事務職員として異世界召喚されたけど俺は役に立てそうもありません!

マンゴー山田

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どうしてこうなった

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「痛みは?」
「…ない」

風呂に入れるとうっきうきだった俺のテンションは今、地へと落ちている。
なぜ…どうして…。

なんで俺は今、シモンと風呂に入っているんだ?

意味が分からない。
頭を抱えたくても、抱えられない。悲しい。
ちゃぷん、と揺れるお湯は、本来ならば「魂の洗濯」と呼ばれるほど気持ちがいいはずなのに…。

いや。確かに男ならいいって言ったよ?!
でもなんでシモンと一緒に入ることになってんだ?
確かにここはシモンの私室だけれども! こう…侍従さんとかいないの?!

「右腕の感覚はあるのか?」
「…ある。けど動かせない」
「そうか」

そう言いながらなぜか俺の右手を、これまたなぜか恋人つなぎのように握られている。
理由はなんとなく分かるんだよ。分かるからこそ、文句が言えないんだ。

疑問は尽きないけどな。

ぐいんぐいんと手首を動かされても痛みはない。ただ「動いている」という不思議な感覚。
神経は通ってないのかとも思ったけど、そうでもないらしい。ただ、自分の意志で動かせないのだ。
湯の中に…シモンに握られているから、少しだけ右腕が軽い。それに、なんとなくバランスもとれてるような気がする。

うん。なんせシモンの膝の上に乗ってるからな。

なんでこうなったのかというと、至極簡単。
身体を洗われてるときに、風呂の椅子からバランスを崩して落ちたからだ。
髪はありがたくシモンに洗ってもらって、身体を洗おうと左手で洗ってたんだけどな…。

右側はなんとかなったんだ。右側は。

問題は左側。
右手が使えないのだ。当然左腕は洗えないわけで。
しかも身体を洗うところを他人様に見守られなければならないんだよ。
そんな恥ずかしさもあって、適当に右側を洗うはめに。

「どうした?」
「い、いや…? 何でもない」

どうしようかと迷っていたら、シモンにそう尋ねられた。
分かっていての質問。

腹立つ。

答えは一つしかないよな?という顔が非常に腹立つ。
だから。

「左側はいいや」
「あれだけ埃っぽいだの、汗かいただの言っていたお前が?」
「…………」

くそぅ。
テンション爆あがりしていた俺のバカ。

にやにやしながらすでに泡モコのタオル持ってんじゃねぇよ。
それにダンジョン潜った後だし、そりゃ全身綺麗にしたいよ!

羞恥を取って綺麗にしないまま過ごすか、羞恥を我慢して綺麗にするか。

究極ともいえる二択を天秤にかけた結果。

「…オネガイシマス」
「ああ。任された」

羞恥を我慢して綺麗にする方を取った。

「右腕を洗うぞ。綺麗に洗えてないだろう」
「へ?」

予想外の言葉をすると、右腕を持ち上げられ脇にタオルが当てられたことに驚いてバランスを崩した。

「わっ?!」
「おい!」

そして響く、椅子が倒れた音。
俺は後ろからシモンに抱かれるように支えられたけど、椅子から落ちるということにどくどくと心臓が脈打つ。
落ちる、ということに少しの恐怖心が残っている俺は、それだけで目の前が大きく揺らいだ。

「ハルト! おい! ハルト!」
「…あ」

がくがくと左肩を揺さぶられて、はっとすれば眉を寄せたシモンの顔。

「悪い。大丈夫か?」
「あ、うん…。平気」

つい癖で立ち上がろうとした俺を、シモンの腕がそれを止めた。

「泡で滑りやすい」
「あ」

そこで身体を洗われようとしていたことを思い出した。
そうだった。けど自力で立ち上がるのは無理そうだし、シモンに丸投げでいいか、と身体から力を抜けば両脇に手を入れられて持ち上げられた。

背負われてるときもそうだったけど、こうもやすやすと持ち上げられるとは…。
男としては羨ましい。俺みたいなひょろガリとは違う腹筋や腕に肩を落としていたけど、ごつごつとしたそれを背中で感じ、尻にも椅子とは違う物に首を捻る。

「椅子も危ないからな」
「うん。だからってこれはちょっと…」

そう。胡坐をかいたシモンの上に乗せられていると気付いた。
くぅ…! 割れた腹筋が背中に当たる…!

うらやましい…!

筋トレとかしても筋肉が全くつかない俺の身体。そういう体質なんだと諦めたけど、やっぱり引き締まった身体は羨ましい。
ぐぬぬと羨ましさ全開にしていると、腕が離れていく。

腕にも筋肉付いてるなー。いいなー。

離れていく腕を羨望の視線で追いかければ、ばちっと視線が合った。
先に視線を逸らすのもなんだかな、と思いながらへらっと笑ってから、自然に視線を逸らす。

大丈夫だよな? 機嫌とか悪くしてないよな?

