斬られ役、異世界を征く!!

通 行人(とおり ゆきひと)

文字の大きさ
138 / 180
殴り込み編

斬られ役、神木を説得する

しおりを挟む

 138-①

 武光達の前に、束帯そくたいに似た白い服を身に纏い、長い髪とひげを蓄えた老エルフが現れた。

 向かいあっているだけで自然と畏敬いけいの念を抱いてしまうような、不思議な雰囲気をまとった老エルフを前に、(仙人ってホンマにおったらこんな感じなんやろなー)とか思う武光であった。

「よくぞおいで下さった……わしはウィスドムと申します。自分で名乗るもおこがましいのですが、大賢者を務めております」
「は、はじめまして!! 唐観武光と申します!!」
〔その愛刀、イットー・リョーダン!!〕
〔同じく、魔っつんこと、魔穿鉄剣!!〕
「王国軍監査武官、ジャイナ=バトリッチと申します、ウィスドム様、お会い出来て光栄です」
〔ジャイナの剣、カヤ=ビラキと申します。あるじ共々、以後お見知り置きを〕
「術士のリョエン=ボウシンです」
〔ヤリカイ イチノ モテオトコ テンガイ トハ オレノコトダ!!〕
「で……あそこで木に挟まれてるのが……」
「うう……お初にお目にかかります。アスタトの巫女、ナジミと申します。このような格好で申し訳ございません……」

 エルフ達の長に対して、木に挟まって身動きが取れないという、間抜けこの上ない格好で挨拶あいさつする羽目はめになってしまったナジミは羞恥心で顔を真っ赤にしてうつむいた。

「これは……どうやら清心樹が巫女殿を中に入れるのを拒んでおるようじゃな。清心樹は……邪悪なる者を嫌う」
「そ、そんな……私、邪悪なる者扱いって事ですか!?」

 清心樹に邪悪なる者扱いされているらしいナジミは動揺どうようした。

「巫女殿……そなたが邪心を持つ者ではないという事は見れば分かる、だが……そなたに宿る邪悪なる力を清心樹が拒んでおるようじゃ」
「邪悪な力と言われても……私には心当たりが……いや……まさか、邪悪なる力って、私の癒しの力の事ですか!?」
「うむ……ソフィアから聞いたのだが、巫女殿はその力を使うたびに激しい苦痛に襲われているそうじゃな?」
「は、はい……」
「それは《清心樹の結界》の力じゃ……この森の中で邪悪な力を使うと、使った者は激しい苦痛に襲われる……」
「ご、誤解です!! 私の癒しの力は、傷付き苦しんでいる人達を救う人達を救うための力であって……決して邪悪なる力なんかじゃ……くふぅぅぅぅぅっ!?」

 問答無用と言わんばかりに、清心樹がナジミを締め上げる。

「いかん!! このままでは巫女殿が……儂が清心樹に巫女殿を解放するように話してみましょう!!」

 ウィスドムは目を閉じて清心樹にそっと触れた。

「ソフィア様、ウィスドム様は何をしておられるのです……?」

 リョエンの問いにソフィアが答える。

「大賢者様は今、清心樹と会話をしておられます。大賢者様は、様々なものに宿る魂と会話をする事が出来るのです」
「よ、よっしゃ!! ほんなら俺も!!」

 武光も、ウィスドムの隣に立ち、清心樹に触れた。

「……はじめまして、唐観武光と言います……はい……はい……そうです、ウチのドジ巫女を離してやってもらいたいんです……」

「た、武光さん……清心樹と会話しているというの!?」

 ソフィアは驚いた。大賢者ウィスドムと違って声がだだ漏れだが、武光が大賢者と同じように……清心樹と会話を始めたのだ。

「……いや、誤解ですって……あの子は神々が公式に認める程のゴッドオフィシャルドジですけど……優しいええ子なんです……えっ、いやいやいやいや……そんなんちゃいますってー、やめて下さいよめっちゃ照れるやないですかー……はい……そこをなんとか……邪悪かどうかは使い方次第やと思うんすよ……はい……はい……いえいえお代官様ほどでは……えぇーめっちゃ難しい問題やないですか…………僕はどっちかって言うたらイヌ派ですね……いや、ネコも好きですよ、あと牛丼はツユギリ派です!!」

