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双竜塞編
巫女、問いかける
しおりを挟む86-①
双竜塞に潜入し、姫の間に押し入って、姫君の身柄を押さえた影光達だったが、何者かの攻撃の前にキサイ、ヨミ、レムのすけの三人が倒れてしまい、残った影光とガロウは背中合わせになって姿無き襲撃者からの攻撃を警戒した。
「気を付けろ影光、何かがいるぞ!!」
「おいガロウ、何なんだよその『何か』って……」
「分からん!! だが、姿を消す事が出来たとしても、臭いまでは消せん……そこだッッッ!!」
ガロウは何もない空間に向かって貫手を繰り出した。
部屋の赤い絨毯の上に数本の白い毛がはらりと落ちた次の瞬間──
“ドゴッ!!”
「グハッ!? ふ、不覚……」
「ガロウ!?」
姿無き襲撃者の攻撃で、ガロウまでもが倒れてしまった。
影光は焦った。奇襲とは言え、ガロウほどの猛者が一撃で倒されてしまうとは……敵は、とんでもない強者だ。
「くそっ、どこだ!? どこにいる……ぐうっ!?」
突然腹部を襲った重い衝撃に、影光は思わず両膝を着き、そのままうつ伏せに倒れ込んでしまった。
静寂が訪れた姫の間に、嗄れた声が響く。
「リュウカク……なかなか見所のある若者だと思っておったが……まんまと敵の策に乗せられ、お嬢様の玉体を危険に晒すとは……」
深い溜め息と共に、何も無いはずの空間がぐにゃりと歪んで輪郭を持ち始め、燕尾服に似た服を着た魔族の老人が姿を現した。
顔の周りは燻んだ白い毛に覆われ、側頭部に渦巻き状の角を持つ、羊のような姿の老魔族である。
「お嬢様、お怪我はございませんか?」
「ええ。ありがとう……ゲンヨウ」
ゲンヨウと呼ばれた老魔族は、深々と頭を下げた。
「誠に申し訳ございませんお嬢様、私がついていながら、このような者共を御身に近付けてしまうとは……このゲンヨウ、一生の不覚にございま──」
「不覚ついでに……これでも喰らえぇぇぇっ!!」
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「貴方達が侵入者ですね……私の大切な人達には指一本触れさせませ……って、ん?」
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「んー……んん!? んんんっ!? んんんんんっ!?」
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黒髪の女性はゴクリと唾を飲み込むと、恐る恐る影光に問いかけた。
「あ……貴方もしかして…………まさみ君?」
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