ドキドキとする胸を悟られないように、もじ、と居心地悪く尻を動かせば「悪い」と言葉が降ってきた。

「驚かせた」
「ううん。先に言ってくれたのに、俺が驚いただけ」
「…悪い」
「いいってば」

善意だってことは分かってるんだからさ。さすがに嫌がらせでそうしたのなら、ぶん殴ってるけどな。
けどシモンはそういう人間じゃないことは丸1日一緒にいたから分かるんだ。いや。表面だけで、中身は分からないけどな。
でも腐っても第一騎士団団長。
そんなことはしない、と確信している。

「右腕を持ち上げるぞ」
「はい、どーぞ」

ほら。
確認してくれる。

右腕を持ち上げられ、優しく…それこそ宝石を扱うように泡を乗せられ、洗われていく。
初めはくすぐったさもあったけど、左半分を洗われていくうちにだんだんと気持ちよくなってきて。
上半身を泡まみれにして、下半身へと手が伸びた。

恥ずかしいけど仕方ない。

腿、脹脛、足の甲。丁寧に洗われてからシャワーで泡を洗い流す。
するとさっぱりした感覚に息を吐く。

これぞ魂の洗濯…!

浴槽に入りたいけど、さすがに無理だろうな。
たっぷりのお湯に身体を浸せば、疲れも取れそうなんだけどバランスが取れない状態で、浴槽内で足を滑らせればどうなるか。

骨折で済めば万々歳。
最悪、そのまま溺れ死ぬ。

それだけは絶対に避けたい。
するとなぜか再び脇の下に手を入れられ、持ち上げられた。

「うん?」
「俺も身体を洗う」
「うん」
「その間、ここで待てるか?」
「大丈夫」

そう言って尻に泡を付けたまま、浴槽をまたがされ中へと入る。
途端に、ざば、とお湯があふれ出し泡を流していく。なんか勿体ねぇな。
わし、と最後に頭を撫でられてから、左手で浴槽の縁を掴んでバランスをとる。水の中だから、幾分かはバランスがとりやすい。
ちら、と横目でシモンを見れば、適当に髪を洗い身体を洗っている。

俺のことなんか気にせずに、綺麗に洗えばいいのに。

そんなことを思いながら、ふんふんと鼻歌を歌いながら湯に身体を預ける。
ああー…。気持ちいいー。
全身の力を抜いて湯に身をゆだねれば、ゆらゆらと揺られて眠気を誘う。

だんだんと瞼が重くなり、このまま寝ようかななんて思っていたら、ざぶんと大きく湯が揺れた。

「なんだ?!」
「風呂で寝るな」

後ろから聞こえた声に振り向けば、シモンが浴槽に入ってきていて。
ええー? 狭くない?

「もう少し前に行けるか?」
「シモンが入るなら、俺、出ようか?」
「そのままでいい」

なんで?
言いながら前に移動してシモンが入るスペースを作ると、ざばりと俺の比にはならないくらいの湯があふれ出ていく。
これ絶対、湯が少なくなってるな。
なーんて思ってたら、背中に温かなものが触れた。
それに「うん?」と思いながら首を捻れば、腹に羨ましい腕が絡んだ。

「うわ!」
「これならいいだろう」
「あー…」

再びシモンの膝の上。
そして、冒頭へ戻る。
1人の時は気持ちよかったんだけど、こう…がっちりと腹に腕が回って密着すると落ち着かないというか、なんというか。
基本、友達とかと風呂に行っても密着することなんかないだろ? だからなんか変な感じ。

「マッサージをしたら少しは戻るかもな」
「んふふ。くすぐってぇよ」

恋人繋ぎでもにもにと右手を揉まれれば、くすぐったさで「ふへへ」と変な声が出た。
でも動かなかくなった時は、無理やりでも動かなさないと筋力が落ちるんだっけ。

「くすぐったい、か?」
「んはははは! やめ!くすぐった…!」

まるでくすぐるように手を揉まれ、その度に尻を動かしたのがまずかった。
ええ。それはもう。

「あ」

そして気付いてしまった。
尻にあたるそれを。

「…気にするな」
「いや。気にするなって言われましても…」

気になるよ!

てかでかいな?!
比較対象が友人たちとしかないけど、でかい。
なんか気まずくて、どうしようかと視線を彷徨わせていると、するりと絡んでいた手が離れていった。

「あ…」
「気になるなら先に出ろ」

俺の零れたつぶやき見たいな言葉を「気持ちが悪い」と取ったのか、冷たく言い放つシモンにしばし考える。
そしてはじき出したのは、俺にとっては避けるべきことだった。

「いや…出てもいいけどタオルで身体拭けないんだけどさ…」
「ああ…」

そうだった、と天を仰ぐシモンに俺はこくりと唾を飲む。
そう。これは生き残るため。
そう思えば、これからすることも嫌だとか言ってられない。

「あー…のさ」
「…………」

聞こえてるんだろうけど返事がないのは、どうするべきか考えを巡らせているんだろう。
でも、出てくる答えは一つしかないと思うんだよね。

「よかったら、手伝おうか?」
「は?」

おお!
完全に素の「は?」が聞こえたぞ!

