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ヴィリ、再び
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「婚約…解消…」
「そうだ。俺の計画がうまくいけば…。いや。婚約解消は既に決定しているか」
「どういう…」
理由が分からない、と告げるヴェルディアナに一度瞳を閉じる。
「この国の成り立ちは知っているだろう?」
「もちろんですわ。一番初めに習いますもの」
バカにしてますか?というヴェルディアナの視線に苦笑いをすると「それが大前提だ」と告げる。
「スヴェン様はそのことも知らないからな」
「え…?」
本当に?という言葉はしないが、瞳がそれを告げている。
まぁ当然と言えば当然か。この国の成り立ちは3歳の子供ですら知っていることをスヴェン様は知らないのだから。
「スヴェン様は特別だからな」
「そう、ですわね」
赤子の頃からの自殺チャレンジ。その間に何かを学ばせる、などいうことは出来なかったようだし。
「そんなわけでスヴェン様は何も知らない」
「…左目に何か秘密が?」
流石ヴェルディアナ嬢。今の会話で何かに気付いたようだ。
すやすやと眠るスヴェン様の頬を撫でると、眼帯をずらす。
「よろしいのですか?」
「問題ない。ごくごく普通の眼帯だからな」
そう。あの時、封の魔法が掛かっているから外さないように、とは言ったがそんなことはない。
影から与えられたものだからな。貰ってすぐに魔法をかけることはほぼ不可能だ。
それでもご令嬢たちと影にも見せたくはなかったからああ言うしかなかったのだ。
するりと眼帯を外し、瞼を撫でる。
「ヴェルディアナ嬢は、ヴィリ様の刻印をおとぎ話だと思うか?」
「ヴィリ様の刻印…。初代国王が与えられたものですわよね? それからは誰も持ち合わせて…」
そこまで言って、ハッとした表情で俺を見る。
「ああ。スヴェン様の左目にはヴィリ様の刻印が刻まれている」
「な…ッ?!」
ヴェルディアナの声と影たちが息を飲む音が部屋に響く。
シン、とした沈黙が訪れたが「―――ッ!」という息を飲む音が聞こえ、視線を向ければ給仕が足を押さえている。
影である給仕が、今の話を父に報告をしに行くのは当たり前だ。だが、その影の足を負傷させることなど俺もヴェルディアナも無理だ。
「誰が…?!」
影に怪我を負わせることなどよほどの者でないと不可能だ。なんせ気配を消すことを得意としてるのだ。その気配を追えるのは同じ影くらいだろう。
そんな影がきょろきょろと視線を彷徨わせているが、全員の視線がバラバラだ。
と、いうことは。
「影でさえ気配を追えていない?」
そんな者が学園内に入り込んでいる。それだけで由々しき事態だ。
全員が警戒態勢に入ると「ふふふっ」と笑う声が俺の下から聞こえた。
そう、下から。
「え?」
「ごめんねー。ちょーっと動けなくさせてもらったよー?」
「ス…ヴェン様?」
にまにまと笑いながら人差し指をくるくると回しているスヴェン様に瞳を丸くする。
しかしその言い方とその笑みに見覚えのある俺は、肩を竦めた。
「…ヴィリ様」
「え?」
「やーやー。ちょっとやばめな感じがしたから出てきてみたよー」
やはーと手を振るスヴェン様の違和感が限界突破するけれど、中身はヴィリ様なので怒るに怒れない。
「よっと」
腹筋を使って起き上がるスヴェン様…ああもう! 面倒だな。ヴィリ様が「逃がさないよー」と言いながら手の平を向ければ、もう一人の影も足を押さえている。
「ダメだよー? まだ報告しちゃ」
にままーと笑いながら影にそう告げるヴィリ様は少し冷たい。
…怒っていらっしゃる?
「その怪我、私が治療しないとそのまま治らないからねー」
「何気にえぐい…」
「こうでもしないとまた動くでしょ?」
「まぁ…そうですが…」
「あー。あとね、クリストフェル君」
「何でしょう?」
「今までスヴェン君を守ってくれてありがとうね」
そう言ってスヴェン様の姿で頭を撫でられる。
ちょっとそれはずるいのでは…?
「スススススヴェン様?!」
「姿はスヴェン君だけどねー。中身、私よ?」
「分かってます! 分かっていますが…!」
「複雑ぅ!」
にゃははと笑うヴィリ様と俺の会話をぽかんと見つめるヴェルディアナと影たち。
足を押さえた影たちは、ヴィリ様が言った通りなのか治癒魔法をかけても血が止まらないらしい。
「あ…あの…?」
混乱しているヴェリディアナの声にヴィリ様の顔がぱっと明るくなる。
ううう…。スヴェン様の屈託のない笑顔…! 眩しい…!
