〈久遠学園~龍の物語~ 〉

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第1章・久遠学園

Ⅰ・龍と猫の自業自得

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────・・・・・・「で?言い残すことは?」

「「ずっ、ずびばぜんでじだ!!」」

自分たちよりも背の低い女の子にボコボコにされた上土下座をさせられるという姿を全校生徒のまえでさせられるのも今年で6回目ということもあり慣れたものだ

俺とカサネのまえで仁王立ちをしてるのは˹鬼虎のマヒル˼こと〝一条マヒル〟だ。

いつもはほわほわしてて実に可愛らしい奴なのだかこのように怒らせると文字通り鬼になる

「まぁまぁ、そんなに怒らなくてもいいんじゃないかい?姫さん」

「いや、こいつらは常習犯なんだからこんくらいで良いだろ。鶴は後輩に優しすぎんだよ、壊すぞ」

真っ白な長いたっぷりとした髪に垂れた緑の目をした〝鶴ノ瀬(ツルノセ)シンヤ〟だ。

鶴さんが差し伸べてくれた(俺たちにとって)救いの手を呆気なく叩き落としたのは鶴さんとは˹縁起組(エンギグミ)˼と呼ばれることの多い〝明星(ミョウジョウ)トーヤ〟だ。

どちらも尊敬する先輩でマヒルの護衛係でもある

「そうかい?…んー、ならもう少し頑張ってね、りゅーくんににゃーくん」

「頭なでるくらいなら助けて欲しいです!!」

「にゃーくん言うな!!」

「2人ともうるさい!!また留年したいの!?」

「「ごめんなさい!!」」

「あはは…」

「それでいーんだよ。ほら鶴、さっさと他のやつ解散させろ」

「はーい。えーっと、皆お疲れ様~!合否は後日家に届きますのでそれまでどうぞあの時あれしとけばよかったとかあのミスどうしてしたんだとか後悔にまみれながら過ごして下さーい!ではかいさーん!」

「いや鶴お前えぐいな!?」

「だって、こーでも言わないと悪いことする子が出てくるじゃないか」

「いやそうだけどもっと別の言い方あったろ!?」

鶴と狼の言い合い─と言ってもじゃれてるだけ─をBGMに足の感覚がなくなっている俺は必死にマヒルに頼み込む

「頼むマヒル!今年こそは卒業したいんだ!特別に卒業試験受けれるようにしてくれねぇか…?」

「俺も頼む。お前ならなんとか出来るだろ?理事長の孫娘だし」

しばしの沈黙

そして



「いい加減にしなさい!!!何でもかんでも人に頼ってばっかりじゃ卒業どころか一からやり直しよ!!」

本気の鬼虎に直面するのであった


「あはは、りゅーくんとにゃーくんクズだね」

「だな~、いい度胸してるぜ。壊すか」

ふと一瞬死んだ両親が川の向こうにいる幻覚をみたような気がしたのはカサネもだったらしい

────・・・・・・でもなんやかんや言って特別卒業試験の場を設けてくれたマヒルにはとりあえずドデカパフェを奢ることにしようと思う
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