ジョージ・ウィリアムズと噂の絵画

名取桜

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Chapter 2 山奥の別荘

第十四話 ジョージの屋敷①

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 途中で馬車の乗り換えをしながら、一時間弱でジョージの暮らす屋敷に着いた。
「ここが俺の家だ」
「何というか……やっぱり豪華だな、貴族の屋敷は」
 オリバーがほぅとため息を吐いた。
「いつもあんたはこの屋敷で何をしているんだ?」
 オリバーは興味津々だった。
「普段は絵画の制作をして過ごしてる」
「……あんた、画家なのか?」
「まだ端くれだけどね」
「……君の親父は、何の仕事をしているんだ?」
「仕事? 仕事は」
 ジョージが答えようとすると、さっきまで相槌しか打っていなかったアーサーが、突然こう言いだした。
「なぁ、ジョージ。あそこにいるのは馬の世話係じゃないか? 借りていいか、聞いてきてくれよ」
「あ! そうだね。彼女、メアリーっていうんだ。聞いてくるよ」
 メアリーはちょうど、馬の世話をし始めたようだった。ジョージは急いで彼女に声をかけに行った。

〇●〇

 ジョージがメアリーの所まで行ったのを確認すると、アーサーはオリバーを睨みつけた。昨日と彼とはうって変わってその視線をものともせず、被っているニット帽を右手で触っていた。
「……あれこれ詮索するな」
「詮索なんてしてませんよ、旦那」
 オリバーは、ほとんど棒読みで答えた。
「いーや、してるね。俺、お前みたいなやつと昔喧嘩したことがあるから分かるんだ」
 アーサーは、オリバーの人差し指の欠けた右手を見て、続けた。
「本当の狙いは何だ? もう、噂の絵画じゃなくなったんだろう?」
「……ハハッ、旦那はあの人の用心棒なんですかい?」
 昨日までの低姿勢はどこへやら、彼は小馬鹿にした様子だった。
「お前には全く関係のないことだ」
「……傷つく言い方だなぁ。別に俺、悪いことする気はないですよ」
 ほう、とアーサーは眉間にしわを寄せた。
「お前、本当に仲間なんているのかよ?」
「いますよ、旦那」
 そう告げたオリバーの瞳はひどく濁って見えた。
「俺の目的は、仲間の無事を確認するだけですよ。……旦那は何であの絵画が欲しいんです?」
「……お前に話す必要はない」
「やっぱりあの坊ちゃんに金で雇われてるんですよね? 間違いない。用心棒として」
「……」
 アーサーの眉間のしわがさらに深くなる。
 オリバーはアーサーとの口げんかの勝利に満足したのか、鼻歌を歌った。
「あの坊ちゃん、金払いよさそうですもんね♪ いいなぁ、そういう人に出会えて羨ましいですよ。俺もそういう人探そうかなぁ」
 そう言いながら、オリバーは楽しそうにケタケタと笑った。
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