「君がもう一人の公爵家の人間だね?!」
「は…はい?」
ソファからそそーっと移動し、ヴェルディアナへと近づくとその両手を握って、ぶんぶんと上下に振っているヴィリ様。
くぅ…!羨ましい…! 中身はヴィリ様だけど!
「やーやー!初めまして! 私、君たちが信仰してるヴィリだよ! 今はスヴェン君の身体を借りてるんだけどね!」
「はえ? は? はい?」
ヴィリ様にあっけに取られているヴェルディアナ。それはそうだろう。俺も初めて会った時はそうだったしな。
「と、まぁふざけるのはここまでにして」
「…ふざけてはいたんですね」
「だぁってー。そこの人たちが嫌なことするんだもん」
「もんって…」
「そうそう、それでね」
「…この状態で話を進めるんですか」
「スヴェン君と同じ反応だねー」
そういえば、大司教様が話を進めた時もスヴェン様がこう言ってたな。
「ヴェルディアナ、だっけ?」
「は、はい!」
「あ、口調はどうでもいいからね。気にしにないから」
「え…えと?」
にこにこと天使のような笑を浮かべるスヴェン様に、ヴェルディアナが助けを求めるように俺を見る。
「ああ、本当に気にしなくても問題ない」
「は、はぁ…」
「本当、本当。きちんと盟約を守ってくれてる君たちを滅することなんかしないから」
にこりと子供のように笑うスヴェン様に、胸がきゅんきゅんする。あー…可愛い…。
「…もしかしてクリストフェル殿下が、ヴィリ様の刻印の話をしたのは?」
「まさかヴィリ様が出てくるとは思っていなかったが…」
「だって、まだ話し合いの途中よ? それなのに報告って先走り過ぎじゃない?」
ねー?と可愛らしく首を傾げて笑うスヴェン様に、影たちがたじろぐ。
「そうだ。ヴィリ様、影たちの怪我を治してはいただけませんか?」
「ん? なんで?」
「影たちはこの国を守る存在です。一人でも欠ければ育成するのに時間がかかります」
「そっかそっか。じゃ、治すけど、そこから動かないこと。報告は後からでもできるからね」
ふふっと笑ってから「そいや」との掛け声とともに、負傷した影の怪我が治っていく。
…やはりそうか。
「失った分の血も、そのまま入れておいたからね」
「あ、ありがとうございます?」
影のお礼に「気にしなくていいよー」と笑うと「それで」と俺たちに向き直る。
ですがヴィリ様。
「ヴィリ様。スヴェン様のお姿なので、座っていただきたいのですが…」
「うん? 君がそう言うのなら座ろうかな?」
「是非に」
ヴェルディアナから手を離し、そそーっと私の隣に座るヴィリ様。
「そいで、君の話しの続きを聞こうじゃないか」
「…ヴェルディアナ、大丈夫か?」
「驚きましたけれど…ええ、平気ですわ。スヴェン様の漂う色気よりもダメージは少ないかと…」
『もえ』パワーはヴィリ様をも上回るのか…。『もえ』パワー…恐るべし。
「それで…ヴィリ様の刻印がスヴェン様にある、と言ったな?」
「はい」
「ではヴィリ様の刻印がある者が王家に嫁ぐことも知っているな」
「もちろんですわ」
「ふむ。盟約の話しだね」
そう告げるヴィリ様は少し懐かしそうに瞳を細める。
「ところで…クリストフェル殿下は、いつスヴェン様にヴィリ様の刻印が左目にあるとお気づきになられたのですか?」
「スヴェン様と初めて会った時…焼身自殺をされた時だな」
「…12年前から?」
「ああ。初めに違和感に気付いたのは、俺と司祭で治癒魔法をかけていた時だ」
スヴェン様と初めて会った時、その身体は炎に包まれ、一部炭化していた。水魔法を使って火を消し止めた後、いくら高度な治癒師でも炭化した身体の一部は戻らないと奥歯を噛み締めたが、俺の予想に反して炭化した部分も元に戻った事だった。
「身体の隅々を調べていた時に、左目にヴィリ様の刻印があったことに気付いた」
「メルネス家にお伝えは?」
