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文明の貯蔵庫
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世界大統領のカイデンは、ブラックハウスと共に燃え尽きた。
これが建設された当初は、今よりまともな理想を掲げていたのだろうが、いつしか圧政の象徴となっていたブラックハウスは爆破され瓦礫の山となった。
あの様子では世界大統領とやらは跡形もなく吹き飛んだろう。
ブラックハウスの跡地を見る俺に「やあ」と、声をかけるものがあった。
なつかしいな。「エンペラーバーガー」のおっちゃんじゃないか。
「やあ、おかげ様でボロボロだけど、なんとか昔のラメリカにもどりそうだ」
「……それは何よりだ。今度から、変な事を言うやつらがいたら、そいつらにちゃんと、『お前ら変なこと事を言っているぞ』と教えてやるべきだな」
「ああ、ちげぇねぇや」
俺は頭部カメラを軽く振って同意したが、バーガー屋のおっちゃんはまだ何か言いたそうにしている。
「……まだなにか?」
「ポトポトの機人さんは、ここに残らないのかい?」
「……ポトポトで手いっぱいだ。世界中の世直しするつもりは無い。うちで通用することが、ラメリカでも通用するとはとても思えないしな」
「えらい人が皆、あんたみたいだったらねぇ……」
「……それは買いかぶり過ぎだ。大方の事は、勘で適当にやっている。最初から最後まで、当初のプラン通りに進もうとした覚えがないな」
「言い換えりゃ、その場その場でちゃんと判断してるってことだと思うがね」
「……大統領を押し付けられる前に失礼する」
「ああ、ほいじゃあな、ポトポトの機人さん。また会えればいいな」
「……ああ」
俺はバーガー屋のおっちゃんに挨拶すると、ぺちゃんこになったブラックハウスをあとにした。そしてブラックハウス近くに併設されている別館に向かった。
別館は扉がぶっ飛んでいる。建物もそのサイズ感からして、とてもヒトが住むためのものには見えない。
ここは地下格納庫と言った方が適切だ。いや、実際そうなのだろう。
あの大統領専用機、「オレ・フォース・ワン」はここから出撃したようだ。
床の真ん中を真っ直ぐ走るラインのような装飾、何も知らないと飾りにしか見えないが、これは電磁カタパルトだ。すげーもんつくってんね。
(きっと初代大統領が作ったものかな?)
(Cis. 良く残ってましたねこれ)
この地下格納庫は下に向かってスロープが続いている。そっちのほうを覗いていると、奥から何かやって来る……エイブラムスということは、ポルシュ達か。
砲塔を後ろに回して、キューポラからはポルシュ、運転席からはロイが頭を出している。中を先に見てきたのか。
「……二人ともご苦労だった、中の様子はどうだ?」
「機人様、乗っていってください。ここの地下、かなり広いですよ。様子ですが……見るもの全ての意味が解りません」
「ッス!たぶん機人様ならわかると思うッス!」
「……そうか、なら見てみるとするか」
俺はエイブラムスのエンジン上部に乗る。戦車は一度ガクンとつんのめるようなってから、エンジンをうならせて進みはじめた。
「しかしせっかく建造した『エイブラムス』ですが、今回は全く活躍する余地がありませんでしたね」
「……兵器なら使われない方が良い。エイブラムスが作れることをお前たちは示したのだ。それでいいだろう」
「それもそうですね。次は何を作りましょうか……」
「……そうだな、何がいいだろう?」
しばらく進んで最深部までいくと、平坦な床が現れる。
そしてわっと目の前にひろがった地下空間を見た俺は、「意味が解りません」とポルシュが困惑した理由が分かった。
「……なるほどこれは意味が解らん」
そこにあったのは大量に山積みにされた家電やPCなどの電子製品だ。
見覚えのあるテレビなんかに混じって、ロボットも投げやり気味に放置されていた。見たことのないような者から、見たことある物まで。
ファーザーの工場でみた覚えのある、量産型俺までいた。
……なんじゃこりゃ?まるで旧世界の、文明の貯蔵庫だ。
ラメリカはこれをかき集めていたのか?
しかしオーマからも電子製品を集めていた理由が、このゴミ山を作る為だったとは思えん。一体何をしようとしていたんだ?
