〈久遠学園~龍の物語~ 〉

文字の大きさ
1 / 2
序章・朝

朱里(シュリ)クニナガ

しおりを挟む
────・・・・・・爽やかな朝日、真っ白なシーツ、なんて目覚めのいい朝!!


だったならば俺はこんな全力疾走をしていない

起きたのは朝の10時でシーツはグシャグシャになって足元に落下。目覚めは遅刻を自覚した瞬間に最悪のものとなった。

「ありえねぇ、ありえねぇよ!よりにもよってこの日に遅刻とか…っ…!!!」

〝人間〟の世界で例えるならヨーロッパ系の町並みを駆け抜けて行く

「クニナガおはよ…いや、こんにちわだね!」

「また遅刻かい?」

「ハハハッ、大変だな」

「ヨサばぁちゃんこんにちわ!ジロじぃちゃんまたって言うな!今年に入ってまだ6回目だ!キリおじさんは笑うな!!つーわけで皆行ってきます!!」

「「行ってらっしゃい!クニナガ!」」

近所のいつもの人たちと言葉を交わしてから再び走り出す。無視をした方がいいんだろうが何せ返事を返さないと俺の気が済まない。

「お前はお人好しなんだよ」

突然視界に映った桜色の短髪に強気そうに釣り上げられた金の三白眼にこんな状況だが笑みがこぼれる

「お前も人の事言えねぇだろ?〝カサネ〟」

「うるせぇ、ってか揃いも揃って今日遅刻とかついてねぇな」

「そうだな、何だって今日は──」

「「卒業試験最終日」」

試験開始は9時。改めて口に出してどれだけ自分…自分達がやばい状態か思い知らされる

「クニナガ」

「…なんだよ?」

「飛べ」

「……お前って、いざと言う時の決断力半端ねぇよな…」

「グダグタ言ってねぇで早く」

青い空に似つかわしくない重いため息を吐き出し、俺はゆっくりと姿を変える

五本の指は3本に、足は消えて代わりに長い胴体が現れ頬には髭が生える

『行くか』

最後にぴしりと地面を軽く尻尾で打ち、〝白龍〟の姿になった俺はカサネに声をかけた

「にゃあ」

軽やかにカサネが俺の背に乗ったの確認して浮き上がる

目指すは都市の中心にそびえ立つ久遠学園…


かっこよく言ったところで遅刻してんだけどな!!


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】王子と結婚するには本人も家族も覚悟が必要です

宇水涼麻
ファンタジー
王城の素晴らしい庭園でお茶をする五人。 若い二人と壮年のおデブ紳士と気品あふれる夫妻は、若い二人の未来について話している。 若い二人のうち一人は王子、一人は男爵令嬢である。 王子に見初められた男爵令嬢はこれから王子妃になるべく勉強していくことになる。 そして、男爵一家は王子妃の家族として振る舞えるようにならなくてはならない。 これまでそのような行動をしてこなかった男爵家の人たちでもできるものなのだろうか。 国王陛下夫妻と王宮総務局が総力を挙げて協力していく。 男爵令嬢の教育はいかに! 中世ヨーロッパ風のお話です。

処理中です...