「していない。幸い…というかスヴェン様は魔法を封じられていたから、メルネス夫妻は気付いていない」
「…王家にも報告をされていないのはなぜですの?」
「スヴェン様は男だ。アレが大人しく男と結婚すると思うか?」
「…無理、ですわね。現にわたくしとの結婚もしたくないようですし」
「クリストフェル君が結婚すれば問題は殆どないんだけどねー」
もしゃもしゃとクッキーを食べているヴィル様。…頬にかすが付いてますよ。
「そう簡単に言わないでください。男同士の結婚などありえませんから」
「今までは、でしょ? なら前例を作ってしまえばいいじゃない」
「そう言われましても…男同士では子も作れませんし」
「問題ない、問題ない」
「は?」
くぴーと紅茶を飲んで、ソーサーにカップを置くとにんまりと笑った。
「王族の心配なら問題ないよ。王族の子をなすのはスヴェン君の妹に頼めばいいんだから」
「妹?」
「メルネス夫人が妊娠をされましたの?」
「いや。アルガーノンはスヴェン様が20歳になるまでは、次の子をなさないと宣言している」
「なぜ20歳?」
「あー、それね。私が言っておいたんだよ」
「なぜですか?」
「ん? だってスヴェン君放っておいたら、赤子のうちに死んでたし。だから保険をかけておいたんだよ」
「保険…」
にこにこと微笑みながら話しているけれど、言っていることはとんでもないことだ。
そういえばスヴェン様は、スヴェン様になる前の記憶をお持ちのような言動をするな。
「まぁ、アルガーノンには『20歳までにスヴェン君には自殺癖を止められる人と出会うから、それまで頑張って守ってあげてね。20歳までにスヴェン君が死んだらメルネス家と、ローザ家、王家も滅ぶから』って伝えておいたんだ」
「やりすぎでは?!」
にゃははと笑うヴィリ様に思わず突っ込めば「そう?」と首を傾げる。可愛い…!
「だって私の刻印が付いてる子を死なせるかもしれないんだよ? それ相応じゃない?」
「それはまぁ…そうですけど…」
「ローザ家とメルネス家が王家に嫁ぎ、子をなし歴史を紡ぐ代わりに私が守ってあげてるんだもん。三家がなくなったら国すらなくなるのよ? そりゃ必死にスヴェン君を守るでしょ」
にゃはらにゃはらと笑うヴィリ様だけれど、結構重要なことをさらっとおっしゃってますよ。まぁ、ここにはその秘密を知るものしかいないけれども。
「だから、クリストフェル君とスヴェン君が結婚しても問題ない。寧ろしないと怒っちゃうぞ☆」
「それは普通に困りますね」
「でしょ? だからヴェルディアナとアレ…えーっと誰だっけ?」
「アルトゥルですね」
「そうそう。アルトゥルとの結婚はなくても、ぜーんせん問題ないんだ」
「もしかして…」
ヴィリ様の言葉でそれに気付いたヴェルディアナに、俺はこくりと頷く。
「そういうことだ。スヴェン様にヴィリ様の刻印があるから、君とアルトゥルの婚約解消は決定事項だ」
「では…」
「そうだね。アレは一貴族となってもらった方がこっちとしても都合はいいからさ」
「…アルトゥル様は王族ではなくなる、と」
「その方向で動いている」
「クリストフェル殿下の計画とは…スヴェン様とのご結婚のことですか?」
「ああ。父も意外と乗り気でね。ルイスを王にするおつもりだ」
「クリストフェル君は王にはならないの?」
ヴィリ様の言葉にこくりと頷くと「はへー」と間の抜けた声があがった。
「俺は既に王位継承権を放棄してる」
「それにスヴェン様がいなくなってしまうとメルネス家は…」
「そこが問題でなかなか、な」
ローザ家もヴェルディアナの件で少し面倒にはなるが、そこはこちらが新たな婚約者を探せばいい。
ヴィリ様の言葉では王家も問題ない。問題なのはメルネス家。
メルネス夫人がもう一人頑張ってくれればいいが、年齢的にそれは無理だろう。産めてもせいぜい妹が最後。
そうなれば、メルネス家は本家ではなく分家に任せるしかない。