(あっ、あれ……ファーザーじゃん、何でこんなところに……)
(ラメリカの政府が回収したんですかね?なるほどこれは……もっと奥へ行って見てください、きっとこれらを材料にしたものがあるはずです)
(ああ、わかった)
奥に進んだ俺たちはナビさんの言う通りに存在した「それ」を見つけた。想像すらしてなかった存在が……いや、その一部がエイブラムスのフロントライトで照らされていた。
「……これはすごいな」
暗視装置をオンにして、全貌を確認してみる。
一見船のようだが船ではない。何故なら底面にも艦橋らしきものがるからだ。
上部にはブリッジ、主砲らしきものもあるが、重要なのはそれではない。
この船で特徴的なのは、兵装の殆どが前面部、つまり海の上に浮かぶ船ならば、水の中にあるであろう部分にも武装が搭載してある点だ。
本来船であるなら、先端は細くナイフのようになっていて然るべきだ。
しかし船の先端はナイフどころか四角いハンマーだ。
これの意味するところは、恐らく一つだ。
そう、この船は水の上に浮かぶことを想定していない。
宇宙という大海原を想定した船。つまり……「宇宙戦艦」だ。
「デッカイなぁー……地上にある船?ここは乾ドッグですかね?でも海なんてないのに……」
「あるだろう、一番大きな海が」そういって俺は上を指さす。
「まさか……空を飛ぶんですか?!この船!!」
「マジッスか?!」
(バーガー屋のおっちゃんにはここに残らないって言ったけど無理だわ)
(Cis. 頑張って復旧するとしましょうか。キツネさんたちが居ればなんとか修復は可能でしょうから)
これが建設された当初は、今よりまともな理想を掲げていたのだろうが、いつしか圧政の象徴となっていたブラックハウスは爆破され瓦礫の山となった。
あの様子では世界大統領とやらは跡形もなく吹き飛んだろう。
ブラックハウスの跡地を見る俺に「やあ」と、声をかけるものがあった。
なつかしいな。「エンペラーバーガー」のおっちゃんじゃないか。
「やあ、おかげ様でボロボロだけど、なんとか昔のラメリカにもどりそうだ」
「……それは何よりだ。今度から、変な事を言うやつらがいたら、そいつらにちゃんと、『お前ら変なこと事を言っているぞ』と教えてやるべきだな」
「ああ、ちげぇねぇや」
俺は頭部カメラを軽く振って同意したが、バーガー屋のおっちゃんはまだ何か言いたそうにしている。
「……まだなにか?」
「ポトポトの機人さんは、ここに残らないのかい?」
「……ポトポトで手いっぱいだ。世界中の世直しするつもりは無い。うちで通用することが、ラメリカでも通用するとはとても思えないしな」
「えらい人が皆、あんたみたいだったらねぇ……」
「……それは買いかぶり過ぎだ。大方の事は、勘で適当にやっている。最初から最後まで、当初のプラン通りに進もうとした覚えがないな」
「言い換えりゃ、その場その場でちゃんと判断してるってことだと思うがね」
「……大統領を押し付けられる前に失礼する」
「ああ、ほいじゃあな、ポトポトの機人さん。また会えればいいな」
「……ああ」
俺はバーガー屋のおっちゃんに挨拶すると、ぺちゃんこになったブラックハウスをあとにした。そしてブラックハウス近くに併設されている別館に向かった。
別館は扉がぶっ飛んでいる。建物もそのサイズ感からして、とてもヒトが住むためのものには見えない。
ここは地下格納庫と言った方が適切だ。いや、実際そうなのだろう。
あの大統領専用機、「オレ・フォース・ワン」はここから出撃したようだ。
床の真ん中を真っ直ぐ走るラインのような装飾、何も知らないと飾りにしか見えないが、これは電磁カタパルトだ。すげーもんつくってんね。
(きっと初代大統領が作ったものかな?)
(Cis. 良く残ってましたねこれ)
この地下格納庫は下に向かってスロープが続いている。そっちのほうを覗いていると、奥から何かやって来る……エイブラムスということは、ポルシュ達か。
砲塔を後ろに回して、キューポラからはポルシュ、運転席からはロイが頭を出している。中を先に見てきたのか。
「……二人ともご苦労だった、中の様子はどうだ?」
「機人様、乗っていってください。ここの地下、かなり広いですよ。様子ですが……見るもの全ての意味が解りません」
「ッス!たぶん機人様ならわかると思うッス!」
「……そうか、なら見てみるとするか」
俺はエイブラムスのエンジン上部に乗る。戦車は一度ガクンとつんのめるようなってから、エンジンをうならせて進みはじめた。
「しかしせっかく建造した『エイブラムス』ですが、今回は全く活躍する余地がありませんでしたね」
「……兵器なら使われない方が良い。エイブラムスが作れることをお前たちは示したのだ。それでいいだろう」
「それもそうですね。次は何を作りましょうか……」
「……そうだな、何がいいだろう?」
しばらく進んで最深部までいくと、平坦な床が現れる。
そしてわっと目の前にひろがった地下空間を見た俺は、「意味が解りません」とポルシュが困惑した理由が分かった。
「……なるほどこれは意味が解らん」
そこにあったのは大量に山積みにされた家電やPCなどの電子製品だ。
見覚えのあるテレビなんかに混じって、ロボットも投げやり気味に放置されていた。見たことのないような者から、見たことある物まで。
ファーザーの工場でみた覚えのある、量産型俺までいた。
……なんじゃこりゃ?まるで旧世界の、文明の貯蔵庫だ。
ラメリカはこれをかき集めていたのか?
しかしオーマからも電子製品を集めていた理由が、このゴミ山を作る為だったとは思えん。一体何をしようとしていたんだ?
(あっ、あれ……ファーザーじゃん、何でこんなところに……)
(ラメリカの政府が回収したんですかね?なるほどこれは……もっと奥へ行って見てください、きっとこれらを材料にしたものがあるはずです)
(ああ、わかった)
奥に進んだ俺たちはナビさんの言う通りに存在した「それ」を見つけた。想像すらしてなかった存在が……いや、その一部がエイブラムスのフロントライトで照らされていた。
「……これはすごいな」
暗視装置をオンにして、全貌を確認してみる。
一見船のようだが船ではない。何故なら底面にも艦橋らしきものがるからだ。
上部にはブリッジ、主砲らしきものもあるが、重要なのはそれではない。
この船で特徴的なのは、兵装の殆どが前面部、つまり海の上に浮かぶ船ならば、水の中にあるであろう部分にも武装が搭載してある点だ。
本来船であるなら、先端は細くナイフのようになっていて然るべきだ。
しかし船の先端はナイフどころか四角いハンマーだ。
これの意味するところは、恐らく一つだ。
そう、この船は水の上に浮かぶことを想定していない。
宇宙という大海原を想定した船。つまり……「宇宙戦艦」だ。
「デッカイなぁー……地上にある船?ここは乾ドッグですかね?でも海なんてないのに……」
「あるだろう、一番大きな海が」そういって俺は上を指さす。
「まさか……空を飛ぶんですか?!この船!!」
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