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復活の聖剣編
戦士達、集う
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歩き続けること、八日間……武光達は遂に目的の街、セイ・サンゼンに到着した。
時計の文字盤で例えるならば、時計の中心と1時を結んだ直線の丁度真ん中の辺りに位置する対魔王軍、北の最前線、クツーフ・ウトフ城塞の北東にある小さな街である。
空気が……明らかに違った。正直、アスタトからここに来るまで、武光は異世界の旅を若干楽しんでいた部分もあったのだが、そんな行楽気分など一瞬で消し飛ぶ程のヒリついた雰囲気だ。
「ホンマに……戦ってんねんな」
「……ええ」
街の周囲は急遽作られたのであろう丸太を組み上げた柵に囲まれ、空堀が掘られている。その物々しさに、否が応でもここが命のやり取りの最前線だという事を思い知らされる。
これから、この地に祀られている風の神に会って、異界渡りの秘法を行う為に力を分けてもらわなければならない。
武光達は西と東、そして南の三方にある街の入り口のうち、西の入り口から街に入った。
「武光殿ーっ!!」
街に入った武光が戦いの気配に圧倒されていると、後ろから声をかけられた。
「おお、ヴァっさーん!!」
振り返ると、リヴァルとその仲間達がいた。リヴァルは武光の元へ駆け寄った。
「武光殿もこちらに来られていたのですね!!」
「おう、ヴァっさんもか!!」
「ハイ!! あっ、そうだ。私の仲間を紹介しておきます」
リヴァルに呼ばれて、大剣を背負った大男と、扇を持った女性と、真面目そうな青年が、武光の元へやって来た。
「……ヴァンプ=フトーだ」
「キサン=ボウシンと申しますー、はじめましてー」
「はじめまして!! 唐観武光っていいます!!」
「はじめまして、アスタト神殿で巫女を務めさせて頂いております、ナジミと申します」
武光とナジミはヴァンプとキサンにペコリと頭を下げた。
「それと、こちらの方が……」
「リヴァルさん達の監査武官を務めさせて頂いております、ダント=バトリッチと申します」
「ん? バトリッチ……? あっ、もしかしてジャイナさんの家族とか?」
「ええ。彼女は私の親戚なのですよ。彼女はどこです!?」
「あれ、ジャイナさーん? おっかしいな、さっきまでおったのに……」
武光は周囲を見回したが、ジャイナの姿は消えていた。
「ところで武光殿、古の聖剣はもうご覧になりましたか?」
「ああ、ジャイナさんが言うてた……まだやけど」
「丁度良かった。我々はこれから聖剣を見に行く所なのです。一緒にどうですか?」
「よっしゃ、行こか!!」
武光達はリヴァル達と共に、聖剣が祀られている中央広場へ向かった。
「……なんか、武装した奴が一杯おるなー」
「彼らは、私達と同じく、魔王討伐に志願した者達です。あれを……」
リヴァルが指差した方を見ると槍を携えた三人組がいた。三人の槍の柄は真紅に塗られており、鎧の胸当てには赤色で太陽の紋章が描かれている。
「彼らは、日輪三本槍、名の知れた傭兵部隊です。他にも蒼月傭兵団や、烈火紅蓮隊、水竜僧兵団、ユグドラシル、国土を守る会など、名だたる戦士達が……」
「ちょっとお待ちなさい、そこの青年達っ!!」
呼ばれて振り返ると、金ピカの……それはもう、何だか無性に両肩に『百』と書き込みたくなるくらい金ピカの鎧を纏った三人組が立っており、その中からリーダーらしき長身の男が出てきた。
「私達の事を忘れてるんじゃないかしら、この《麗しの黄金騎士団》を!!」
「……でヴァっさん、どれが聖剣なん?」
「あの広場の中央にあるのが…」
「無視するんじゃないわよッッッ!!」
「あーもう、何すか?」
「貴方達……私達の事を知らないなんて余程の田舎者なのね。どうりで芋臭いと思ったわ。良いわ……教えてあげる!!」
いや、別に良いです。という武光達の言葉を無視して、金ピカ三人組の内、両手に金の斧を持った男がポーズを取った。
「戦場を舞う蝶……サン=ジガジー!!」
続いて、柄の両端に穂の付いた金の槍を持った男がポーズを取る。
「戦場に咲く花……ヤウロ=イダジ!!」
そして最後に、先程の男が金の剣を鞘から抜き放ち、ポーズを取った。
「そして私が、戦場を照らす綺羅星……シルナトス=レボウゥゥゥヌッッッ!!」
各々ポーズを取って名乗った三人は一箇所に集まって再びポーズを取った。
「我ら!! 麗しのぉぉぉっ……黄金騎士団ッッッ!!」
武光始め、周囲にいた誰もが呆気に取られた。
「ふっふっふ……お芋ちゃん達!! 我々のあまりの美しさに声も出ないようね!!」
「お芋さんて……大阪のオバチャンかっ!? あんたら……酔っ払ってんのかいな?」(※大阪のオバチャンは何故か食べ物に敬称を付けます。お芋さん、飴ちゃん、お粥さん等々……テストには出ません)
「あら、随分生意気な口をきいてくれるじゃない?」
険悪な雰囲気を見て取ったナジミが慌てて二人の間に入った。
「ちょっ!? お二人とも喧嘩はダメですよっ!!」
「お黙りっ!! この美しさの欠片も無い、田舎っぺの芋巫女《いもみこ》がっ!!」
「い、イモ……」
シルナトスの暴言でシュンとしてしまったナジミを見て、武光は激怒した。
「ああ!? お前今何て言うた……ナジミに謝れやコラァ!!」
「た、武光様……」
「こいつをナメんなよ!! 『美しさが無い』か何か知らんけどなぁ……注意力と集中力と……あと胸はもっと無いねんぞコラァ!!」
「オラァっ!!」
ナジミは武光にドロップキックを食らわし、倒れた武光にサソリ固め(に酷似した技)を極めた。
「ぎゃああああああああ!? ギブギブギブ!!」
「うるさーい!! 武光様の……バカーっ!!」
「ぎゃああああああああ!?」
〔ええい……騒がしい!!〕
広場に大きな声が響き渡った。広場にいた全員の視線が、声のした方へと向いた。
……そこにあったのは、地面から斜めに突き出した杭に突き刺さった、一振りの古びた剣だった。
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