「メルネス家の血を残すには、スヴェン様が子をなせれば…」
「それなんだけどさー」
俺の呟きに、ヴィリ様がにんまーと笑う。
…なんだか嫌な予感が。
「スヴェン君に性転換してもらって、子をなしてもらうってのは?」
「はい?」
「クリストフェル君は、スヴェン君の身体の変化は知ってるよね?」
「まぁ…はい」
身体の変化、というのはお尻の穴云々のことだろう。そのお陰で腹上死チャレンジがスムーズに進んでいるが。
「スヴェン君が了承すれば、そうしようか」
「って、待ってください!」
「何ー?」
「身体を作りかえるのは一度だけだと…!」
スヴェン様が元に戻せ、と噛みついた時にヴィリ様はそう言って気がするが。
「あー、あれね。身体の構造を変えるなんて簡単だよ?」
「うん?」
「それに私にできないことなんてないし」
「それって…」
「うん。だからスヴェン君には内緒ね。大司教の奇跡とでも言っておいてよ」
にぱと笑うヴィリ様の言葉に、俺もヴェルディアナもぽかんとしてしまう。
それはそうだろう。
ヴェルディアナは決められた道が閉ざされ、さらにメルネス家の先を話しているのだから。
「それと、ヴェルディアナ君」
「あ、はい!」
「君、二つ隣の国に興味はない?」
「え?」
にまーと笑うヴィリ様の言葉にきょとんとするヴェルディアナだが「タフィ王国ですか…」と呟く。
「タフィに何かあるのですか?」
「まぁこれはクリストフェル君たちが頑張らなきゃいけないけど、君たちにとっても損になる話じゃない」
「タフィは森林…山に囲まれた小国ですよね?」
「そうだ。今のところはうまみが全くないと同盟を結ぶ国もほとんどなく、貧困に苦しんでいると聞く」
「じゃあ最大のヒントを上げよう。ヴェルディアナは山とか好き?」
「好き…かどうかは分かりませんが地質は結構…」
そこで俺とヴェルディアナがはっとする。
「なるほど。そう言うことでしたか」
「あそこの第一王子、めちゃくちゃいい人だよー? それにまだ手付かずのあれこれがざっくざく。それと国王と妃、子供たちもローザ家とよく似てる」
そこまで告げるということは、そこに行くのは確定しているようなものだ。
今まで決められていた運命から抜けたと思われたヴェルディアナだが、またしても決められてしまっている。
「どう?」
「わたくしは…」
「今すぐに返事をしなくてもいい」
「いえ。わたくしタフィに行ってみたいです」
「と、なるとカラムには今から動いてもらわないと困るね」
「そうですね…ってもしかして影を足止めした理由はこれですか?」
「さぁねー?」
ぴゅいーと口笛を吹くヴィリ様だけれど、そうだということはばればれだ。
「まぁそういう訳だから、さ。それと今日の夜、カラムの夢にお邪魔するって伝えといてー」
「そんなに簡単に神託を授けてもいいんですか?」
「問題ないよ? あ、そうだ。一応クロツに連絡しとこうかなー? …あ、もしもしー?」
「って早ッ!」
マイペースなヴィリ様につい突っ込んでしまう。
「やほー。今ねースヴェン君の身体借りてるんだけどー」
『ちょっと師匠、そんなに簡単に身体を借りないでくださいよー』
ん? 師匠?
今、ヴィリ様を師匠と呼んだ?
「いいじゃん。スヴェン君には私の刻印付いてるしさ。君も修行しなよ。便利だよー?」
『無茶言わないでくださいよー。今でさえ大司教レベルでいっぱいいっぱいなのにー』
「まぁまぁ。それでさー。今日の夜、王様の夢にお邪魔するよーって伝えておいてー」
『夢にですか? それは構いませんが…』
「じゃ、お願いねー」
『あ、そうだ師匠。あっちの神様からワガシとあと…なんかおいしそうなケーキをいただきました』
「わっ!マジ?! じゃあ急いで戻るね!」
『分かりました。お待ちしてます』
「はーい!」
…今の声は大司教様だよな?
滅茶苦茶フランクに話していたけど…。それより師匠、とは?
