だから違うと言ったじゃない

仏白目

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え?助けてくれたの?

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「で、ですから!隣のおばさんが私を自分の娘だからと、嘘を言って私を怖い男の人達に引き渡したんです!」

「ほう? 何故 隣のおばさんは君を娘だと?」

「息子の幼馴染だから娘も同じだとか言って・・あっ!そうじゃなくて、そのおばさんの息子が伯爵様に怪我をさせたから、娘を渡せば許してやるって言われたとか言ってました、それで私で事を済ませようとしたみたいです、多分・・・
 だから!違うんです!私は隣りの家の者で、あの家とは家族ではないんです!他人ですー!」

「まあ、落ち着きない、そっちに座って話そうか?」

 伯爵様はベルを鳴らして、メイドにお茶と誰かを呼ぶように指示を出している 

「さあ、そちらに座って」

 シンシアは初めて見る綺麗なソファを見てから、伯爵をみると座るように促される

「い、いえ こんなに綺麗な椅子に私が座ったら汚れてしまいますので」
 古びたワンピースだけど 納品に行く為に手持ちの服の中では綺麗な物を来ていたが
 男2人に馬車に入れられる前に暴れて抵抗したから 汚れてるはずだ・・・

「ああ、気にしているのかい?  君それをソファに頼むよ」

 お茶を運んで来たメイドが、棚にある水色のストールをソファに広げた

「さあ、これで気にしないでいいだろう、座りなさい」

 伯爵はそう言うが、シンシアはギョッとするこんな高級な生地のストールの上に座るなんて・・・ だけど、もう断れる雰囲気でも無く

「申し訳ありません」 そう言って腰掛けた

 そして、素晴らしい座りこごちに、内心ドキドキしていた 

『何これ?柔らかいのに安定した座り心地!初めてだわ!』

「それで?」

「はい、最高の座り心地です!」

「? いや・・・まあ、それは良かった」

 なんとも微妙な表情で私を見ている伯爵

「あ、すみません つい感動してしまって・・・」

「それで、話の中で伯爵に怪我をさせたと言っていたが、それはどこの伯爵のことか分かるかい?」

「隣りの家の長男ギオンが、ボンドナイト伯爵様に怪我をさせたと言っていましたが? 伯爵様お怪我は大丈夫なのですか?」

「怪我などしていない、恐らくその話も偽りだろう」

 その時ドアをノックする音と、
「ロイドですお呼びでしょうか?」

「ああ、入りなさい」

 扉が開き入って来たのは 伯爵と同じグレーヘアに濃い青い瞳の青年だった

 目の前の伯爵様の若い頃はこうでしたと言う容姿である事から親子なのだろう

「ロイドこちらは、シンシアだ 知っているか?」

 私の前に座って、正面からじっとみる
 ああ、端正な顔立ちな方だわ、さすが貴族様は男性でも美しいのね 何て感心していると ロイド様は私から目を逸らし フッと鼻で笑ってから 

「いえ、知りませんが?」

 と、返事をした (こんな小汚い娘は)と含まれている笑いだった

 ええ、場違いなのは重々承知しておりますが・・・ なんだかムカつく・・・

「あの・・・何かの間違いで連れてこられたのなら、帰ってもよろしいでしょうか?納期の決まっている仕事がありますので・・・」

「何処に住んでいる?」

「ノース地区の外れです」

「・・・ノース地区と言うと、半年前の事件と関係している者か 伯爵家の騎士団と領内の警備隊で手違いがあったようだな、話しを聞いてこよう、恐らく君は保護対象の女性だろう、 ここでは無く別宅で保護することにしているんだよ 」

「人身売買の元締めはもう処刑されているだろう」

「ええ、ただ、犯行グループの人間だけが、人を攫って売買していた被害者だけでなく、お金になると子供や身内を売り渡す者がいたり、身寄りのない者が勝手に売られたという被害者もいたので その窓口は秘密裏に警備隊に繋がるように置き換えていたんだ 取り引きをする者がくれば捕まえる為にですが、処刑が執行されてからは動きは全く無かったのに、今になって・・・」

 事件とか人身売買とか、処刑?って・・

「・・・・え?  
 私隣りのおばさんに売られたんですか?」


「ああ、恐らくそうだろう、もちろんその隣人は警備隊が捕まえているはずだ、・・・君は家族は一緒に暮らしているのかい?」

「いえ、両親は去年亡くなって 私1人で生活しています」

「そうか・・・では別宅で君を保護しよう、悪い様にはしないよ 今後の事も相談にのるよ」


「ロイド、今日はシンシアも疲れているだろう 外も暗くなっている事だ 移動は明日にして休ませてやりなさい」


「父上・・・そうですね、分かりました
 では、シンシア行こうか?」


「あ,あの伯爵様、ありがとうございました それに、こんな綺麗なストールの上に座ってしまってすみません」

 私は伯爵様に頭を下げて部屋から出ようとすると

「私のソファを褒めてくれたお礼だ、持っていきなさい」

 伯爵様はストールを私に手渡してくれた

「いいんですか? わぁ、ありがとうございます!」

「ああ、大変な目にあったようだか、頑張りなさい」

 なんて、優しい伯爵様だろう 私は返事をして深々とお辞儀をして部屋を出た





 ストールを大事に抱えて歩く私をみて、ロイド伯爵令息は呟く

「随分、気に入ったみたいだな・・」

「はい、とても綺麗な生地のストールです!こんな生地に刺繍をしたらと考えたらワクワクします」

「あ? ああ、 よかったな・・・」

 あら?この微妙な表情はさっきの伯爵様と同じだわ?

「ゴホンッ、いや、随分とあの気難しい父上に気に入られてるなと思ってな ・・・」

「?」



そのあと、メイドさんに使用人用の空き部屋に案内されて、着替えの衣類一式を渡された、使用人用の風呂場を使わせて貰い
さっぱりした私は、風呂場の外で待っていてくれた さっきのメイドさんにお礼を言う


「どうも、ありがとう さっぱりしたわ!」


「え? ・・・あ、あなた シンシアさん? うそでしょ? だ、だ,だ,旦那様に報告!大変!」


メイドさんは凄い勢いで走って行ってしまった


「急にどうしたのかな?  まあ、部屋で休もう疲れたし、お腹空いたな~」



部屋に入ってベッドの上に横たわると途端に睡魔が襲う、あっという間に夢の中へ落ちて行った









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