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ギュメル大陸編
強襲!! 露天風呂
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その後しばらく取り留めもない話に花を咲かせて、良い感じにのぼせてきたので上がろうとすると事件が起きたのだ。
浴槽の岩の外側には低木が柵の代わりに植えてある。
それの一角がガサガサ揺れ、何かがそこにいることを表していた。
田舎出身のあたしはクマ的な何かを想像し置いてあった桶をとりあえず構える。
パルは不安そうな顔で呪文の詠唱をするか迷っているようだった。
ガサガサパキパキ
葉や枝がこすれ合う音と小枝が折れる軽い音。
そして一際大きく揺れたあと、そいつは姿を現した。
リュオだった。
顔が桜色になり、足取りは怪しく、ぽけーっとあたしたちを見つめていた。
そしてニンマリ笑うと
「いよおぅ! 分かり易い目印助かったぜ!」
指差す先には洗濯した衣服が夜風に揺れていた。
沈黙。
「ん? ところで何ですっ裸なん? なかなか形のいい---」
桶が風を切り裂きスッ飛ぶ。彼の顔に命中。
リュオが死んだ。
「きゃあああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
背後でパルが悲鳴をあげる。
「きゃあああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
ワンテンポ遅れて、あたしも悲鳴をあげた。
「ど、どうした?! 大丈夫kッッッ---」
宿側の木製ドアが勢いよく開くとラレスがすっ飛んできて
そして、死んだ・・・・・・。
神速の桶投げ二投目が寸分の狂いなく、彼の顔を直撃したのだ。
「おお、とと。いけませんな。不用心に飛び込むのは」
モーリウス卿の声が遠くから聞こえたが、姿を見せることは無かった。
+-+-+-+-+-+-+
「大変申し訳ない。ごめん、本当に悪かった」
ラレスがドゲザとかいう異国の謝罪をしていた。
「悪ぃ」
リュオがやや不服そうに謝る。
酔いが醒めて見れば記憶にほとんど無かったとの事だが本当かウソかも分からない。
顔を真っ赤にして涙目で頬を膨らませているパルがプルプル震えていた。
怒っているようだが仕草がかわいい、じゃなくて。
「仕方ないので許しましょう。寛大なるあたしたちに感謝するのです」
リュオはいわゆる事故だし、ラレスに至っては助けに来たわけだし。
あと仕方ないにしても一撃お見舞いしたことに変わりはない。
桶投げの件は謝った。
「解決ですかな」
モーリウス卿が茶を飲みながら横目で成り行きを見守る。
この後、食堂で夕食をつつくことになるのだが、リュオが賭けで手持ち金を半分にしたという恐怖の報告でもう一戦交えることとなるのは、また別件。
浴槽の岩の外側には低木が柵の代わりに植えてある。
それの一角がガサガサ揺れ、何かがそこにいることを表していた。
田舎出身のあたしはクマ的な何かを想像し置いてあった桶をとりあえず構える。
パルは不安そうな顔で呪文の詠唱をするか迷っているようだった。
ガサガサパキパキ
葉や枝がこすれ合う音と小枝が折れる軽い音。
そして一際大きく揺れたあと、そいつは姿を現した。
リュオだった。
顔が桜色になり、足取りは怪しく、ぽけーっとあたしたちを見つめていた。
そしてニンマリ笑うと
「いよおぅ! 分かり易い目印助かったぜ!」
指差す先には洗濯した衣服が夜風に揺れていた。
沈黙。
「ん? ところで何ですっ裸なん? なかなか形のいい---」
桶が風を切り裂きスッ飛ぶ。彼の顔に命中。
リュオが死んだ。
「きゃあああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
背後でパルが悲鳴をあげる。
「きゃあああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!」
ワンテンポ遅れて、あたしも悲鳴をあげた。
「ど、どうした?! 大丈夫kッッッ---」
宿側の木製ドアが勢いよく開くとラレスがすっ飛んできて
そして、死んだ・・・・・・。
神速の桶投げ二投目が寸分の狂いなく、彼の顔を直撃したのだ。
「おお、とと。いけませんな。不用心に飛び込むのは」
モーリウス卿の声が遠くから聞こえたが、姿を見せることは無かった。
+-+-+-+-+-+-+
「大変申し訳ない。ごめん、本当に悪かった」
ラレスがドゲザとかいう異国の謝罪をしていた。
「悪ぃ」
リュオがやや不服そうに謝る。
酔いが醒めて見れば記憶にほとんど無かったとの事だが本当かウソかも分からない。
顔を真っ赤にして涙目で頬を膨らませているパルがプルプル震えていた。
怒っているようだが仕草がかわいい、じゃなくて。
「仕方ないので許しましょう。寛大なるあたしたちに感謝するのです」
リュオはいわゆる事故だし、ラレスに至っては助けに来たわけだし。
あと仕方ないにしても一撃お見舞いしたことに変わりはない。
桶投げの件は謝った。
「解決ですかな」
モーリウス卿が茶を飲みながら横目で成り行きを見守る。
この後、食堂で夕食をつつくことになるのだが、リュオが賭けで手持ち金を半分にしたという恐怖の報告でもう一戦交えることとなるのは、また別件。
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