「今の大司教は神様見習いだからね」
「はい?」
んふーと笑うヴィリ様のこれまた爆弾発言につい間の抜けた声を出してしまったが仕方ない。
またもやとんでもない言葉を聞いたような気が…。
「お? そろそろスヴェン君が起きそうだから私は戻るね!」
「は、はぁ…」
「クリストフェル君」
「はい」
「私の刻印の話し、スヴェン君に伝えておいてね」
「いいのか?」
「私から話すよりクリストフェル君から話してもらった方が、怒らないと思うし」
「はぁ」
「じゃあ、お願いね!」と手を振ると、スヴェン様の身体から力が抜けた。その身体を抱き留め、頭を腿の上に乗せる。
「…嵐のような方でしたわ」
「本当に…」
ヴィリ様が去った後は、静かで困惑する。
影たちもぽかんとしたまま動かないし、俺もヴェルディアナも今一理解しきれていない。
しばらく全員でぽかんとしていると「ん…ぅ?」という声が聞こえ、ハッとする。
「くると?」
こしこしと目をこすりながら俺の名前を呼ぶスヴェン様に、ようやく影たちも動き出す。
そして。
「おはようございます。スヴェン様」
クルトとしてスヴェン様に接すれば、ふにゃりと笑った。
「おはよ」
その笑顔にヴェルディアナと俺は心臓を撃ち抜かれ、しばらく悶えたのは秘密だ。
「そうだ。俺の計画がうまくいけば…。いや。婚約解消は既に決定しているか」
「どういう…」
理由が分からない、と告げるヴェルディアナに一度瞳を閉じる。
「この国の成り立ちは知っているだろう?」
「もちろんですわ。一番初めに習いますもの」
バカにしてますか?というヴェルディアナの視線に苦笑いをすると「それが大前提だ」と告げる。
「スヴェン様はそのことも知らないからな」
「え…?」
本当に?という言葉はしないが、瞳がそれを告げている。
まぁ当然と言えば当然か。この国の成り立ちは3歳の子供ですら知っていることをスヴェン様は知らないのだから。
「スヴェン様は特別だからな」
「そう、ですわね」
赤子の頃からの自殺チャレンジ。その間に何かを学ばせる、などいうことは出来なかったようだし。
「そんなわけでスヴェン様は何も知らない」
「…左目に何か秘密が?」
流石ヴェルディアナ嬢。今の会話で何かに気付いたようだ。
すやすやと眠るスヴェン様の頬を撫でると、眼帯をずらす。
「よろしいのですか?」
「問題ない。ごくごく普通の眼帯だからな」
そう。あの時、封の魔法が掛かっているから外さないように、とは言ったがそんなことはない。
影から与えられたものだからな。貰ってすぐに魔法をかけることはほぼ不可能だ。
それでもご令嬢たちと影にも見せたくはなかったからああ言うしかなかったのだ。
するりと眼帯を外し、瞼を撫でる。
「ヴェルディアナ嬢は、ヴィリ様の刻印をおとぎ話だと思うか?」
「ヴィリ様の刻印…。初代国王が与えられたものですわよね? それからは誰も持ち合わせて…」
そこまで言って、ハッとした表情で俺を見る。
「ああ。スヴェン様の左目にはヴィリ様の刻印が刻まれている」
「な…ッ?!」
ヴェルディアナの声と影たちが息を飲む音が部屋に響く。
シン、とした沈黙が訪れたが「―――ッ!」という息を飲む音が聞こえ、視線を向ければ給仕が足を押さえている。
影である給仕が、今の話を父に報告をしに行くのは当たり前だ。だが、その影の足を負傷させることなど俺もヴェルディアナも無理だ。
「誰が…?!」
影に怪我を負わせることなどよほどの者でないと不可能だ。なんせ気配を消すことを得意としてるのだ。その気配を追えるのは同じ影くらいだろう。
そんな影がきょろきょろと視線を彷徨わせているが、全員の視線がバラバラだ。
と、いうことは。
「影でさえ気配を追えていない?」
そんな者が学園内に入り込んでいる。それだけで由々しき事態だ。
全員が警戒態勢に入ると「ふふふっ」と笑う声が俺の下から聞こえた。
そう、下から。
「え?」
「ごめんねー。ちょーっと動けなくさせてもらったよー?」
「ス…ヴェン様?」
にまにまと笑いながら人差し指をくるくると回しているスヴェン様に瞳を丸くする。
しかしその言い方とその笑みに見覚えのある俺は、肩を竦めた。
「…ヴィリ様」
「え?」
「やーやー。ちょっとやばめな感じがしたから出てきてみたよー」
やはーと手を振るスヴェン様の違和感が限界突破するけれど、中身はヴィリ様なので怒るに怒れない。
「よっと」
腹筋を使って起き上がるスヴェン様…ああもう! 面倒だな。ヴィリ様が「逃がさないよー」と言いながら手の平を向ければ、もう一人の影も足を押さえている。
「ダメだよー? まだ報告しちゃ」
にままーと笑いながら影にそう告げるヴィリ様は少し冷たい。
…怒っていらっしゃる?
「その怪我、私が治療しないとそのまま治らないからねー」
「何気にえぐい…」
「こうでもしないとまた動くでしょ?」
「まぁ…そうですが…」
「あー。あとね、クリストフェル君」
「何でしょう?」
「今までスヴェン君を守ってくれてありがとうね」
そう言ってスヴェン様の姿で頭を撫でられる。
ちょっとそれはずるいのでは…?
「スススススヴェン様?!」
「姿はスヴェン君だけどねー。中身、私よ?」
「分かってます! 分かっていますが…!」
「複雑ぅ!」
にゃははと笑うヴィリ様と俺の会話をぽかんと見つめるヴェルディアナと影たち。
足を押さえた影たちは、ヴィリ様が言った通りなのか治癒魔法をかけても血が止まらないらしい。
「あ…あの…?」
混乱しているヴェリディアナの声にヴィリ様の顔がぱっと明るくなる。
ううう…。スヴェン様の屈託のない笑顔…! 眩しい…!
