斬られ役、異世界を征く!!

通 行人(とおり ゆきひと)

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勇者編

勇者達、突入する

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 120-①

 リヴァル達は、地竜塞に向けて進軍する水竜塞の兵士達をやり過ごすと、水竜塞に向けて進軍した。門のすぐ近くまで接近したものの、高く分厚い鉄の門は固く閉ざされ侵入を阻んでいる。
 リヴァル達に気付いた城壁の上の兵が、リヴァル達を射殺そうと矢をつがえた。それを見たリヴァルが叫ぶ。

「キサン!!」
「はいはーい!!」

 キサンが右手に握った鉄扇をバサリと開いた。

「風術……《トルネードシールド》!!」

 キサンが開いた鉄扇を右から左へ大きく振るうと、自分達のいる場所を中心に大きな竜巻が発生した。
 トルネードシールド……正式名称、風術・《旋風障壁せんぷうしょうへき》……自分の周囲に旋風を起こして、飛来する敵の矢の軌道をらし、弾き飛ばすための術であるが、キサンの起こしたそれは、旋風どころかもはや竜巻であった。

 ちなみに、術の名は、キサンが『なんかカッコイイから!!』という理由で、古の時代に異世界から移動してきた民族が使っていたとされる《いんぐりっしゅ》という言語を用いて名付けたものである。

 竜巻の中心部ではリヴァルが城門を破壊する為に、精神を集中し、武光と共に編み出した新たな術を放つ準備をしていた。

 呼吸を整えながら、以前に、武光とボゥ・インレで再会した時に交わしていた会話を思い出す。

 ~~~

「ヴァっさんって、光の力を操れんのやろ-? ええなぁぁぁぁぁ!! 俺もヴァっさんみたいに光術使えたら絶対にやりたい技があんねんけどなぁぁぁぁぁ!!」
「絶対にやりたい技……ですか?」
「うん、俺の国やったら男子の九割は出そうとした事あるんちゃうかなー?」
「それ程までに……さぞ凄い技なんでしょうね」
「ふふん、まぁな……そや!! ヴァっさん、一回試しにやってみぃひん?」
「分かりました、やってみましょう」
「ええか、まずは右手にマイナスエネルギー、左手にプラスエネルギーを蓄えんねん」
「ぷ……プラス? マイナス? よく分かりませんが、こんな感じですかね?」

 リヴァルは左右の腕に力を込めた。

「そしたら、今度はやや猫背気味になりつつ、両手を胸の前で十字に組んで、プラスエネルギーとマイナスエネルギーを『ヘァッ!!』って感じで、スパークさせる!!」
「猫背気味に……両手を十字に組んで……こ、こうかな…………ヘァッ!!」

 “カッッッ!!”

「「でっ……出たぁぁぁぁぁーーーーーっ!?」」

 ~~~

「はぁぁぁぁぁっ……光術っ……」

 ……それは、日本の男子ならば、一度は通る技。
 ……それは、誰もが知っている、怪獣退治の専門家の必殺技。
 ……そして、リヴァルが放つのは、その技を元に武光と二人でアレンジしみ出した、新たなる光術!!


「……キラレウム光線ッッッ!!」


 十字に組まれた両手から放たれた光線は、竜巻をぶち抜き、鋼鉄製の分厚い城門に風穴を開け、極太のかんぬきをへし折った。

「ヴァンプ!!」
「……応ッ!!」

 キサンがトルネードシールドを解除すると同時にヴァンプは城門に突撃し、両手を “ドン” と門についた。

「……ぬぅおあああああああああっっっ!!」

 城壁の上の竜人達は驚愕きょうがくした。 人間の数倍の膂力りょりょくを持つ竜人族が十人がかりで開閉している城門が、たった一人の人間の力によって “ゴゴゴ……” と轟音を響かせ開いてゆく。

 奴を討ち取れ!! 誰かが叫ぶと同時に、城壁の上の竜人達が門をこじ開けようとするヴァンプを排除すべく、高さ6~7mはあろうかという城壁から次々と飛び降りる。
 城壁から飛び降りた竜人達は空中でその姿を変貌させてゆく。身体中の筋肉が倍近くに膨れ上がり、全身が強固な鱗に覆われ、爪や牙は鋭さを増し、戦う為の姿へと変貌した……《竜身化りゅうじんか》である。

「人間が……ぶっ殺す!!」
「させるか!!」

 十人以上の竜人達が着地と同時にヴァンプに襲いかかろうとしたが、竜人達の前にリヴァルが立ち塞がった。竜人達は雄叫びを上げてリヴァルに襲いかかったが、一人残らずリヴァルの剣、《屍山血河の上の方の部分》改め、《獅子王鋼牙ししおうこうが》によって斬り捨てられた。

「……よし、突入だ!!」

 リヴァル戦士団は水竜塞内部に突入した。
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