「な、何の話を……!? ほ、本当に会話出来ているのかしら……?」

 武光が清心樹と本当に会話出来ているのか疑い始めたソフィアだったが、しばらくすると、武光の説得に応じるかのように、清心樹が捕縛していたナジミを解放した。
 ソフィアの視線の先では武光が清心樹に深々と頭を下げている。

「はぁ……はぁ……し、死ぬかと思った」
「大丈夫かいな、ナジミ」
「た、武光様……ありがとうございます……」
「可哀想に……締め上げられ過ぎて胸がペチャンコに……」
「わ、私が挟まってたのは腰の所ですっ!!」
「あ、ごめん……無いのは元々か」
「もー!! 何でそういう事言うんですか!? 武光様のアホ!! バカ!! いじめっこ!!」
「お前な……誰が絶世の美男子やねん!!」
「言ってません!!」

 そんな武光達の様子を見て、ウィスドムは目を見張った。

「凄い……まさか清心樹と会話出来るとは……それに、清心樹が爆笑するとは……儂も初めて見ましたぞ」
「フッ……これぞオオサカの民の持つ、人を笑かす特殊能力です!!」
〔いや、それは特殊能力とは言わんだろ〕
「しかし、清心樹と会話出来るだけでもかなり凄い事ですぞ」
「いや、それは俺が凄いんとちゃいますよ。異界渡りの書の『この世界の言葉を理解出来るようになる力』のおかげです」
「ということは……救世主殿は異世界から来られたと?」
「え? ええ、まぁ……」
「ふむ……まさかそんなに遠くからとは……まぁ、このような所で立ち話というのも礼を失する……続きは祭壇さいだんの間にて」
「あっ、ハイ!!」

 武光達は神殿の中央部……祭壇の間に案内された。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。 勇者としての役割、与えられた力。 クラスメイトに協力的なお姫様。 しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。 突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。 そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。 なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ! ──王城ごと。 王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された! そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。 何故元の世界に帰ってきてしまったのか? そして何故か使えない魔法。 どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。 それを他所に内心あわてている生徒が一人。 それこそが磯貝章だった。 「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」 目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。 幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。 もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。 そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。 当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。 日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。 「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」 ──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。 序章まで一挙公開。 翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。 序章 異世界転移【9/2〜】 一章 異世界クラセリア【9/3〜】 二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】 三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】 四章 新生活は異世界で【9/10〜】 五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】 六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】 七章 探索! 並行世界【9/19〜】 95部で第一部完とさせて貰ってます。 ※9/24日まで毎日投稿されます。 ※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。 おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。 勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。 ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。

神々の間では異世界転移がブームらしいです。

はぐれメタボ
ファンタジー
第1部《漆黒の少女》 楠木 優香は神様によって異世界に送られる事になった。 理由は『最近流行ってるから』 数々のチートを手にした優香は、ユウと名を変えて、薬師兼冒険者として異世界で生きる事を決める。 優しくて単純な少女の異世界冒険譚。 第2部 《精霊の紋章》 ユウの冒険の裏で、田舎の少年エリオは多くの仲間と共に、世界の命運を掛けた戦いに身を投じて行く事になる。 それは、英雄に憧れた少年の英雄譚。 第3部 《交錯する戦場》 各国が手を結び結成された人類連合と邪神を奉じる魔王に率いられた魔族軍による戦争が始まった。 人間と魔族、様々な意思と策謀が交錯する群像劇。 第4部 《新たなる神話》 戦争が終結し、邪神の討伐を残すのみとなった。 連合からの依頼を受けたユウは、援軍を率いて勇者の後を追い邪神の神殿を目指す。 それは、この世界で最も新しい神話。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...