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渡り廊下の
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私が小学生の頃の話です。
小学校につきものの〇〇教室には幽霊が出る。というウワサは当然のようにありました。
校門付近にある二宮金次郎像は夜になると校内を歩き回るだとか体育館で戦時中の兵隊の霊が行進しているとかです。
子ども時分の私は怖いなあと思いましたが、夜中に学校に行くことが無いので他人事でした。
小学校4年のころでしょうか。
私のクラスの教室の隣には渡り廊下があり、その先には家庭科教室がありました。
その家庭科教室ですが、ずっとずっと昔、調理中にガスが爆発し、児童が亡くなったことがある、という噂がありました。
爆発した時に破片や刃物が飛び散り、凄惨な有様になったといいます。
血まみれになった児童は手当てを受けますが、傷口に黄色い膿がたまり、やがて命を落としてしまったというものです。
そんな児童の霊が渡り廊下に出るというのです。
私は身震いしました。
何故なら私の席が一番渡り廊下に近い位置にあったからです。
「なあなあ知ってるか? 両手で印を結ぶようにして指の隙間から覗いた時に幽霊がいると見えるんだってよ」
男子たちの間で忍者が印を結ぶようなポーズを取ると幽霊が見える! というウワサが広まっていました。
休憩時間のたびに印を結んで渡り廊下を観察する遊びが流行り始めます。
「あッ!! 今なんか黄色いのが!?」
誰かが叫ぶと男子たちが一斉に印を結び向けます。
「きゃー!」
女子の甲高い悲鳴が聞こえます。
幽霊が見えた! という話もありましたが、私は見たことがありません。
見えない内に背後に忍び寄っているんじゃないかと気が気でなりません。
ある日の放課後、友人たちと食塩の瓶を片手に悪霊討伐隊を結成し、渡り廊下に乗り込むことになりました。
これがすべての過ちだったのです。
「いくぞ!! みんなやられんじゃないぞ!!」
ガキ大将、という言葉にふさわしい体格のいい男子が先陣を切ります。
渡り廊下に進んだ私たちは周りを警戒しながら進みます。
何人かが印を結び、狭い視界の中、幽霊を探していました。
「あぁッ!!!」
突如、最後尾にいた男子が悲鳴をあげました。
まるで背後から切り付けられたかのように体が仰け反り、苦悶に満ちた表情です。
「きゃーーーーッ!!!」
恐怖にかられた女子が家庭科教室のある側の廊下に走ります。
ドアを開けて避難しようというのでしょう。
「あ、開かない!! 開かないよぉ!!」
先頭の男子を追い越してドアに殺到する女子の悲鳴が聞こえます。
どうやら放課後はドアを施錠してあるようです。
回しても引いてもガチャガチャ音がするだけのドアノブがあるだけです。
退路はひとつしかありません。
つまりは背後から何か迫っているけれど、そこを強行突破するしかないということでした。
廊下は2階にあるため飛び降りるとケガをすることは間違いありません。
先ほど苦悶の表情を浮かべていた男子は廊下でうずくまっています。
「は、走れ!!」
誰かが叫びます。
「ぎゃあぁぁぁーッ!!」
別の誰かが悲鳴をあげ、仰け反りながら倒れ込みました。
渡り廊下にいる誰もが恐慌状態に陥りました。
倒れた児童を放置して一斉に教室側のドアに走ります。
ペタ
走る私の首筋にヒヤリとした何かが触れました。
続いて激痛が襲い掛かります。
きっとひどい悲鳴をあげたことでしょう。
倒れ込みながら見上げた渡り廊下の天井にソレがいました。
黄色と黒のまだら模様のように見えるソレがまるで笑っているかのようです。
びっしりと天井を覆いつくす“毛虫の群れ”が・・・・・・。
小学校につきものの〇〇教室には幽霊が出る。というウワサは当然のようにありました。
校門付近にある二宮金次郎像は夜になると校内を歩き回るだとか体育館で戦時中の兵隊の霊が行進しているとかです。
子ども時分の私は怖いなあと思いましたが、夜中に学校に行くことが無いので他人事でした。
小学校4年のころでしょうか。
私のクラスの教室の隣には渡り廊下があり、その先には家庭科教室がありました。
その家庭科教室ですが、ずっとずっと昔、調理中にガスが爆発し、児童が亡くなったことがある、という噂がありました。
爆発した時に破片や刃物が飛び散り、凄惨な有様になったといいます。
血まみれになった児童は手当てを受けますが、傷口に黄色い膿がたまり、やがて命を落としてしまったというものです。
そんな児童の霊が渡り廊下に出るというのです。
私は身震いしました。
何故なら私の席が一番渡り廊下に近い位置にあったからです。
「なあなあ知ってるか? 両手で印を結ぶようにして指の隙間から覗いた時に幽霊がいると見えるんだってよ」
男子たちの間で忍者が印を結ぶようなポーズを取ると幽霊が見える! というウワサが広まっていました。
休憩時間のたびに印を結んで渡り廊下を観察する遊びが流行り始めます。
「あッ!! 今なんか黄色いのが!?」
誰かが叫ぶと男子たちが一斉に印を結び向けます。
「きゃー!」
女子の甲高い悲鳴が聞こえます。
幽霊が見えた! という話もありましたが、私は見たことがありません。
見えない内に背後に忍び寄っているんじゃないかと気が気でなりません。
ある日の放課後、友人たちと食塩の瓶を片手に悪霊討伐隊を結成し、渡り廊下に乗り込むことになりました。
これがすべての過ちだったのです。
「いくぞ!! みんなやられんじゃないぞ!!」
ガキ大将、という言葉にふさわしい体格のいい男子が先陣を切ります。
渡り廊下に進んだ私たちは周りを警戒しながら進みます。
何人かが印を結び、狭い視界の中、幽霊を探していました。
「あぁッ!!!」
突如、最後尾にいた男子が悲鳴をあげました。
まるで背後から切り付けられたかのように体が仰け反り、苦悶に満ちた表情です。
「きゃーーーーッ!!!」
恐怖にかられた女子が家庭科教室のある側の廊下に走ります。
ドアを開けて避難しようというのでしょう。
「あ、開かない!! 開かないよぉ!!」
先頭の男子を追い越してドアに殺到する女子の悲鳴が聞こえます。
どうやら放課後はドアを施錠してあるようです。
回しても引いてもガチャガチャ音がするだけのドアノブがあるだけです。
退路はひとつしかありません。
つまりは背後から何か迫っているけれど、そこを強行突破するしかないということでした。
廊下は2階にあるため飛び降りるとケガをすることは間違いありません。
先ほど苦悶の表情を浮かべていた男子は廊下でうずくまっています。
「は、走れ!!」
誰かが叫びます。
「ぎゃあぁぁぁーッ!!」
別の誰かが悲鳴をあげ、仰け反りながら倒れ込みました。
渡り廊下にいる誰もが恐慌状態に陥りました。
倒れた児童を放置して一斉に教室側のドアに走ります。
ペタ
走る私の首筋にヒヤリとした何かが触れました。
続いて激痛が襲い掛かります。
きっとひどい悲鳴をあげたことでしょう。
倒れ込みながら見上げた渡り廊下の天井にソレがいました。
黄色と黒のまだら模様のように見えるソレがまるで笑っているかのようです。
びっしりと天井を覆いつくす“毛虫の群れ”が・・・・・・。
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