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本拠地突入編・2
隊員達、阻む
しおりを挟む160-①
「隊長殿、お覚悟!! でやあああっ!!」
「くっ……!!」
ミナハが真っ向から驚天動地を振り下ろして来た。迷いの無い鋭い一撃を武光は後方に跳び退いて回避したが……
「やあああああっ!!」
間髪入れず、今度はクレナが着地の瞬間を狙って穿影槍を構えて突っ込んで来た。
「なんのっ!!」
武光は、身をよじって穿影槍の刺突を躱しつつ穿影槍を右脇に抱えこむと、左手でクレナの襟首を掴んだ。
「許せクレナ!! 舌ぁ噛むなよ!!」
「きゃあっ!?」
そのままクレナの突進の勢いを利用しつつ、更に腕力にものを言わせて、左前方から自分を狙っていたキクチナ目掛けてクレナの体をぶん投げた。
「き……キクちゃん!!」
「はいっ!!」
キクチナは前のめりに突っ込んでくるクレナを、落ち着いて躱しながら矢を発射した。
「うおっ!?」
「武光隊長……今日はガツンと行かせて頂きます!!」
「チッ!!」
小さく舌打ちした武光は、次々と飛来する矢を躱しながらキクチナに肉薄した。
「ちゃんと受け身取れよ……キクチナ!!」
武光が拳を振り上げたその時……
“ばさぁっ!!”
「うおっ!?」
顔目掛けて真横から飛んで来た砂を、武光は咄嗟に右肘を上げて防いだ。そしてそれによってガラ空きになった脇腹目掛けて、突進してきたフリードが逆手に握った吸命剣・妖月で横殴りに斬りつけてきた。
〔武光!!〕
「くっ!?」
“ガキンッッッ!!”
右足を引いて強引に体の向きを変えつつ、左逆手にイットー・リョーダンを鞘から半ばまで抜く事で、武光はフリードの斬撃を受け止めた。
「……ふんっ!!」
「うおっ!?」
武光は左足を引いて半身になり、力の均衡を崩した。支えを失い、前につんのめったフリードは背中に蹴りを叩き込まれながらも、即座に前回り受け身を取って片膝立ちで剣を構えた。
武光は半円状に自分を取り囲む隊員達を見ると、ニヤリと笑った。
「ミナハ、まさかお前が目潰しを使うとはなぁ……」
「……『常に正々堂々』という信念をかなぐり捨ててでも、隊長殿を止めたいと思ったまでの事です!!」
ミナハは真剣な表情で武光を見据えた。
「キクチナ、自分ちょっとガツンと来過ぎちゃうか? もっと手加減してくれてもええんやで?」
「ガツンと行かないと伝わらない事もある……そう教えてくれたのは武光隊長ですよ? それに、私達の絆はガツンと行ったくらいではビクともしないと思ってますから」
キクチナは静かに微笑んだ。
「クレナもフリードもホンマに強なったな……」
「そんなの当たり前じゃないですか。私達は……隊長に鍛えられたんですよ?」
「俺達の強さを見たか!! どうだいアニキ、俺達を連れて行く気になったろ?」
元気に笑うクレナと不敵に笑うフリードを前に武光は静かに首を横に振った。
「それでも……アカンな」
「何だと……この分からず屋!!」
フリードの言葉にクレナ達もそうだそうだと同調するが……
「うるさい!! ったく……」
まるで殺気が鞘に封じ込められていたかのように、武光がイットー・リョーダンを鞘から抜いた瞬間、その場の空気が一気に殺気立った。
「……とうとう刀まで抜かせやがって……」
フリード達は思わず身震いした。先程までとは明らかに空気が違う。
「先に言うといたるわ……安心せぇ、峰打ちや。但し……めちゃくちゃ痛いぞ?」
武光はイットー・リョーダンを八双に構えると、暴○ん坊将軍ばりに、刀の刃を返した。
殺気と威圧感に呑まれそうになりながら、フリードは武光に話しかけた。
「アニキ……」
「何や……」
「カッコつけてる所悪いんだけど……その……ズボンのチャック全開だよ……」
「えっ!?」
「おらあっっっ!!」
「ぐえっ!?」
武光が思わず視線を下げた一瞬の隙を突いて、フリードによる、武光直伝の《悪役殺法・悪質タックル》が炸裂した!!
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