「君がもう一人の公爵家の人間だね?!」
「は…はい?」
ソファからそそーっと移動し、ヴェルディアナへと近づくとその両手を握って、ぶんぶんと上下に振っているヴィリ様。
くぅ…!羨ましい…! 中身はヴィリ様だけど!
「やーやー!初めまして! 私、君たちが信仰してるヴィリだよ! 今はスヴェン君の身体を借りてるんだけどね!」
「はえ? は? はい?」
ヴィリ様にあっけに取られているヴェルディアナ。それはそうだろう。俺も初めて会った時はそうだったしな。
「と、まぁふざけるのはここまでにして」
「…ふざけてはいたんですね」
「だぁってー。そこの人たちが嫌なことするんだもん」
「もんって…」
「そうそう、それでね」
「…この状態で話を進めるんですか」
「スヴェン君と同じ反応だねー」
そういえば、大司教様が話を進めた時もスヴェン様がこう言ってたな。
「ヴェルディアナ、だっけ?」
「は、はい!」
「あ、口調はどうでもいいからね。気にしにないから」
「え…えと?」
にこにこと天使のような笑を浮かべるスヴェン様に、ヴェルディアナが助けを求めるように俺を見る。
「ああ、本当に気にしなくても問題ない」
「は、はぁ…」
「本当、本当。きちんと盟約を守ってくれてる君たちを滅することなんかしないから」
にこりと子供のように笑うスヴェン様に、胸がきゅんきゅんする。あー…可愛い…。
「…もしかしてクリストフェル殿下が、ヴィリ様の刻印の話をしたのは?」
「まさかヴィリ様が出てくるとは思っていなかったが…」
「だって、まだ話し合いの途中よ? それなのに報告って先走り過ぎじゃない?」
ねー?と可愛らしく首を傾げて笑うスヴェン様に、影たちがたじろぐ。
「そうだ。ヴィリ様、影たちの怪我を治してはいただけませんか?」
「ん? なんで?」
「影たちはこの国を守る存在です。一人でも欠ければ育成するのに時間がかかります」
「そっかそっか。じゃ、治すけど、そこから動かないこと。報告は後からでもできるからね」
ふふっと笑ってから「そいや」との掛け声とともに、負傷した影の怪我が治っていく。
…やはりそうか。
「失った分の血も、そのまま入れておいたからね」
「あ、ありがとうございます?」
影のお礼に「気にしなくていいよー」と笑うと「それで」と俺たちに向き直る。
ですがヴィリ様。
「ヴィリ様。スヴェン様のお姿なので、座っていただきたいのですが…」
「うん? 君がそう言うのなら座ろうかな?」
「是非に」
ヴェルディアナから手を離し、そそーっと私の隣に座るヴィリ様。
「そいで、君の話しの続きを聞こうじゃないか」
「…ヴェルディアナ、大丈夫か?」
「驚きましたけれど…ええ、平気ですわ。スヴェン様の漂う色気よりもダメージは少ないかと…」
『もえ』パワーはヴィリ様をも上回るのか…。『もえ』パワー…恐るべし。
「それで…ヴィリ様の刻印がスヴェン様にある、と言ったな?」
「はい」
「ではヴィリ様の刻印がある者が王家に嫁ぐことも知っているな」
「もちろんですわ」
「ふむ。盟約の話しだね」
そう告げるヴィリ様は少し懐かしそうに瞳を細める。
「ところで…クリストフェル殿下は、いつスヴェン様にヴィリ様の刻印が左目にあるとお気づきになられたのですか?」
「スヴェン様と初めて会った時…焼身自殺をされた時だな」
「…12年前から?」
「ああ。初めに違和感に気付いたのは、俺と司祭で治癒魔法をかけていた時だ」
スヴェン様と初めて会った時、その身体は炎に包まれ、一部炭化していた。水魔法を使って火を消し止めた後、いくら高度な治癒師でも炭化した身体の一部は戻らないと奥歯を噛み締めたが、俺の予想に反して炭化した部分も元に戻った事だった。
「身体の隅々を調べていた時に、左目にヴィリ様の刻印があったことに気付いた」
「メルネス家にお伝えは?」
「していない。幸い…というかスヴェン様は魔法を封じられていたから、メルネス夫妻は気付いていない」
「…王家にも報告をされていないのはなぜですの?」
「スヴェン様は男だ。アレが大人しく男と結婚すると思うか?」
「…無理、ですわね。現にわたくしとの結婚もしたくないようですし」
「クリストフェル君が結婚すれば問題は殆どないんだけどねー」
もしゃもしゃとクッキーを食べているヴィル様。…頬にかすが付いてますよ。