「いや。そのままだと辛いだろ?」
「いや、は?」

混乱してる、混乱してる。
何ってんだ? こいつ?みたいな顔されても困る…いや、実際困ってるんだろうけど。

「だから、それ、手伝うよ」

左手でエアなそれを上下に動かせば、ぽかんとした後「なっ?!」とすぐに戻ってきた。
さすが騎士。

「で? どうする?」
「……………」

じっとシモンを見つめて追い詰めれば「はぁ…」と大きなため息を吐いた後、俺を腕一本で持ち上げ座らせ直す。
お? これは?

「無理はしなくていい」
「はいよー。そんじゃそのまま立ってもらっていい?」
「うん?」

どうやら覚悟を決めたらしいシモンに俺がそう言えば、首を傾げている。あ、そっか。
言葉にしなきゃ分かんないか。

「えーっと…。俺の股の間にそれを突っ込めば早いかなー、と思いまして」
「……………」

てへ、とできるだけ明るくそう言えば固まってしまった。おいおい。

「ほら! さっさとやんないと、俺がのぼせる!」
「あ、ああ?」

混乱しているシモンの腕をばしばしと叩いてやる気を起こさせれば、腹に腕が絡まる。
そして。

「おわ」
「すまない」

ざばりと浴槽から立ち上がると、そのままのしかかってきた。けれど俺にはその重さは感じられない。
すげー。
ぽたぽたと水滴を滴らせながら、性急に「ぬぐ」と熱くて硬いものが太ももの間に割り込んできた。
瞬間、ぞわりと嫌悪感が襲うが我慢、我慢と言い聞かせる。
自分から提案した手前「やっぱやーめた」は不誠実というものだ。
少し太ももに力を入れてそれを締め付ければ、ずにゅんとそれが前に現れる。ぬめりが少ないからかあんまり気持ちよくない感覚を味わう。
顔が見えないから眉を思いっきり寄せてしばらく抽挿をしていると、シモンから出た体液が滑りを潤滑にしていく。

「んっ」
「ハルト…ッ」

尻に下生えが触れるたびに、ぞわぞわと背中を何かが駆け抜けていくけれど、シモンの熱い吐息が耳にかかると嫌悪とは違うものも背中を走っていく。

「っふ。ハルトも勃ってるな」
「ふえ?」

熱っぽい声で囁くように耳元で告げるシモンに、俺は慌ててそこを見る。

「え? なんで?」

するとそこにはシモンのものと比べると悲しい俺の息子が元気よく勃っているではないか!
しかも、だらだらと液を垂れ流していてそれを見た瞬間、ぶわっと顔に熱が集まった。

「は? え?」
「恥ずかしがることではないだろう。4日ほど抜いてないんだ。そうなるさ」

今度は俺が混乱する羽目になって、左手で腕を掴めば身体を引き寄せられた。

「あえ?!」
「ついでだ。お前のも一緒に」

一緒って?と脳が言葉を理解するよりも先に、大きな手が俺のものを包んだ。
他人に急所を握られることの恐怖と、与えられる快感。それらがせめぎ合ったのは刹那。

「や、め…ッ!」
「吐き出すための行為だと思えばいい」
「ひぃ、んぅ…ッ!」

にちにちとそれを扱かれると、恐怖よりも快感が頭を支配する。
シモンが胡桃をそれで突き上げ、手で圧迫されながら扱かれれば数日吐き出せなかったそれを吐き出したくてたまらない。

「出る…っ! 出るから…ぁ!」
「ああ。俺も、出そうだ」
「ひ…ッ!」

耳を食まれ、びくりと膝が跳ねる。
ぱしゃん、と湯が揺れた音がしたが、それはすでに聞こえない。

「んーッ!」
「――――ッ、く!」

にちゅっと強く扱かれ、勢いよく白濁を吐き出すと同時にシモンの物からも白濁が吐き出される。
はぁはぁと二人で息を整えるけれど、やはりというかなんというか。

「ハルト。悪い」
「へ?」

呼吸を整えたシモンが、ずるりと腰を引いたと思ったら、勢いよく打ち付けてきた。
それに身体が前に倒れそうになるけれど、腹に回されている腕がそれを阻止する。

「しばらく手伝ってもらうぞ」
「え?」

シモンのその言葉に口元を引きつらせたけれど、それを許さないとばかりに腰を何度も打ち付けられながら俺の物を扱かれる。
そうすれば、賢者タイムなどすっ飛ばし再び快楽が頭を支配する。

何度も吐き出し、吐き出され。
回数など数えられなくなった頭はただ「気持ちがいい」という言葉しかなくて。
シモンの腕に必死にしがみついて、ただただ揺さぶられる。

そして頭がくらくらとして「もう…むり…」と口走ったのを最後に、俺の意識はすとん、と落ちた。


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