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第一章 目覚め編
第三話 付喪神
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「そろそろ、僕の質問の答えを聞かせもらえないですか?」
子供たちがルナとリーンの二人に連れられて、外へと出かける。ユキはそれを見送って、ふうっと一息つくと、ジェームスおじさんを前にそう切り出した。ジェームスおじさんはわかったよと言ってから、机の上に手を置いた。
「……三十年程昔に、付喪神というものの存在が確認された」
「付喪神って?」
「付喪神は日本が産んだ神様だよ。元々付喪神と呼ばれる存在は、妖怪としてあったが、それと同じ様な存在が現れたのだよ。日本というのは、かつては192カ国ぐらいは国があった。その内の一つの国の日本だ」
「へー……」
「少し詳しく話すと……付喪神はね、そこら中の《物》に宿っていて古く生きたもの、つまり大切に扱われてきたものや長年形を保ち続けたものが付喪神として現実に現れる。それが付喪神だ」
「古く生きたものが付喪神として現れる……」
「そして、その付喪神は神様として、素晴らしい能力を持っていたんだ。その能力で沢山の人を救ったし、守ったんだよ」
ジェームスは少しだけだが、どこか誇らしげにそう話していた。ユキはその本当にあったのか分からない話を真面目に聞いていた。
「だがね、その能力を人間は物理学や自然科学に当てはめることに成功して、オカルトと科学を両立し、エネルギーとして扱いだしたんだ。最初はまだ良かった。科学技術の発展に貢献して、人々の暮らしをより良くしたのだよ。でも、人々は段々、有難味というものを感じなくなってきた。あまつさえ、人間は付喪神を酷使し続け、結果として罰を受けたんだよ」
「罰……」
「……国一つが消えたのだよ。それが付喪神と人間との平等な関係、まぁ付喪神が譲歩した形でそうなって、平和になったんだよ」
「……? それが事件なんですか?」
気になったユキはそう聞いた。それにジェームスおじさんはそれが事件だよと答える。その表情はどこか遠くを見ていた。ジェームスおじさんは話を続ける。
「だけどね、ある人物が大きな大事件、テロと言ってもいい出来事を犯したんだ。そのせいで、付喪神の中でも一番偉い神様が天罰を下したんだ。世界は変わり、荒廃した所もあれば何者も居ないゴーストタウンとなっていた」
目を瞑り、苦々しく話すジェームスおじさん。その姿はまるで、体験してきたかの様な辛い雰囲気を漂わせていた。
その雰囲気を感じ取ることで、ユキはテロの恐ろしさを理解した。それは果たして、どんなものだったのか。
「いいかい? ユキ」
「は、はい」
いきなり話しかけられたので、ユキは吶りつつ返事をした。ジェームスおじさんは真剣な表情でユキの手を握り、目を合わせてこう言った。
「付喪神の現れた《モノ》を、【アイテム化】してはいけないよ?」
「あ、アイテム……化……?」
ユキの表情を見て、その言葉に違和感を覚えるジェームス。その後、しまったといったような表情をジェームスはした。だが、直ぐに咳払いをし、ジェームスおじさんは話を続ける。
「……済まないね。アイテム化と言うのは、元に戻す……つまり、付喪神の居ない状態にするという事だよ。現実世界に、付喪神が厳戒しない状態だ。それは、付喪神の死を意味しているんだ」
「死、ですか……」
「アイテム化は成功率が低くてね、失敗すると恐ろしいことが起きるのだよ。これが、神罰とも言えるものさ。成功すると、付喪神を元に戻す、つまり付喪神が確かに存在しているが、その《モノ》として《物》に封じているという事ができるのだ。まぁ、これは付喪神の許可が無ければただでさえ低い成功率が、更に下るだろうから、無闇にする人はいないだろう。大きな研究機関等では、より効率よくアイテム化出来るように頑張っているようたけどね」
長々と話し続けてしまったねと、ジェームスおじさんが言うと、コーヒーを入れに、ジェームスおじさんはキッチンへと向い、話は終わった。まだ聞きたい事がユキには残っていたが、リーンとルナから離れた子供達がユキと遊びたいと言い出したので、ユキははぁいと返事をしてそちらに向かう事にした。
「ありがとうございました。 では、子ども達の相手をしてきます 」
「すまないね」
コーヒーの入ったマグカップを持ってきたジェームスおじさんは、そう言って申し訳なさそうな顔をする。ユキは大丈夫ですと答えると、和室の方へと向かった。ジェームスおじさんはコーヒーを一口飲む。そして、ちらりと子ども達と遊んでくれているユキを眺めつつ、その後ろにあるテレビのニュースを視聴し始めた。
内容はアイテム化の研究についてのことであった。G8各国共同開発の研究成果がそろそろ出ると流れている。この研究が成功すれば、付喪神の負担を減らし、更に宿っている物質、つまり本体の損傷なども更に軽減されるとのことだった。
だが、ジェームスおじさんは外を見て、こう思う。アイテム化するモノ達は、パートナーの為に自分を殺す。故に、アイテム化を進んで行う付喪神なんて居ないんじゃないのか、と。
