中、宰相の協力によって職と居場所を手に入れる。
いたって普通に過ごしていたら、いつのまにか聖女である女子高校生だけでなく王太子や高位貴族の子息たちがこぞって悩み相談をしにくるように。
『私はカウンセラーでも保健室の先生でもありません!』
そう思いつつも生来のお人好しの性格からみんなの悩みごとの相談にのっているうちに、いつの間にか年下の美丈夫に好かれるようになる。
そして、気づけば異世界で求婚されるという本人大混乱の事態に!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
目が覚めたら異世界でした!~病弱だけど、心優しい人達に出会えました。なので現代の知識で恩返ししながら元気に頑張って生きていきます!〜
楠ノ木雫
恋愛
病院に入院中だった私、奥村菖は知らず知らずに異世界へ続く穴に落っこちていたらしく、目が覚めたら知らない屋敷のベッドにいた。倒れていた菖を保護してくれたのはこの国の公爵家。彼女達からは、地球には帰れないと言われてしまった。
病気を患っている私はこのままでは死んでしまうのではないだろうかと悟ってしまったその時、いきなり目の前に〝妖精〟が現れた。その妖精達が持っていたものは幻の薬草と呼ばれるもので、自分の病気が治る事が発覚。治療を始めてどんどん元気になった。
元気になり、この国の公爵家にも歓迎されて。だから、恩返しの為に現代の知識をフル活用して頑張って元気に生きたいと思います!
でも、あれ? この世界には私の知る食材はないはずなのに、どうして食事にこの四角くて白い〝コレ〟が出てきたの……!?
※他の投稿サイトにも掲載しています。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる