俺、人型兵器転生。なぜかゴブリンとかエルフがいる未来の崩壊世界を近代兵器で無双する。

ねくろん@アルファ

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機人、セールスマンになるPART2

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「たのもー!」

 俺は出来上がった大量のポトポト債、それを緑の風呂敷がパンパンに丸くなるくらいの数を背負って、とある建物の前にいる。

「ンッンー!!!今さら何の用ですかッ!ンン!!」

 俺が訪れたのは、チャールスが経営している、詐欺みたいな銀行だ。

 そして俺を出迎えたチャールスはカンカンだ。真っ赤になって怒っている。
 まあ彼の面目を潰したからな、そりゃ怒る。

「……まぁまぁ、ここはひとつ『友人』の誠意に免じて許してはくれないだろうか」

 俺はそう言って、スッとある物を差し出す。そう、エリクサーだ。

 手の中の物を認めた瞬間、真っ赤なチャールスは、にゅーっと笑顔になってピンク色に頬を染めた。キモツ!!

「ンン!まあ機人様とチャールスは『友人』ですからな!ハハハ!」

 すっと取ろうとしたチャールスの手をいなして、再度、お願いをする。

「……そして、友人にいい話を持ってきた。共存共栄と行こうではないか」

「ンッンー!ほう、私に時間を取る意義はあるのですかな?」

 なかなかに自分の価値を解っておる。むむむ、しゃーない。

「……場合によっては、友情の証の『数』が増えるかもしれないな?」

「ンン!ではでは中へどうぞ!」

 俺は銀行の、ハイグレードな応接間へと通された。

「いやはや、機人様のそのお薬は素晴らしい。私、アフカンに従軍したころ、膝に矢を受けましてな。それ以来痛みが引いていなかったのですが、あれ以来ケロリと」

「……そうか、ちなみにこれは、ポトポトのみで取れた、とてもとても希少な材料でしか作れなくてな」

「ンッンー、ということは」

「取引に使えるほどの量が用意できぬのだ。下手に売り出し、偽物が蔓延しても、ポトポトの評判に傷がついて困るしな」

「なるほどンン!」

 嘘は言っていない。チャールスに使ったのは、バケツ頭が材料になった、初期ロットのエリクサーだ。

 さて、無事に交渉の場に着くことができたので、もう勝負はついたようなものだ。

 俺は風呂敷の中のものをチャールスの前にひろげる。

「実はチャールスの銀行で、この商品を扱ってほしいのだ。100万ポンダが300万ポンダになる、『ポトポト債』だ!」

「ンッンーなるほど……!そう来ましたかンン!」

「……いまポトポトで売れるものは、「借金」くらいしかない、が、しかし!」

「ンッンー!!わかります、わかりますぞこのチャールスには!」

「機人様がこれを元手に、何かをやろうとしていることが!!!」

「……さすが私の『友人』だ、ああと言えば、うんと答える」

「しかし、信用が皆無に等しい、ポトポトの債券を売るのは、チャールス式交渉術があっても困難を極めますな」

「……実は、とある秘密があってな?」

「ほう?それは……?」

「……我は、古代竜の住処に、大量の財宝が隠されていることを知っていいる。ポトポトはそれを得るために軍事資金の援助を求めている」

 もちろん口から出まかせだ。重要なのは、金を出させるだけの夢のあるストーリーが用意されているかどうかだ。

「ンッンー!つまり出資者のあなたの力を!というわけですな?」

「そして、この銀行だけが独占で扱える。我の『友人』だから当然だな?もちろん、タダでとは言わん。ポトポト債30枚が売れるたびに、エリクサーをひとつ出そう」

「ンッンッーンッー♪いやはや、友人の頼みとあれば断れませんなぁ」

「取引の証を立てるために、うちの銀行ですべて引き取りましょう。金ならいくらでもございます!ま、元は私の物ではありませんがね!」

 俺はチャールズの机の上に、じゃらじゃらとエリクサーの束を並べた。

 30億ポンダ分の1000本のエリクサーだ。

 オーマとの戦いで手に入った素材では、こんなには作れなかった。

 ドワーフ要塞で、スーパーなミュータントから素材を稼いでおいてよかったな。

 取引には使わないといったのに、この大量に贈り物に使う意味。

 つまりこれは、「チャールスだけに提供するので安心してくださいよ」という誠意の表れだ。どうやらこれがガツンと聞いたようだな。

「現実的なラインで動かせるポンダは最大でいくらだ?」

「ファミリーで融通し合って、まあ5億ポンダと言った所でしょうな」

「我の口座に30億ポンダを記載して、当座の現金として5億ポンダは動かせるようにしてくれ、残り25億は必要に応じて動かす」

「ンッンー!よしなに!」

 これの意味を説明しよう。
 つまりチャールズが実際に持つお金は、かき集めても5億ポンダしかない。

 後の25億は、存在しないけど

 「粉飾」とはこういうものだ。
 無い所にドカンとお金が発生する、現代の錬金術だな。

「ンッンー!承知しました!」

 今の状況で、一番を得をしているのは、エリクサーを手に入れたチャールスだな。 
 まあここからひっくり返るんだが。

 しかしまあ、拾い物と紙だけで30億ポンダ稼いじゃったよ。すげえな!

★★★
 ――説明しよう!
 この30億ポンダ、我々の貨幣価値に換算して3兆円である。
 2021年の国家予算ランキングで、7位のフランスを超える国家予算だった。
★★★

「「「お主も悪よのう!!ハーッハッハ!」」」

(求める者に与えよ、と計画の骨組みを渡したのは私ですが、ここまで計画を補強し、実行するとは思いませんでした。機人様、あなた本当に、人間のクズですね)

(あまり褒めるな、ヌーッハッハッハ!!)

 こうして俺は紙切れを売り払うだけで、イギニスでも有数の金持ちになった。

 もちろん、支払期限という時間制限はある。
 が、俺は馬鹿正直に、それを守る気はない。ククク……次のフェイズに入ろう。
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