「そう簡単に言わないでください。男同士の結婚などありえませんから」
「今までは、でしょ? なら前例を作ってしまえばいいじゃない」
「そう言われましても…男同士では子も作れませんし」
「問題ない、問題ない」
「は?」
くぴーと紅茶を飲んで、ソーサーにカップを置くとにんまりと笑った。
「王族の心配なら問題ないよ。王族の子をなすのはスヴェン君の妹に頼めばいいんだから」
「妹?」
「メルネス夫人が妊娠をされましたの?」
「いや。アルガーノンはスヴェン様が20歳になるまでは、次の子をなさないと宣言している」
「なぜ20歳?」
「あー、それね。私が言っておいたんだよ」
「なぜですか?」
「ん? だってスヴェン君放っておいたら、赤子のうちに死んでたし。だから保険をかけておいたんだよ」
「保険…」
にこにこと微笑みながら話しているけれど、言っていることはとんでもないことだ。
そういえばスヴェン様は、スヴェン様になる前の記憶をお持ちのような言動をするな。
「まぁ、アルガーノンには『20歳までにスヴェン君には自殺癖を止められる人と出会うから、それまで頑張って守ってあげてね。20歳までにスヴェン君が死んだらメルネス家と、ローザ家、王家も滅ぶから』って伝えておいたんだ」
「やりすぎでは?!」
にゃははと笑うヴィリ様に思わず突っ込めば「そう?」と首を傾げる。可愛い…!
「だって私の刻印が付いてる子を死なせるかもしれないんだよ? それ相応じゃない?」
「それはまぁ…そうですけど…」
「ローザ家とメルネス家が王家に嫁ぎ、子をなし歴史を紡ぐ代わりに私が守ってあげてるんだもん。三家がなくなったら国すらなくなるのよ? そりゃ必死にスヴェン君を守るでしょ」
にゃはらにゃはらと笑うヴィリ様だけれど、結構重要なことをさらっとおっしゃってますよ。まぁ、ここにはその秘密を知るものしかいないけれども。
「だから、クリストフェル君とスヴェン君が結婚しても問題ない。寧ろしないと怒っちゃうぞ☆」
「それは普通に困りますね」
「でしょ? だからヴェルディアナとアレ…えーっと誰だっけ?」
「アルトゥルですね」
「そうそう。アルトゥルとの結婚はなくても、ぜーんせん問題ないんだ」
「もしかして…」
ヴィリ様の言葉でそれに気付いたヴェルディアナに、俺はこくりと頷く。
「そういうことだ。スヴェン様にヴィリ様の刻印があるから、君とアルトゥルの婚約解消は決定事項だ」
「では…」
「そうだね。アレは一貴族となってもらった方がこっちとしても都合はいいからさ」
「…アルトゥル様は王族ではなくなる、と」
「その方向で動いている」
「クリストフェル殿下の計画とは…スヴェン様とのご結婚のことですか?」
「ああ。父も意外と乗り気でね。ルイスを王にするおつもりだ」
「クリストフェル君は王にはならないの?」
ヴィリ様の言葉にこくりと頷くと「はへー」と間の抜けた声があがった。
「俺は既に王位継承権を放棄してる」
「それにスヴェン様がいなくなってしまうとメルネス家は…」
「そこが問題でなかなか、な」
ローザ家もヴェルディアナの件で少し面倒にはなるが、そこはこちらが新たな婚約者を探せばいい。
ヴィリ様の言葉では王家も問題ない。問題なのはメルネス家。
メルネス夫人がもう一人頑張ってくれればいいが、年齢的にそれは無理だろう。産めてもせいぜい妹が最後。
そうなれば、メルネス家は本家ではなく分家に任せるしかない。
「メルネス家の血を残すには、スヴェン様が子をなせれば…」
「それなんだけどさー」
俺の呟きに、ヴィリ様がにんまーと笑う。
…なんだか嫌な予感が。
「スヴェン君に性転換してもらって、子をなしてもらうってのは?」
「はい?」
「クリストフェル君は、スヴェン君の身体の変化は知ってるよね?」
「まぁ…はい」
身体の変化、というのはお尻の穴云々のことだろう。そのお陰で腹上死チャレンジがスムーズに進んでいるが。
「スヴェン君が了承すれば、そうしようか」
「って、待ってください!」
「何ー?」
「身体を作りかえるのは一度だけだと…!」
スヴェン様が元に戻せ、と噛みついた時にヴィリ様はそう言って気がするが。
「あー、あれね。身体の構造を変えるなんて簡単だよ?」
「うん?」
「それに私にできないことなんてないし」
「それって…」
「うん。だからスヴェン君には内緒ね。大司教の奇跡とでも言っておいてよ」
