僕は断罪されますから、みんなが幸せでありますように。…って、あれ?

さひこ

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1.少年期

アレクサンドラ学園

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ルロア男爵家から近い場所にあるアレクサンドラ学園へは、カバン一つで歩いて行った。
お母さまは荷物をたくさん持たせてくれようとしてくれていたのだけれど、それは自分で断った。
その代わり持たされたのはお金が入った財布。これはお父さまが持たせてくれたものだ。
『自分でよいものを選び買うのも立派な社会勉強だ。』と、持たせてくれたその金額は多い。
でも、これは大切に使わないとと思っている。
教科書や制服など、現地にすでに送っているものもあることだ。
無駄なお金は使わず、節約するのはシスター・アリアからの教えだ。貴族の家に迎え入れられたからと言っても、それを曲げる理由にはならない。



大きな正門を通るために、兵士の方に学園証を見せる。
確認が無事終わり、今度は入寮手続きだ。

そう、このアレクサンドラ学園は完全入寮制、王族、貴族、平民問わず。だ。
僕がルロア家へ帰ることになるのは、半年後の長期休暇の時になる。

「アルヴィア・ルロアさん。確かに確認できました。貴方は男子寮北館2階、208号室の2人部屋です。どうぞ、このキーを持ってお進みください。」

受付のお姉さんから鍵をもらうと、僕は2階へと進み、踊り場に貼ってある案内図を見た。
「へえ~。こんなに部屋数があるんだ…。」
2階だけでも2人部屋が30はあった。上流貴族や王族はこういう部屋じゃないんだろうけど。

僕は208号室の部屋をノックする。先の住人がいないか確かめるために。
「―――ど…どうぞ!」

鍵の開く音が鳴り、扉が開く。
すると、そこにいたのは僕と同じくらいの身長のくりっとした目のかわいらしい男の子だった。

「こ…こんにちは!ご機嫌麗しゅう!ルロア様!!ど…同室のドナと申します!以後お見知りおきを…!」
「こんにちは…。ルロア…『様』?」
ドナと名乗った少年は続けて慌てふためきながら話す。
「はい…!ルロア様は男爵ご令息であられるとのこと!俺のような一般市民と同室だなんて不愉快かと思われますが…!」
彼はどもりながらも一生懸命コミュニケーションをとろうとしてくれていてとても好感が持てた。
「アルヴィアって呼んでよ。ドナ君。仲よくしてくれると嬉しいな…あと、部屋に入れてくれると嬉しいな。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




「なんだよ~!緊張して損した~!」
僕は、孤児院で育ったこと。最近ルロア家に養子に入ったことを『聖』属性のことを隠して話した。
「うん。僕も本当は庶民なんだよ。だから改めてよろしくね。ドナ君!」
「そういうことなら!あと君付けなしでドナって呼んでくれよ。俺もアルヴィアって呼ぶからさ!」
「わかったよ、ドナ。」

ドナはベッドに転げながら言う。
「そういえば俺、魔術師クラスなんだけど、アルヴィアは?魔術?学術?こ~言っちゃ悪いけど、騎士って感じじゃなさそうだし。」
僕もベッドに腰掛けながら返した。
「ドナと同じ魔術師クラスだよ。」
「ほんとか~!?嬉しいなあ!一緒に授業受けに行こうぜ!!」
本当に嬉しそうに話すものだから、こっちも嬉しい。
クライヴ。僕、友達ができたよ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




お昼にここへやってきて、ドナと打ち解けて話をし、部屋の荷物を整理していたら18時になった。
晩御飯の時間だ。これから21時まで食堂が開いているらしい。
それまでの間ならいつ来てもいいらしいが、それを過ぎれば食いっぱぐれるとはドナの談だ。

「俺さあ、入寮最初の日、掃除して疲れて寝こけてたんだ。そしたら21時過ぎてて、もう腹減ったのなんのって…。」
「あはは…って、ドナ、前!」


ドンっと音がする。
「わぁっ!」と、倒れこむ前にドナは大きな手につかまれた。

「おい、前ぐらい見て歩け。危ないだろう。」
「は…え?!ベルナール様!す…すみません!」
おどおどとかわいそうなくらい怯えているドナ。それを制したのは透き通るような涼しい声だった。

「ジュール。かわいそうに、その子怯えているだろう?そんな睨んじゃかわいそうだよ。リラックス、リラックス。…ねえ?リュカ。」
「はい…。ジュール様は少々ご威圧的かと…。」

僕は驚きが隠せなかった。
あの顔は…。

『前世』での記憶が。あの美しい顔に銀色の髪、金の目をしたあの人は、『マティアス・オベール』…。『主人公』の『僕』の『相手役』だ。
そして隣にいるのは『リュカ・フォンテーヌ』マティアスの婚約者で、青紫の髪に黒曜石の瞳を持っている…『主人公』に嫌がらせをするいわゆる『悪役令息』だ。…可愛い。
…あれ?すっごい可愛いな。なんで浮気なんか王子はしたんだろう?ってほど可愛い。

「ふん、すまなかったな『平民』。」
夕日を思わせるオレンジの髪と新緑の緑の瞳を持った彼は、そう言いながら去っていった。

「ごめんね。…たしか、『ドナ』君だっけ?彼、素直じゃないからね。許してやってよ。」
「では、失礼いたします。」
そういって、2人も過ぎ去ってゆく。


嵐のような出来事に、僕があっけにとられていると、後ろから声がかかった。

「アルヴィア…。」

「…クライヴ!!」
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