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決戦編
二人、ぶちまける
しおりを挟む162-①
ヨミの突然の裏切りによって捕らえられた武光達は、後ろ手に縛られて、ヨミに連行されていた。
「ぐぬぬ……お前、裏切りやがって!! ホンマやる事がいちいちしょーもないなお前!!」
「裏切りですって? 私、『アンタ達の仲間になる』なんて一言でも言ったかしら?」
「…………あ、言うてへんわ」
「それに私は約束通り、ちゃーんと『あの巫女の所まで連れて行ってあげてる』じゃない、フフフ……」
「くっ……」
そして武光達は謁見の間に引きずり出された。
謁見の間には五十体を超す屈強な魔族が居並び、謁見の間の最奥、床より数段高い位置に設えられた玉座には漆黒の鎧を纏った魔王シンが鎮座し、そしてその隣には……黒いドレスとベールをその身に纏ったナジミが、魔王に寄り添うように立っていた。
武光達を魔王の前で跪かせたヨミは、武光の耳元で『約束は果たしたわよ』と囁くと、武光達の側から離れた。
魔王は頬杖をついたまま、武光に声をかけた。
「フフ……よくぞ生きていた。貴様は是非この手で無惨に殺してやりたいと思っていた」
「おう、お前こそ元気そうやんけ。お前は何が何でも俺の手でシバキ倒したいと思とったんや」
武光は、不敵な笑みを浮かべて魔王に啖呵を切った。
内心ビビりまくりだが、どうせ逃げられはしないのだ、それに……惚れた女の前だ。(この際、虚勢でも何でも張り倒してまえ!!)と、武光は開き直っていた。
「それにしても……何故再び我が前に姿を現した? 正直に言って我はお前が死んだものと思っていた。そのまま姿を隠しておれば生命を落とさずに済んだもの──」
“スパーン!!”
魔族達は唖然とした。魔王の花嫁が、いきなり魔王の後頭部を勢い良く叩いたのである。
ナジミは被っていた黒のベールを勢い良く床に叩きつけると、呆気に取られて言葉を失う魔族達には目もくれず、ズカズカと足取り荒く武光の前に立った。
「ナジミ……」
「武光様……」
その場にいた全ての魔族の視線を釘付けにしていた武光とナジミの二人は、それからしばらくの間、一言も発する事無くただ真っ直ぐに視線を交わしていたのだが、どちらからともなく口を開いた。
「この…………アホーーーーーーーーーっっっ!!」
「武光様の……バカーーーーーーーーーっっっ!!」
「んなっ!? 誰がバカや!!」
「ちょっ!? 誰がアホですかっ!!」
「このドジーーー!! 貧乳ーーー!! 泣き虫ーーー!!」
「ビビリーーー!! ヘタレーーー!! スケベーーー!!」
もはや売り言葉に買い言葉である。さっきから叫びっ放しの二人は肩で息をした。
「はぁっ……はぁっ……そもそも!! ……何で一人で行くねん!? 無茶しやがって!!」
「ふぅっ……ふぅっ……大体っ!! ……どうして乗り込んできちゃうんですかっ!? 無謀過ぎます!!」
武光とナジミはお互いの顔を見据えた。
「……『どうして』やと……? そんなん決まってるやろが……!!」
「……『何で』ですって……? そんなの決まってます……!!」
勢いに任せて、二人はありったけの気持ちをぶちまけた。
「俺はッッッ……お前が……めっっっちゃ好きやね-----んっ!!」
「私はッッッ……武光様が……大大大大大好きだからですーーーーーっ!!」
「「…………えっ?」」
互いの、凍り付いてく時をぶち壊さんばかりの『君が好きだ』という叫びを聞き、二人は顔面から火術・炎龍を放ちそうな程に赤面した。
「ちょっ……何をこっ恥ずかしい事大声で叫んどんじゃーーーーー!?」
「たたた武光様、そんな恥ずかしい事大声で叫ばないで下さいーーーーー!?」
「いや、お前ら二人とも恥ずかしいわっ!!」
「マジで何なんだよお前ら!? 恥ずかし過ぎかっ!!」
「聞いてるこっちが恥ずかしいわ、爆発しろ!!」
魔族達にツッコまれて、武光とナジミは思い出した。周囲にめっちゃ人……いや、魔族がいる。居並ぶ魔族達は皆、赤面し両手で顔を覆っていた。
「ぎゃー!? おおお、お前ら……いつからそこに!?」
「いつからじゃねーよ!! 最初っからいたわ!!」
“ばたーん!!”
「ああっ!? ナジミが恥ずかしさのあまり気絶したっ!? お前らぁぁぁっ……よくもナジミをーーーーーっ!!」
「俺達のせいにしてんじゃねーよ!! 魔王様、もうこいつらブッ殺しても……って」
「「「「「「ゲェーーーッ!?」」」」」」
武光達を始め、その場にいた誰もが同じリアクションを取った。玉座に座る魔王の……首から上が無くなっていた。
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