にぱと笑うヴィリ様の言葉に、俺もヴェルディアナもぽかんとしてしまう。
それはそうだろう。
ヴェルディアナは決められた道が閉ざされ、さらにメルネス家の先を話しているのだから。
「それと、ヴェルディアナ君」
「あ、はい!」
「君、二つ隣の国に興味はない?」
「え?」
にまーと笑うヴィリ様の言葉にきょとんとするヴェルディアナだが「タフィ王国ですか…」と呟く。
「タフィに何かあるのですか?」
「まぁこれはクリストフェル君たちが頑張らなきゃいけないけど、君たちにとっても損になる話じゃない」
「タフィは森林…山に囲まれた小国ですよね?」
「そうだ。今のところはうまみが全くないと同盟を結ぶ国もほとんどなく、貧困に苦しんでいると聞く」
「じゃあ最大のヒントを上げよう。ヴェルディアナは山とか好き?」
「好き…かどうかは分かりませんが地質は結構…」
そこで俺とヴェルディアナがはっとする。
「なるほど。そう言うことでしたか」
「あそこの第一王子、めちゃくちゃいい人だよー? それにまだ手付かずのあれこれがざっくざく。それと国王と妃、子供たちもローザ家とよく似てる」
そこまで告げるということは、そこに行くのは確定しているようなものだ。
今まで決められていた運命から抜けたと思われたヴェルディアナだが、またしても決められてしまっている。
「どう?」
「わたくしは…」
「今すぐに返事をしなくてもいい」
「いえ。わたくしタフィに行ってみたいです」
「と、なるとカラムには今から動いてもらわないと困るね」
「そうですね…ってもしかして影を足止めした理由はこれですか?」
「さぁねー?」
ぴゅいーと口笛を吹くヴィリ様だけれど、そうだということはばればれだ。
「まぁそういう訳だから、さ。それと今日の夜、カラムの夢にお邪魔するって伝えといてー」
「そんなに簡単に神託を授けてもいいんですか?」
「問題ないよ? あ、そうだ。一応クロツに連絡しとこうかなー? …あ、もしもしー?」
「って早ッ!」
マイペースなヴィリ様につい突っ込んでしまう。
「やほー。今ねースヴェン君の身体借りてるんだけどー」
『ちょっと師匠、そんなに簡単に身体を借りないでくださいよー』
ん? 師匠?
今、ヴィリ様を師匠と呼んだ?
「いいじゃん。スヴェン君には私の刻印付いてるしさ。君も修行しなよ。便利だよー?」
『無茶言わないでくださいよー。今でさえ大司教レベルでいっぱいいっぱいなのにー』
「まぁまぁ。それでさー。今日の夜、王様の夢にお邪魔するよーって伝えておいてー」
『夢にですか? それは構いませんが…』
「じゃ、お願いねー」
『あ、そうだ師匠。あっちの神様からワガシとあと…なんかおいしそうなケーキをいただきました』
「わっ!マジ?! じゃあ急いで戻るね!」
『分かりました。お待ちしてます』
「はーい!」
…今の声は大司教様だよな?
滅茶苦茶フランクに話していたけど…。それより師匠、とは?
「今の大司教は神様見習いだからね」
「はい?」
んふーと笑うヴィリ様のこれまた爆弾発言につい間の抜けた声を出してしまったが仕方ない。
またもやとんでもない言葉を聞いたような気が…。
「お? そろそろスヴェン君が起きそうだから私は戻るね!」
「は、はぁ…」
「クリストフェル君」
「はい」
「私の刻印の話し、スヴェン君に伝えておいてね」
「いいのか?」
「私から話すよりクリストフェル君から話してもらった方が、怒らないと思うし」
「はぁ」
「じゃあ、お願いね!」と手を振ると、スヴェン様の身体から力が抜けた。その身体を抱き留め、頭を腿の上に乗せる。
「…嵐のような方でしたわ」
「本当に…」
ヴィリ様が去った後は、静かで困惑する。
影たちもぽかんとしたまま動かないし、俺もヴェルディアナも今一理解しきれていない。
しばらく全員でぽかんとしていると「ん…ぅ?」という声が聞こえ、ハッとする。
「くると?」
こしこしと目をこすりながら俺の名前を呼ぶスヴェン様に、ようやく影たちも動き出す。
そして。
「おはようございます。スヴェン様」
クルトとしてスヴェン様に接すれば、ふにゃりと笑った。
「おはよ」
その笑顔にヴェルディアナと俺は心臓を撃ち抜かれ、しばらく悶えたのは秘密だ。
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