囚われの姫君と新米魔王

干潟

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1:囚われの姫君と悪魔の姫君

006 御影石の湯屋4 【side:Judith】

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 アンネリーゼの首に、数枚の薄紅色の花びらが散る。
 花びらの数を増やすたびに、彼女は銀の鈴のような澄んだ声で鳴いた。

 不本意そうな顔で、ぐったりとわたしにもたれかかる様子が可愛い。
 体温が上がり、汗をびっしょりかいて、乱れた呼吸を整える余裕もないのが可愛い。
 先ほどの余韻で、とろりと蕩けるように潤んだアンネリーゼの瞳が、たまらなく可愛い。

 わたしが唇を吸おうとすると、アンネリーゼはわたしの顔を手のひらで押し返して拒んだ。
 彼女の細腕なんて障害にはならないけれど、無理矢理するのも興醒めだ。

「……何がおかしいの?」
「ん? いいや。なんでもないよ」

 わたしは知らないうちに笑っていたらしい。
 アンネリーゼは鋭い目でわたしを睨む。
 こんな可愛らしい表情をしてくれるのならば、ずっと笑っていようかな。
 ──なんて、本気でそんなことを考えた。

「さあ、他のところも洗おうか?」
「やっ……! やめてよ!」

 彼女はわたしの上から後退りし、自分自身を抱くようにして胸と股間を庇う。
 さっきのことで、だいぶ警戒されてしまったようだ。
 でも、いいや。
 わたしが興味があるのは、何もそんな分かりやすいところばかりではない。

 彼女の体に、指を滑らせていく。
 汗ばんで熱を持った皮膚は、しっとりと吸い付くようだ。

 わたしの指が胸や下腹部に近づくと、アンネリーゼは体を強ばらせた。
 ──でも、狙いはそこじゃない。

 ほとんど脂肪のついていない、なだらかな腹部を撫でる。
 幼いアンネリーゼのお腹は、脂肪だけでなく筋肉も薄いようだ。
 指で軽く押すと、彼女は怯えたように小さく首を振った。

 心配しなくても突き破ったりなんてしないのに、心配性だなあ。

 わたしは内向きに螺旋を描くように指を動かして、目的の場所に滑り込ませる。
 お腹の真ん中にある、小さな窪みに──

「ふぁ……っ!?」

 彼女は体を震わせた。
 困惑、不可解、不安……そんな気持ちが込められた視線をこちらに向ける。

 へその襞を広げるように、石鹸の泡を塗りこんでいく。
 アンネリーゼは体を隠すのを諦め、両手で自分の口を押さえ、わたしの指の動きに合わせて悶える。
 くすぐったくてたまらないといった様子で、彼女はわたしから逃れようとする。
 わたしは彼女を押さえつけ、執拗にへそを攻める。

「やめ……く、苦しい……ふぁぁ……!」

 懇願する彼女に、むしろより一層の刺激を与え、思うがままに鳴かせ、悶えさせる。
 アンネリーゼはたった一本の指に、わたしの指に蹂躙され、支配されている。
 その事実が、わたしの興奮を増幅する。

 彼女が顔を真っ赤にして、もはや懇願する気力すら薄れ、目に涙を滲ませて、恥も外聞もなく喘ぎ声をあげるまで。
 わたしは彼女のへそをいじり回し、そして解放する。

 ほう と、アンネリーゼは安心したようにため息をついた。
 顔の筋肉が弛緩し、彼女の幼い顔立ちが何とも言えない淫靡な表情を作る。
 わたしは舌なめずりした。

「ああぁ……」

 彼女のお腹に湯をかけ、石鹸の泡を洗い流す。
 アンネリーゼは心地良さそうな声をあげ、わたしを見上げる。

 わたしは、微笑んだ。

 それを見て、アンネリーゼは我に返る。
 表情に怯えの色を浮かべ、目を見開き、反射的にわたしから離れようとする。
 ──もちろん、わたしは逃げることを許さない。

「ユーディット……何を……?」

 わたしは彼女に優しく微笑みかけたまま、彼女のお腹に顔を近づけていく。
 唇を開き、舌を伸ばし──

「だ、だめよ! そんなところ!」
「──汚いとでも?
 まさか。そんな面白みのないことを言わないだろうね?」
「あ……ユーディット……お願いだから……」

 わたしは彼女のへその窪みを、自分の舌で満たした。
 アンネリーゼは背を仰け反らせ、脚をきつく閉じ合わせて悶える。
 舌を震わせると、アンネリーゼは甘い声で鳴く。

 ナメクジが這うように、わたしの舌を彼女の中で動かす。
 気が遠くなるほどゆっくりと、指でなぞっていたのと同じ形に。
 わたしが動くたびに、彼女の喉は、法悦に甘く掠れた音楽を奏でる。
 わたしは動くたびに、彼女のくすぐったさを、別の感覚へと変えていく。

「ユーディット……お願い、もう……ゆるして……」

 甘い喘ぎに混じって、彼女は懇願の声を振り絞る。
 まだ余裕があるみたいだ。それはそれで好都合。

 わたしはぐりぐりとした動きに変えて、襞をえぐりはじめる。
 アンネリーゼの喘ぎ声が、短く切羽詰まった調子に変わる。
 両の手でお腹を撫で回しながら、へそを吸う。

「──ッ!」

 アンネリーゼは脚をぴんと伸ばし、背を仰け反らせた。
 はしたなく舌を出して、彼女は深く大きく呼吸を繰り返す。
 彼女は両手をわたしの後頭部に添え、彼女の新しく作られた『弱点』を、わたしの舌に押し付けようとする。

 嗚咽にも似た、しかしとびきりに甘い声をあげながら、アンネリーゼは痙攣した。
 わたしは彼女のへそに吸い付いたまま、細い胴に両腕を回して抱きしめる。
 アンネリーゼはわたしに抱かれながら安堵の吐息を漏らし、呆然と焦点の合わない目で天井を見上げていた。


 浴びた湯や汗が冷えて肌寒さを感じる程度の時間、わたしたちはそうしていた。


「あ……、や、やだ。離してよ」

 不意にアンネリーゼは正気に返った。
 さっきまではわたしを自分に押し付けようとしていた手で、今度は逆に押しのけようとする。

 わたしは、そんな彼女も好ましかったけれど。
 悪戯心が首をもたげたので、ぐるりとへその中を舐め回した後で口を離した。

「ひっ……!
 な、なにをするのよ!」
「何って、そりゃあ……」

 わたしは言葉を切ると、穢れのない真っ白なお腹に唇をつけ、強く吸った。
 一枚の薄紅色の花弁。
 不安に揺れるアンネリーゼの瞳を見つめながら、わたしは答える。

「わたしが君にしたいことを、思いつく限りに何でもするに決まってるじゃないか」

 アンネリーゼが泣きそうな顔になったので。
 わたしの心はどうしょうもなく興奮を覚えた。
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