「その研究が、悪い方向へと流れなければ……良いのだが……」
子供たちがルナとリーンの二人に連れられて、外へと出かける。ユキはそれを見送って、ふうっと一息つくと、ジェームスおじさんを前にそう切り出した。ジェームスおじさんはわかったよと言ってから、机の上に手を置いた。
「……三十年程昔に、付喪神というものの存在が確認された」
「付喪神って?」
「付喪神は日本が産んだ神様だよ。元々付喪神と呼ばれる存在は、妖怪としてあったが、それと同じ様な存在が現れたのだよ。日本というのは、かつては192カ国ぐらいは国があった。その内の一つの国の日本だ」
「へー……」
「少し詳しく話すと……付喪神はね、そこら中の《物》に宿っていて古く生きたもの、つまり大切に扱われてきたものや長年形を保ち続けたものが付喪神として現実に現れる。それが付喪神だ」
「古く生きたものが付喪神として現れる……」
「そして、その付喪神は神様として、素晴らしい能力を持っていたんだ。その能力で沢山の人を救ったし、守ったんだよ」
ジェームスは少しだけだが、どこか誇らしげにそう話していた。ユキはその本当にあったのか分からない話を真面目に聞いていた。
「だがね、その能力を人間は物理学や自然科学に当てはめることに成功して、オカルトと科学を両立し、エネルギーとして扱いだしたんだ。最初はまだ良かった。科学技術の発展に貢献して、人々の暮らしをより良くしたのだよ。でも、人々は段々、有難味というものを感じなくなってきた。あまつさえ、人間は付喪神を酷使し続け、結果として罰を受けたんだよ」
「罰……」
「……国一つが消えたのだよ。それが付喪神と人間との平等な関係、まぁ付喪神が譲歩した形でそうなって、平和になったんだよ」
「……? それが事件なんですか?」
気になったユキはそう聞いた。それにジェームスおじさんはそれが事件だよと答える。その表情はどこか遠くを見ていた。ジェームスおじさんは話を続ける。
「だけどね、ある人物が大きな大事件、テロと言ってもいい出来事を犯したんだ。そのせいで、付喪神の中でも一番偉い神様が天罰を下したんだ。世界は変わり、荒廃した所もあれば何者も居ないゴーストタウンとなっていた」
目を瞑り、苦々しく話すジェームスおじさん。その姿はまるで、体験してきたかの様な辛い雰囲気を漂わせていた。
その雰囲気を感じ取ることで、ユキはテロの恐ろしさを理解した。それは果たして、どんなものだったのか。
「いいかい? ユキ」
「は、はい」
いきなり話しかけられたので、ユキは吶りつつ返事をした。ジェームスおじさんは真剣な表情でユキの手を握り、目を合わせてこう言った。
「付喪神の現れた《モノ》を、【アイテム化】してはいけないよ?」
「あ、アイテム……化……?」
ユキの表情を見て、その言葉に違和感を覚えるジェームス。その後、しまったといったような表情をジェームスはした。だが、直ぐに咳払いをし、ジェームスおじさんは話を続ける。
「……済まないね。アイテム化と言うのは、元に戻す……つまり、付喪神の居ない状態にするという事だよ。現実世界に、付喪神が厳戒しない状態だ。それは、付喪神の死を意味しているんだ」
「死、ですか……」
「アイテム化は成功率が低くてね、失敗すると恐ろしいことが起きるのだよ。これが、神罰とも言えるものさ。成功すると、付喪神を元に戻す、つまり付喪神が確かに存在しているが、その《モノ》として《物》に封じているという事ができるのだ。まぁ、これは付喪神の許可が無ければただでさえ低い成功率が、更に下るだろうから、無闇にする人はいないだろう。大きな研究機関等では、より効率よくアイテム化出来るように頑張っているようたけどね」
長々と話し続けてしまったねと、ジェームスおじさんが言うと、コーヒーを入れに、ジェームスおじさんはキッチンへと向い、話は終わった。まだ聞きたい事がユキには残っていたが、リーンとルナから離れた子供達がユキと遊びたいと言い出したので、ユキははぁいと返事をしてそちらに向かう事にした。
「ありがとうございました。 では、子ども達の相手をしてきます 」
「すまないね」
コーヒーの入ったマグカップを持ってきたジェームスおじさんは、そう言って申し訳なさそうな顔をする。ユキは大丈夫ですと答えると、和室の方へと向かった。ジェームスおじさんはコーヒーを一口飲む。そして、ちらりと子ども達と遊んでくれているユキを眺めつつ、その後ろにあるテレビのニュースを視聴し始めた。
内容はアイテム化の研究についてのことであった。G8各国共同開発の研究成果がそろそろ出ると流れている。この研究が成功すれば、付喪神の負担を減らし、更に宿っている物質、つまり本体の損傷なども更に軽減されるとのことだった。
だが、ジェームスおじさんは外を見て、こう思う。アイテム化するモノ達は、パートナーの為に自分を殺す。故に、アイテム化を進んで行う付喪神なんて居ないんじゃないのか、と。
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